【ヴィクトリアマイル】優勝馬の最高単勝オッズは2007年コイウタの60.3倍 春の女王決定戦の「記録」を振り返る
緒方きしん
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波乱が多い春の女王決定戦
ケンタッキーダービー、NHKマイルCと盛り上がったゴールデンウィークも終わり、今週5月12日(日)にはヴィクトリアマイルが開催される。2007年は三連単228万3960円、2015年は三連単2,070万5,810円と波乱の結果。高配当が飛び出す一戦だ。今回は春の女王決定戦の記録を振り返る。
さて、ヴィクトリアマイル一の大波乱といえば、上述した三連単207,058.1倍となった2015年。こちらは1着となった5番人気ストレイトガールもさることながら、2着に12番人気ケイアイエレガント、3着に18番人気ミナレットが入ったのが大きかった。ストレイトガールは翌年に7歳で勝利をあげているが、ここでは7番人気とさらに人気を落としていた。また、ストレイトガールの2勝は、歴代で4、5番目に高い単勝オッズでの勝利でもある。
歴代で最も高いオッズで勝利したのは、3連単が228万馬券となった2007年の12番人気コイウタで60.3倍ついた。そこから2014年ヴィルシーナ(28.3倍)、2018年ジュールポレール(19.4倍)と続く。コイウタはこれがGⅠ初制覇であり、ジュールポレールは重賞初制覇。ヴィルシーナに関しては前年を1番人気で制覇していたが、1年間不振が続いたことで11番人気と評価を落としていた。前記のストレイトガールとやや似たケースだった。
一方、歴代最も低いオッズで勝利したのは2021年グランアレグリア(1.3倍)。次いで2020年アーモンドアイ(1.4倍)、2010年ブエナビスタ(1.5倍)。ブエナビスタを除く2頭はいずれも鞍上がC.ルメール騎手と、名手の腕も光る勝利となっている。グランアレグリアは藤沢和雄厩舎、アーモンドアイは国枝栄厩舎とどちらも関東馬。さらに2019年萩原清厩舎のノームコア、2023年林徹厩舎のソングラインと、ここ5年においては関東馬が4勝をあげている。
最多勝は戸崎圭太騎手、C.ルメール騎手の3勝
過去18回で10回以上の騎乗経験があるのは横山典弘騎手、岩田康誠騎手、川田将雅騎手、内田博幸騎手、武豊騎手、福永祐一元騎手、蛯名正義騎手、戸崎圭太騎手、池添謙一騎手など9名のみ。そうそうたる顔ぶれである。戸崎圭太騎手はストレイトガールで連覇して昨年もソングラインで勝利をあげるなど、ヴィクトリアマイルの最多勝タイの騎手でもある。そこにルメール騎手が並んでいる(通算騎乗回数は8回)。
騎乗回数を見ていくと、3番目に多いのは横山典騎手で、これまでに14回騎乗している。2010年にブエナビスタとのコンビで勝利すると、翌々年にはホエールキャプチャで2勝目をあげている。2020年にはノームコアで3着、昨年は12番人気ロータスランドで6着に食い込むなど存在感を見せつけている。
2番目に多いのは武豊騎手。1番でないのは意外だが、横山典騎手を上回る15回を記録している。創設初年の2006年からエアメサイアで2着に食い込んだが、その後は2007年3番人気アドマイヤキッスで7着、2008年1番人気ウオッカで2着と勝ちきれず。だが翌年、ウオッカとともに再挑戦し、初勝利を挙げた。それまでの鬱憤をはらすかのように、2着ブラボーデイジーに7馬身差をつける圧勝劇だった。以降は5度の二桁着順を含めて連敗が続いているが、2018年にリスグラシューで2着に入るなど意地を見せている。また、4~7歳で4年連続挑戦したスマートレイアーとのコンビが印象深いファンも多いだろう。
そして、騎乗数が最多の16回となるのが福永祐一元騎手。多くの名牝とコンビを組んだことで知られる福永騎手だが、意外にもヴィクトリアマイルは未勝利。創設初年度ではラインクラフトとのコンビで1番人気に推されたものの、結果は9着大敗。以降は1、2番人気馬の騎乗はなかった。3番人気馬では2009年リトルアマポーラで6着、2011年レディアルバローザで3着という結果を残している。2019年には4番人気プリモシーンで2着に好走しているが、16回の騎乗のうち8回が二桁着順と苦戦した印象が残る。しかし、それでも騎乗依頼が続いたのは、福永騎手の実力あってこそだろう。調教師となった現在は記録が更新されないため、今年で武豊騎手に追いつかれるが、今度は調教師として多くの名牝を導いてくれるはずだ。
ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。
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