【NHKマイルC】前走着差から好走傾向を見極める 東大HCの本命は桜花賞2着のアスコリピチェーノ

東大ホースメンクラブ

NHKマイルCの前走着差別成績

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3歳マイル王者に輝くのは?

今週日曜日、東京競馬場でGⅠ・NHKマイルCが行われる。牡牝のクラシック一冠目でも好走した両2歳マイル王者ジャンタルマンタル、アスコリピチェーノを筆頭に、サウジアラビアRCを制して以来となるゴンバデカーブース、同2着馬でNZTも2着のボンドガール、ファルコンS勝ち馬ダノンマッキンリー、アーリントンC勝ち馬ディスペランツァ、毎日杯2着のノーブルロジャーなどが集結した。

今年はかなりの好メンバーとなったNHKマイルCだが、一昨年は最低人気のカワキタレブリーが3着に激走、昨年も9番人気シャンパンカラーが優勝と、穴馬にも気を配らなければならないレース。過去10年のデータを用いて馬券戦略を検討する。

前走惜敗馬を信頼

NHKマイルC、前走着差別成績,ⒸSPAIA


<NHKマイルC 前走着差別成績>
勝ち【2-2-1-39】勝率4.5%/連対率9.1%/複勝率11.4%
~0秒2差負け【4-5-5-29】勝率9.3%/連対率20.9%/複勝率32.6%
0秒3~0秒5差負け【3-1-2-27】勝率9.1%/連対率12.1%/複勝率18.2%
0秒6差以上負け【1-2-2-53】勝率1.7%/連対率5.2%/複勝率8.6%

前走着差別のデータから傾向を探る。荒れるレースといっても馬券に絡んだ馬の多くは前走勝利か、負けはしたが勝ち馬と大きなタイム差のなかった馬だ。前走0秒6以上負けて馬券に絡んだのは5頭。うち3頭は【1-1-1-8】の皐月賞組で、今年はウォーターリヒトのみが該当。といっても馬券に絡んだ皐月賞組の3頭はいずれも前走着差1秒前後であり、2秒1差16着は流石に負けすぎだろう。したがって、今年は前走勝ちor少差負けの馬を中心視していきたい。

前走勝ち馬の中ではアーリントンC勝ち馬【2-0-1-4】複勝率42.9%が存在感を放つ。15年から21年までは好走がなかったが、一昨年ダノンスコーピオンが優勝、昨年はオオバンブルマイが3着に入り、本番とのつながりが強くなっている。それ以外では橘S(14年タガノブルグ)、フラワーC(15年アルビアーノ)勝ちからの2着好走例があるが、今年は該当馬がいない。

次にもっとも複勝率の高い、「前走0秒2差以内負け」の馬について見てみよう。まずNZT組は【1-2-2-9】で複勝率35.7%、複勝回収率142%となかなかの安定感と妙味を誇る。昨年はウンブライルが2着に入った。桜花賞組は【1-1-0-2】と母数は少ないが、17年アエロリット、20年レシステンシアの好走歴がある。それぞれボンドガール、アスコリピチェーノに追い風のデータと言える。なおアーリントンC組は【0-0-2-9】となっている。

なお「前走0秒3〜0秒5秒差負け」は今年該当馬がいない。ただ、前走GⅠ組が【2-0-0-3】と勝ち馬を2頭輩出していることから、クラシック一冠目で僅差の勝負ができた馬はここでも引き続き上位にくることが分かる。

名手とともにアスコリピチェーノが躍動

◎アスコリピチェーノ
昨年は阪神JFをレースレコードで制し、3戦3勝で堂々臨んだ桜花賞はステレンボッシュに敗れた。ただ4コーナーでのJ.モレイラ騎手の好判断に屈した感が強く、世代の中でトップレベルの実力であることに疑う余地はない。左回りも新馬戦と新潟2歳Sでしっかり勝っており、これといった死角はない。復帰するC.ルメール騎手に導かれ、桜咲く仁川で味わった悔しさは新緑の府中で晴らす。

◯ジャンタルマンタル
皐月賞は1分57秒1のレコード決着。その中で直線は真っ先に抜け出し、後続馬たちに真っ向勝負を挑んだ。結果的にはジャスティンミラノ、コスモキュランダにかわされ3着となったが、まさに「負けて強し」という言葉がピッタのレースだった。そこから得意のマイルに短縮とあっては買わないわけにはいかない。中2週での出走で、レコード決着のダメージがあるかもしれないため2番手評価としたが、実力はアスコリピチェーノに引けを取らない。当日の馬体などの様子を加味しながら最終判断を下す。

▲ボンドガール
昨年6月の新馬戦では後の重賞勝ち馬チェルヴィニア、コラソンビートを撃破し、サウジアラビアRCでも折り合いの課題を露呈しながら2着。阪神JFは回避、桜花賞は抽選に外れて除外と運に見放されたが、前走のNZTでは稍重馬場にも対応して2着に入り、ここへの切符を手にした。武豊騎手の継続騎乗も気性面でまだ不安のある本馬にはプラスに働くだろう。二強を脅かしうる存在だ。

△ディスペランツァ
先述の通り、近年本番につながる傾向のあるアーリントンC勝ち馬。買い目に入れたい一頭だ。ただし今年のアーリントンCに限って言えば前半3F35秒8、後半3F33秒2という完全なる瞬発力勝負で、例年ペースの流れるNHKマイルCとは明らかに異なるレース。適応力がカギになるだろう。

以下アルセナール、ゴンバデカーブースを押さえる。馬券は◎1着固定の馬単で勝負する。

▽NHKマイルC予想▽
◎アスコリピチェーノ
◯ジャンタルマンタル
▲ボンドガール
△ディスペランツァ
×アルセナール
×ゴンバデカーブース

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。


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