【高松宮記念】スプリンターズSの好走実績は強調材料にならない データで導く「過信禁物の注目馬」
藤川祐輔
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春のスプリント王決定戦
2024年3月24日、中京競馬場では高松宮記念(GⅠ)が行われる。過去10年で2桁人気から6頭の好走馬が出ており、波乱の決着が多い印象を受ける。また、1番人気は【1-1-2-6】と1勝しか挙げておらず、上位人気馬に絶対の信頼は置きにくい。
今回は過去10年(14~23年)における当レースのデータを基に「過信禁物の注目馬」を導いていく。
スプリンターズSの結果は評価できない
まずは、直近のスプリントGⅠである前年スプリンターズSの着順別成績を見ていく。1~3着だった馬は【2-1-1-16】勝率10.0%、連対率15.0%、複勝率20.0%とまずまずだ。
4着以下だった馬は【2-5-1-47】勝率3.6%、連対率12.7%、複勝率14.5%と好走率こそやや落ち込むが、馬券に絡んだ馬も多く出ている。また、出走していなかった馬も【6-4-8-88】勝率5.7%、連対率9.5%、複勝率17.1%と悪くない。
最も複勝率が高いのはスプリンターズSで1~3着だった組だが、他と比較すると大きな差はない。GⅠ好走馬という母集団のレベルの高さを踏まえれば、むしろ物足りない印象を受ける。
中山芝1200mと当レースの舞台である中京芝1200mではコース形態が大きく異なっているため、当然ながら問われる適性にも違いが生じる。データを見る限りでは、スプリンターズSでのパフォーマンスが当レースに直結しているとは言い難い。
また、前年のスプリンターズSで好走した組を種牡馬系統別に分類すると興味深いデータが得られる。この組から当レースで好走した4頭は全て父ミスタープロスペクター系で、その成績は【2-1-1-6】勝率20.0%、連対率30.0%、複勝率40.0%と抜群だ。
一方でそれ以外の系統からは【0-0-0-10】と全く好走できていない。同距離GⅠで馬券に絡んだ馬が全て凡走という強力なデータだけに、該当する馬の評価は下げるべきだ。
レース間隔が開いた牝馬は危険
次はレース間隔に関するデータを取り上げる。中7週以内の馬は【9-9-8-130】勝率5.8%、連対率11.5%、複勝率16.7%で、馬券圏内に入った馬のほとんどが含まれる。一方の中8週以上の馬は【1-1-2-20】勝率4.2%、連対率8.3%、複勝率16.7%と、好走率では中7週以内の馬と互角の数字だった。
しかし、中8週以上の馬を性別で分けると明暗がハッキリ分かれる。牡馬は【1-0-2-11】勝率、連対率7.1%、複勝率21.4%とまずまずだが、牝馬は【0-1-0-9】勝率0.0%、複勝率10.0%と振るわない。
この中には15年13着のストレイトガール、22年6着のレシステンシア、23年12着のメイケイエールと1番人気に支持された馬が3頭も含まれている。また後に絶対女王として君臨するグランアレグリアでさえ、20年2着(入線は3位)に敗れている。
当レースは寒さが残る時期の開催であり、特に牝馬にとってはコンディション管理が難しい。前哨戦を叩いて状態を上げてきたならともかく、間隔を空けて当レースに臨んできた場合は実績馬でも信頼できない。
データで導く「過信禁物の注目馬」
ここまでに紹介したデータをまとめると、当レースにおける不安要素は以下の通りである。
・「前年のスプリンターズSで1~3着」かつ「父ミスタープロスペクター系以外」
・中8週以上の牝馬
これらを踏まえて、今回はママコチャを「過信禁物の注目馬」として挙げる。
前年スプリンターズSでの勝利は見事だが、馬場、展開、枠順など様々な要素が向いての辛勝だった。昨年のJRA賞最優秀スプリンターだが、今回のメンバーのなかで能力が抜けているとは言い難い。
また、週末は雨の予報だが良馬場以外では2度走ってどちらも敗れている。その他有力馬の多くが道悪実績を有していることも踏まえると厳しいレースが予想される。上記2つの不安データにも該当しており、オッズ妙味を考えても軽視するのが妥当と判断する。
《ライタープロフィール》
藤川祐輔
98年生まれ、新進気鋭の若手ライター。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。以前は別媒体での執筆を行っていたが、よりデータを生かした記事を書きたいと考えSPAIA競馬への寄稿をスタート。いつの日か馬を買うのが夢。
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