【シルクロードS】フジキセキ産駒が4勝、武豊騎手が5勝 冬の短距離重賞の「記録」を振り返る

緒方きしん

シルクロードステークスの記録,ⒸSPAIA

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ストレイトガール、タマモホットプレイらを送り込んだフジキセキ

今週はスプリント重賞シルクロードS。2018年にはここを制したファインニードルが高松宮記念、スプリンターズSを制して同年の最優秀短距離馬に選出されたように、一年のスプリント戦線を占う上でも重要な一戦である。過去にはロードカナロア、ダノンスマッシュの親仔をはじめ、様々な名馬が制してきたシルクロードSの記録を振り返る。なお、オープン時代の1989~1995年も含む。

1997~2000年にかけて、エイシンバーリン、シーキングザパール、マイネルラヴ、ブロードアピールと4年連続でマル外が制している。特にシーキングザパール、マイネルラヴはどちらもSeeking the Gold産駒と、ここを得意とする血統は存在する。

父として最も勝ち馬を送り出しているのはフジキセキ。産駒は4勝をあげた。タマモホットプレイ(4番人気)、ファイングレイン(3番人気)、アルティマトゥーレ(3番人気)、ストレイトガール(2番人気)と、1番人気にはならずとも人気上位に支持された馬が勝利しており、牝馬2頭、牡馬2頭とバランスも良い。タマモホットプレイは勝利した翌年である2007年にも3番人気2着と好走。2007年は3着の牝馬ビーナスラインもフジキセキ産駒で、2、3着が同父という結果となった。

その2007年の覇者はエムオーウイナー。父のニホンピロウイナーは、勝利数では2位タイ、馬券圏内数では単独2位というシルクロードSを得意とする種牡馬である。名牝フラワーパークが1996年にここを制しているほか、オープン時代の94、95年にニホンピロプリンスが連続3着、95年にメモリーキャッチが16番人気で2着と印象的な好走が多い。エムオーウイナーも、6歳で重賞初挑戦というタイミングで7番人気ながら好位から押し切る強い競馬を見せた。

そして、ここ2年連続で勝ち馬を輩出しているのが、ミッキーアイル。2022年メイケイエール、2023年ナムラクレアと、いずれも4歳牝馬が勝利をあげている。今年は登録がないが、フジキセキやニホンピロウイナーのように、ここで活躍する馬をさらに多く輩出していきたいところだろう。


2頭4騎手による4連勝をあげた佐山優調教師

騎手での最多勝は「レジェンド」武豊騎手による5勝。1989年にシヨノロマンで1勝目をあげると、翌1990年にエーコーシーザーでも勝利し、連覇を達成。1992年にユウキトップラン、1998年にシーキングザパールでも勝って計4勝とした。そこからはしばらく勝利がなかったものの、19年後の2017年にダンスディレクターで久々に勝利した。ダンスディレクターは前年に浜中俊騎手で制していたが、年末の阪神Cで武豊騎手と新コンビを結成。見事に連覇を達成し、同年末の阪神Cでも2着と好走した。また、武豊騎手の弟である武幸四郎騎手も2000年にブロードアピールとシルクロードSを制している。

2番手は3勝の福永祐一騎手。2009年アーバンストリート、2021年シヴァージも見事な勝利だったが、やはり注目は2012年ロードカナロアだろう。ロードカナロアがGⅠを連勝するようになるのは同年の秋からで、その頃には岩田康誠騎手とのコンビが結成されているが、2012年夏までは福永騎手とのコンビ。条件戦から葵S、京洛Sとオープン競走を連勝、さらに重賞初挑戦となった京阪杯も制したことで、すでに実力はGⅠ級と見做されていた。ここも単勝1.4倍の圧倒的な人気を背負いつつ、短距離戦ながら2着に0.4秒差をつける完勝劇だった。

調教師で最多勝は、重賞昇格直前のオープン競走時代に4勝をあげた佐山優調教師。1992年ユウキトップラン(武豊騎手)、1993年ユウキトップラン(河内洋騎手)、1994年ゴールドマウンテン(角田晃一騎手)、1995年ゴールドマウンテン(岸滋彦騎手)と、なんと2頭4騎手による4連勝の記録を残している。ヒシアケボノやヒシミラクルらを管理した名伯楽が、勢いを感じさせる勝ちっぷりを見せた。

今年も騎手、馬問わずベテランから若手まで多種多彩な面々が集まったシルクロードS。人馬に注目して、今年のスプリント戦線の行方を占いたい。

ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。

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