【エリザベス女王杯】「三冠牝馬の出る世代強くない説」で古馬上位勢を優先 京大競馬研の本命はルージュエヴァイユ
京都大学競馬研究会
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脂の乗った4歳馬が圧倒、3歳馬受難のレース
11月12日(日)に京都競馬場でエリザベス女王杯(GⅠ)が行われる。オークス2着のハーパーや、府中牝馬Sを制したディヴィーナ、昨年の当レース上位のジェラルディーナ、ライラックなど15頭が参戦する。
混戦模様ではあるが3歳馬が人気になりそうだ。今年はリバティアイランドが三冠を達成したわけだが、3回違うコースで競馬をして3回ともその馬に太刀打ち出来ないという点で、私は三冠牝馬以外の世代レベルが怪しい可能性が高いと考えている。そしてこれを裏付けるデータも用意することが出来た。今回は「3歳消しデータ」を中心に紹介したい。
まずは過去10年の年齢別成績を調べた。調べて驚いたのだが、他のGⅠよりも4歳馬の成績がずば抜けており、【7-3-6-44】でとにかく勝ちが多い。頭数の多さから複勝率は26.7%止まりだが、それでも複勝回収率は111%あるため、できる限り押さえておきたい。
毎年注目される3歳馬は【2-4-2-30】とよろしくない。直近の秋華賞上位馬がこぞって参戦するため人気になりやすいが、その割に馬券外に飛びやすく、3番人気以内の3歳馬は【1-1-1-7】と見栄えがしない。一方、近2年は同年のクラシック惨敗組が展開を味方にここで巻き返しているため、そちらを買ってラッキー狙いの方が良いかもしれない。シンリョクカは前走府中牝馬Sが見せ場なしの惨敗だったため手は伸びないが、トレンドには合っている。
また5歳馬の成績が【1-3-1-54】と悲惨。下位人気の中には、これが引退レースで最後に記念出走、という馬も多い。有馬記念でも好勝負できたラッキーライラックやサラキアのような例はあるが、裏を返せば有馬上位級のレベルに達していない5歳馬は消しでいいだろう。
三冠牝馬相手に惜しい競馬をしていた馬しか通用しない
次に、過去三冠牝馬が出た年のエリザベス女王杯における3歳牝馬の成績を調べた(03、10、12、18、20年の5回)。その成績は【2-2-1-15】。好走5頭の内訳は、その三冠牝馬自身が2頭(03年2着スティルインラブ、10年3着アパパネ)、三冠全て2着だった馬が1頭(12年2着ヴィルシーナ)、三冠全て1番人気かつ秋華賞僅差2着の馬が1頭(03年1着アドマイヤグルーヴ)、英愛オークス馬(10年1着スノーフェアリー)である。
三冠牝馬、あるいはそれと差のない2着馬しか馬券になっておらず、つまり三冠で惜しくもない競馬をしていた馬は通用していないことが分かる。またクラシック不出走の上がり馬も通用していない。ラッキーライラックやウインマリリンなど成長して古馬になってからGⅠを制する馬はいるが、少なくとも今年は静観した方が良いだろう。
オークス2着とはいえ1秒差つけられたハーパー、ローズSからここにきたブレイディヴェーグが鞍上も含めて人気になりそうだが、過去のデータからは問答無用の消しだ。
東京での末脚は優秀 牝馬相手ならここでも
◎ルージュエヴァイユ
東京のエプソムC、府中牝馬Sを連続2着。前走は展開も向かない中、見事な末脚を発揮していた。条件馬時代から期待の高かった馬で、春に大きく敗れた2走は騎乗ミスで力を出し切れていないもの。近走の連続2着は当然の結果と考えている。右回りや距離延長など課題はあるが、古馬牝馬の中では最上位の力を持っており、何とかこなして欲しい。
◯ジェラルディーナ
昨年の覇者。先程5歳牝馬が良くないと書いたが、有馬記念3着の実績があるこの馬は例外。今年は展開の向かないレースが多く上位に来ていないが、牝馬同士のメンバーに入れば末脚も実績も一枚上だ。父、母にも騎乗経験のあるムーア騎手を配して必勝態勢。本命でもいいのだが、◎は更に強力だ。
▲ライラック
府中牝馬S3着。中山のフェアリーS勝ちや昨年エリザベス女王杯2着など時計のかかるレースが得意だったが、近走で良馬場でも戦えることを示したのは大きな収穫だ。今年は日経賞、宝塚記念と牡馬相手に厳しい戦いを強いられたため、牝馬限定戦に戻して連続好走があっても驚けない。人気になるここで買うのは馬券下手でしかないが、3歳を消すとここに行き着く。
△サリエラ
春は牡馬相手に頑張っていた。マーカンド騎手を持ってきたのは勝負気配が見える。
×マリアエレーナ
良馬場なら好勝負可能。距離は少し長い。
×アートハウス
故障明けだが、休み明けの方が走る馬。サリエラを買うならこの馬も。
×ディヴィーナ
前走はかかっており褒められた内容ではないが、逃げ残りに警戒。
3歳馬は全部消して勝負する。ルメール騎手騎乗のブレイディヴェーグは怖いが、マスクトディーヴァに力負けした前走と、出遅れの多さを考えるとGⅠでは買えない。馬券になったらごめんなさい。馬券は印7頭の三連複ボックス35点で勝負する。中穴馬を手広く買っているため、当たれば高配当間違いなしだ。
「三冠牝馬の出る世代強くない説」を書きたいがために、執筆順番を変わってもらった経緯があるため、配当とともに説立証にも期待したい。(文:福山)
エリザベス女王杯 予想印
◎ルージュエヴァイユ
◯ジェラルディーナ
▲ライラック
△サリエラ
×マリアエレーナ
×アートハウス
×ディヴィーナ
ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
25年以上の歴史がある、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。
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