【アルテミスS】前走未勝利戦組は単勝回収率455% 東京替わりで期待のミエノブラボー

佐藤永記

2023年アルテミスステークス,ⒸSPAIA

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前走未勝利戦組に注目

アルテミスSは牝馬限定の2歳重賞ということで、キャリアの浅い馬同士の比較を求められるレースとなり、どうしても「数少ない実績」をもとに予想をすることになる。そのため前走で重賞勝ちや、新馬を強い内容で勝った馬が評価され人気になりがちである。

アルテミスS条件別成績 過去10年,ⒸSPAIA


実際に過去10年の1番人気の前走を見てみると、4頭が新馬戦で快勝、2頭が1勝クラス勝ち、3頭は重賞から(うち2頭が前走1着、1頭が前走3着)で、何かしらの実績を評価されることが多く、未勝利戦勝ちからの馬は1頭しかいない。だが、1番人気馬の成績は【3-3-0-4】で、人気ほど安定しているとは言い難い。少ない実績で評価するのはなかなか難しいものである。

一方で、評価が低めな前走未勝利戦組の成績は【5-3-2-20】と、勝ち馬の半数を占めていた。新馬戦で土がついた馬の巻き返しがかなり決まっており、勝率16.7%、複勝率33.3%、単勝回収率は455%を誇っている。それだけ、人気が「数少ない実績」に吸われていることになる。前走未勝利戦組に注目し、積極的に青田買いしたい重賞だといえよう。

ちなみに、上述した前走未勝利戦勝ちから唯一1番人気になった1頭こそ、後にGⅠを4勝、2019年の年度代表馬にもなったリスグラシューだったりする。アルテミスSは人気に応えて勝利したが、そんな名馬でも新馬戦はクビ差2着に敗れていたのだ。

少ないキャリアのなかにも取りこぼしはある。未勝利戦勝ちの馬も、これまでのレース内容をちゃんと見ておきたい。


東京でより真価発揮 ミエノブラボー

回収率が高い前走未勝利戦組に該当するのは3頭。うち、チェルヴィニアとサフィラは勝ち時計や上がり3Fの速さ、血統的にも人気になりそうだが、残る1頭ミエノブラボーが今回は面白そうだ。

ミエノブラボーの前走は中山芝1600mで行われた未勝利戦で、4角11番手から大外を追い込んで勝利している。上がり3Fは34.7で、今回出走予定の有力馬と比べて目立たないが、ラスト3F目が全てカーブである中山で、残り400mもない直線に入ってから追い始めているので当然のこと。ラスト1Fを映像を見ながらストップウォッチで計測すると10.95秒で、誤差があったとしても11秒を切っているかいないかのスピードまで上がっていた。

そして今回は長い直線の東京マイルである。あの脚は中山よりも東京で生きそうで、ミエノブラボーの一発には十分期待できる。

<ライタープロフィール>
佐藤永記
20代を公営ギャンブラーとして過ごし、30歳から公営競技の解説配信活動を開始。競馬を始め多くの公営競技ファンに各競技の面白さや予想の楽しみを伝えている。現在はYoutubeで配信活動を続けながらライターとして公営競技の垣根を超えて各所で執筆中。

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