【エプソムC】4歳馬と「道悪適性の欧州血脈」に注目 有力馬の血統解説

坂上明大

2023年エプソムカップの有力血統,ⒸSPAIA

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傾向解説

春の東京GⅠが終了し、芝1800mという条件設定からも多路線から賞金加算を狙う馬が集まる一戦。今年も様々な路線から有力馬が参戦しており、能力比較、舞台適性、成長曲線など多くのファクターが入り乱れる難解なレースとなりそうです。本記事では血統面を中心に、エプソムCで求められる適性等を整理していきます。

まず、ポイントとして挙げたいのは4歳馬の活躍が目立つということ。日本の主流条件のため、世代交代も早いところは安田記念と同様の傾向。さらに、5歳以上の実力馬はGⅠ競走に出走している可能性が高いため、5歳以上の出走馬のレベルは必然的に低くなる傾向にあります。

それに対して、4歳時であれば素質馬であっても賞金が足りないケースも少なくないため、エプソムCは「4歳馬の出世レース」と位置づけられる重賞ともいえるでしょう。

年齢別成績(過去10年),ⒸSPAIA


<年齢別成績(過去10年)>
4歳【6-5-4-21】勝率16.7%/連対率30.6%/複勝率41.7%/単回収率94%/複回収率189%
5歳【3-2-2-35】勝率7.1%/連対率11.9%/複勝率16.7%/単回収率53%/複回収率42%
6歳【1-3-3-30】勝率2.7%/連対率10.8%/複勝率18.9%/単回収率59%/複回収率61%
7歳以上【0-0-1-41】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率2.4%/単回収率0%/複回収率12%

適性面については、道悪適性が近年のテーマ。開催後半に行われることから馬場の消耗が進んでおり、さらに梅雨入り前後に行われるため雨の影響も受けやすいです。絶好の馬場状態で行われることが多い毎日王冠とは同コースであっても、好走血統が大きく異なります。今年も週中から雨予報が続くため、日本の主流血統とは少々異なる馬の方が走りやすいレースとなりそうです。

注目血統はNureyev≒Sadler's Wells=Fairy Kingなどの欧州血統。特に、良馬場以外で同血脈を持つ馬の成績は非常に優秀で、良馬場以外で行われた2018年(重)、2019年(稍重)、2020年(不良)、2022年(重)はいずれもNureyev≒Sadler's Wells=Fairy Kingを持つ馬が勝利しています。

血統別成績(過去10年・良馬場以外),ⒸSPAIA


<血統別成績(過去10年・良馬場以外)>
Nureyev【3-2-3-16】勝率12.5%/連対率20.8%/複勝率33.3%/単回収率151%/複回収率232%
Sadler's Wells【1-0-1-6】勝率12.5%/連対率12.5%/複勝率25.0%/単回収率91%/複回収率48%
Fairy King【0-1-1-1】勝率0.0%/連対率33.3%/複勝率66.7%/単回収率0%/複回収率166%

掲載しているデータではSadler's Wellsの成績がパッとしませんが、昨年は5頭が出走して勝ち馬から0.2秒差以内に4頭が入り、2020年にも人気薄馬が掲示板入り。もともと道悪巧者が多い血統でもあり、出走数が増えれば自然と成績も向上する血脈といえるでしょう。


血統解説

・ジャスティンカフェ
Sadler's Wellsの4×4を持つエピファネイア産駒。昨年は抜けた上がり3F時計を記録しながらも、小差の4着と敗れました。爪が薄くトビも大きいため道悪巧者とはいえませんが、能力面については十分に上位争いに加われる実力馬です。

・インダストリア
父リオンディーズはNureyev≒Sadler's Wellsの4×3を持ち、産駒は力のいる馬場を苦にしない傾向にあります。さらに本馬は道悪巧者の多いダイナサッシュ牝系でもあり、自身も道悪巧者である可能性を十分に秘めています。安田記念への出走が叶わなかった4歳馬。レース傾向にはピッタリの一頭といえるでしょう。

・ルージュエヴァイユ
4歳馬でもう一頭注目しているのが本馬。母はデインヒルの3×3などインブリードのきついFrankel(父父Sadler's Wells)産駒で、5代アウトブリードの父ジャスタウェイとの組み合わせは◎。ここ2走は不完全燃焼のレースが続いていますが、3歳時のパフォーマンスを発揮できれば十分にチャンスのある素質馬です。

2023年エプソムC、有力馬の評価,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。

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