【東京新聞杯】今回の相手なら先行できるピースワンパラディの馬券圏内突入に期待
山崎エリカ
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東京芝は内と前が有利
先週行われた東京芝の10レース中、12番枠よりも外枠の馬の連対はなし。勝ち馬10頭中9頭が3角4番手以内だったように、超高速馬場で内と前が有利だった。今週は開幕2週目、この傾向は極端には変わらないだろう。
今回も近5走で逃げたことがあるのがウインカーネリアン、ショウナンマグマ、シュリの3頭。ショウナンマグマは前に行ってこその馬だが、この枠だとウインカーネリアンがハナに行く公算が高い。しかし、同馬の鞍上はハイペースを好まない三浦騎手。平均的な流れで内と前が有利になる可能性は高いと見て予想を組み立てたい。
能力値1~5位の紹介
【能力値1位 ジャスティンカフェ】
5走前の小豆島特別で横山典騎手に乗り替わって以降、末脚勝負に徹することで安定感が増し、着実に地力を付け、前々走の毎日王冠では2着と好走した馬。同レースは9番枠からやや出遅れて後方2番手を追走。3~4角の少しペースが落ちたところで後方外からじわじわ進出し、4角は2列目の外。ラスト2Fからすっと伸び、ラスト1Fで前のダノンザキッドを競り落として先頭に立った。ただ直後にサリオスに捉えられ半馬身差の2着に敗れた。
前走マイルCSは7番枠から内のソダシと接触したこともあって出遅れ。後方3番手からの競馬となった。レース当日は外差し馬場、最後の直線では前の馬が内を避けたことで出来たスペースをつこうとしたが、前が壁になってまごつく不利。ラスト1Fで外から勢いに乗った馬たちが一気に来て6着に敗れた。前走はスピードに乗せたところで進路を失っており、その不利がなければ3着はあったと推測できる。
今回は3番枠と前走より内枠に入った。1回東京開催2週目で内の馬場が良い状態だけに、近走のように後方からの競馬になると捌くのが難しくなる。また外に出せばロスが大きくなり、時計勝負だとそのロスが致命的になりかねない。今回のメンバーでは実力最上位で上位争いに加われそうだが、人気ほどの信頼は置けない。
【能力値2位 プリンスリターン】
今回は屈腱炎による長期休養明けになるが、休養前にオープン、リステッドで3連勝した馬。東京芝1600mの前走キャピタルSは11番枠から五分のスタートを切り、中団の中目を追走。馬群の中に入れたことで折り合いを欠き、手綱を引きながらの追走だった。しかし、最後の直線で外に出して進路を確保すると、序盤はフラフラしていたがスピードに乗ると一気に加速して勝利した。
休養前の勢いや強さは確かだが、今回は長期休養明け。さすがに復帰戦から能力全開は難しい。しかし、前売りの時点で2桁人気と意外なほど人気がないので、押さえてはおきたい。
【能力値3位 サクラトゥジュール】
前走ニューイヤーSは4歳2月以来となる久々のマイル戦だったが、距離に対応して2着と好走。前走は4番枠からまずまずのスタートを切ったが、そこから無理をせず中団のやや後方を追走。4角外から勢いに乗せて一気に進出し、直線序盤で2列目。ラスト1Fで先頭のウイングレイテストにじわじわ迫り、クビ差のところがゴールだった。
前走記録した指数は重賞でも通用するものだ。しかし、前走は前々走ディセンバーSで4角の中団中目で進路がなく、バランスを崩す不利や、その後も進路確保に苦労して能力を出し切れなかったことが好走に繋がった面がある。今回は前走で自己最高指数を記録した後の一戦、狙いにくい。
【能力値3位 エアロロノア】
昨年の安田記念は外差し有利の展開や馬場を味方に勝ち馬と0.2秒差の7着、マイルCSでも勝ち馬と0.4秒差の7着に好走した。安田記念もマイルCSも10番枠より外に入り、枠順に恵まれた面がある。
前走京都金杯は5番枠から五分のスタートを切り、そこからある程度流れに乗った。ただ道中で進路が狭くなり、中団に下げてプレサージュリフト直後の3列目最内を追走。3~4角でも同馬直後の最内を通り、3列目で直線へ。プレサージュリフトが外に行くと、その後ろから内を狙ったが進路を作り切れず。同馬が伸びるのを待ちながら、外のピースワンパラディにぶつけて強引に前に入った。ラスト1Fから勝ち馬に食らいついたが、2着が精一杯だった。
前走は内有利な馬場で5番枠。最後の直線で仕掛けを待たされる場面こそあったが、上手く内々を立ち回ったことが功を奏する結果となった。今回は内有利の馬場の外枠。外差し馬場ならここでもチャンスがあったが、今回はロスがありそうなだけに、やや狙いを下げる必要がある。
【能力値5位 ウインカーネリアン】
リステッド2連勝後の関屋記念で2着と好走した馬。同レースは人気薄のシュリが2着に逃げ粘ったように、かなりのスローペースで前有利の流れだった。本馬は12番枠から好発を切り、内のシュリを行かせて2番手を追走。ラスト1Fで一気に先頭に立ち、押し切りを図ったところを外からダノンザキッドに迫られたが、しっかり踏ん張り優勝した。
前走マイルCSは2番枠から好発を決め、二の脚で一旦先頭に立ったが外のロータスランドに進路を譲り、3列目の内を確保。しかし、道中前にいたロータスランドが下がってきたことで好位直後まで下がり、位置が悪くなった。3~4角では再び3列目の内にいたが、直線で中目の狭いところを通ったことで脚が鈍化、またジャスティンカフェと接触する不利もあって12着に凡退した。
最後の直線の不利は致命的ではなかったが、7勝全てが4角3番手以内、内6勝が2番手以内という本馬にとって、好位直後まで位置が下がったのは痛かった。今回は2番枠で前が狙えるメンバー構成。内と前が有利な馬場&展開を利して、前走からの前進が期待できる。
穴馬はもともと強く、前に行けるピースワンパラディ
本馬は5走前に今回と同舞台のキャピタルSを勝利。同レースは5番枠から五分のスタートを決め、一旦好位に付けたがそこから控えて好位直後の中目を追走。向正面ではややスペースが生まれそれを外から詰めて4角では4列目の外。直線ではジリジリ伸びてラスト1Fで2列目まで上がり、そこから先に抜け出したミラアイトーンを捉えて1馬身差で勝利した。
本馬がキャピタルSで記録した自己最高指数「-21」は重賞通用レベル。実際に本馬はその次走京都金杯でも2着に善戦。その後に屈腱炎を発症し、1年7ヵ月にも及ぶ長期休養を余儀なくされた。しかし、復帰戦の関屋記念でも2列目外でレースの流れに乗り5着に善戦、衰えは見せていない。
前走の京都金杯は3番枠からやや出遅れ、そこから押して追走したが、外から前に切り込まれ好位直後の中目に付けた。向正面では内のプレサージュリフトにも前に入られ、3角では中団中目。3~4角で前のスペースを拾い、何とか同馬の後ろを通って直線へ。そこから徐々に伸びたが内のエアロロノアにぶつけられ、強引に前に入られてしまった。そこからプレサージュリフトにジリジリ迫ったものの、交わすことができずの4着。
前走は出遅れたこともあり、プレサージュリフトより前の位置が取れなかった。ただ今回は同馬が大外枠に入ったことで、同馬よりも前の位置でレースを進められる可能性が高い。また前走は前々走スタート後に接触し序盤で置かれ、単独最後方からレースをしたことで普段よりも追走に苦労していた。このため前に次々と入られ、どんどん位置取りが悪くなってしまった。ただ前走はスタートを決めて、追っ付けながら追走していたことからも今回はもっと前の位置が取れるはず。先行型が手薄な点も好ましく、10番枠からでも好位でレースを進められると見て、前走からの前進に期待したい。
※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)ジャスティンカフェの前走指数「-20」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも2.0秒速い
●指数欄の下線茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補
ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。
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