【フェアリーS】やっぱり今年も2勝馬は危険! 面白い存在は抽選突破のヒップホップソウルとマイレーヌ

勝木淳

フェアリーSインフォグラフィック,ⒸSPAIA

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少数精鋭の関西馬は不振

正月恒例3日間開催最終日メインは牝馬クラシック第1戦・桜花賞へ向けた一戦。真冬の中山から春の仁川へ。賞金を加算し、その道をつかみとるのはどの馬か。冬の中山特有の1コーナーから4コーナーへ吹き抜ける逆風を突き進む強さを見せてほしい。昨年は勝ったライラックがエリザベス女王杯2着同着、2着は牝馬二冠スターズオンアース。結果的に出世レースだったが、この2頭も当時は1勝馬の身だった。データは過去10年間のものを使用する。


過去10年フェアリーS人気別成績,ⒸSPAIA


まだまだ春までは間がある厳冬期の重賞とあって、例年、核になる実績馬がいない。今年も登録25頭中、出走を確定させている2勝馬は3頭。大半が抽選突破の1勝馬と軸なき一戦の気配が漂う。

過去10年で1番人気は【1-2-0-7】勝率10.0%、複勝率30.0%。勝ったのは14年オメガハートロックが最後。2着以内も3頭と心もとない。上位人気では3番人気【4-0-1-5】勝率40.0%、複勝率50.0%が目立つ。戦歴比較が非常に難しく、人気のかけ違いがしばしば起こる。穴馬の激走も多く、10番人気以下【3-2-0-65】勝率4.3%、複勝率7.1%。大穴の単勝まで期待できる。10番人気は【2-2-0-6】勝率20.0%、複勝率40.0%。1番人気より確率が高い。


過去10年フェアリーS所属別成績,ⒸSPAIA


桜花賞までトライアルは関西が中心。関東所属の3歳牝馬にとってここは貴重な地元で行われる限定戦のひとつ。同時に関西馬にとってわざわざ関東遠征というリスクを冒す状況でもある。相手関係を熟慮しての決断だが、その選択は実際、あまり実を結ばず、栗東所属は【0-2-1-26】複勝率10.3%と結果を残せていない。美浦所属【10-8-9-104】勝率7.6%、複勝率20.6%と圧倒的。地元で賞金加算をという意気込みがここでは勝る。普段は少数精鋭の関西馬狙いでもいいが、ここは関東馬を中心に考える。


前走1勝クラス、マイル戦、惜敗が好走パターン

10番人気以下3勝、波乱傾向と関東馬信頼といったデータを取りあげたが、ここからは前走成績を参考に重賞組と条件戦組のどちらを狙うか絞ってみたい。


過去10年フェアリーS前走クラス別成績,ⒸSPAIA


前走クラスからはGⅠ【0-0-1-11】複勝率8.3%からとりあげる。すべて阪神JFで今年も5着ミシシッピテソーロ、14着キタウイングの2勝馬がここに当たる。3着はナミュール、ラヴェルの母サンブルエミューズが13年に記録したのみ。同馬は阪神JF8着だった。イメージはミシシッピテソーロだが、阪神JFはハイペースに乗じた面もあり、着順は額面通りには受けとれない。

重賞組は前走GⅢ【2-0-0-10】勝率、複勝率16.7%にも注目。6着ディナトセレーネが当てはまるアルテミスSは【1-0-0-7】勝率、複勝率12.5%。勝ったのは17年ライジングリーズンで、アルテミスS13着から巻き返した。アルテミスS9着以内は【0-0-0-6】。スローの瞬発力勝負を番手から粘れなかったディナトセレーネは記録も含め、強調しづらい。


過去10年フェアリーS前走1勝クラス組着順別成績,ⒸSPAIA


オープン・Lも【0-0-0-7】で、やはり前走条件戦組に注目せざるを得ない。前走1勝クラスは【3-7-1-49】勝率5.0%、複勝率18.3%。その前走着順内訳は1着【1-1-0-6】勝率12.5%、複勝率25.0%。前走で2勝目を決めた馬がさほど信用できないのもポイント。前走1勝クラス惜敗の2着【0-2-1-4】複勝率42.9%、3着【1-1-0-5】勝率14.3%、複勝率28.6%も互角以上。10着以下からの巻き返しもあり注意。前走ベゴニア賞2着ヒップホップソウル、白菊賞3着マイレーヌは面白そうだ。


過去10年フェアリーS前走条件戦組距離別成績,ⒸSPAIA


新馬、未勝利、1勝クラスの取捨は細かくて非常にやりにくいので、ざっくりとここを前走条件戦とくくって距離別成績を出す。同距離の前走1600m【7-6-5-46】勝率10.9%、複勝率28.1%が目立つ。イコノスタシス、リックスターなどが該当する。一方で、前走1600m未満の延長は【1-1-3-37】勝率2.4%、複勝率11.9%と確率低めだが、単複回収値は234、115で穴はここから出る。ブルーイングリーン、メイクアスナッチなどが当てはまる。

また距離短縮にあたる前走1600m超は【0-3-1-15】複勝率21.1%。複勝回収値107でここも注意したい。ディヴァージオン、ミタマが当てはまる。ただしこのデータはダートだと【0-0-1-4】複勝率20.0%。

今年も2勝馬は条件戦あがりのメイクアスナッチしかアテにならない。抽選を突破した1勝馬のヒップホップソウルとマイレーヌを好走候補としたい。


フェアリーSインフォグラフィック,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『テイエムオペラオー伝説 世紀末覇王とライバルたち』『競馬 伝説の名勝負 GⅠベストレース』(星海社新書)に寄稿。

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