【アイビスSD】春雷S勝ちの素質馬ヴェントヴォーチェ チグハグだった前走7着から一変だ!

坂上明大

2022年アイビスサマーダッシュの参考レース,ⒸSPAIA

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昨年はオープン馬わずか6頭

夏の新潟名物・アイビスサマーダッシュ。JRA重賞唯一の直線競馬で、ダッシュ力とスピードの持続力が求められる一戦だ。今年は3歳馬の登録がないため、既成勢力の能力比較が予想のポイントとなるだろう。参考レースからスプリント路線の勢力図を整理していきたい。

【2021年アイビスSD】
3回新潟競馬開幕週。同日に芝1600mの2歳レコードが更新されるほどの高速馬場。前開催で荒れに荒れたBコース部分の芝が張り替えられたが、芝が根付いたAコース部分の方が伸びが良く、土日通して内ラチ沿いの好走馬が目立った。新潟芝1000mは外枠有利の傾向にあるが、内ラチ沿いの好走も可能な馬場状態だったと言えるだろう。

1着馬オールアットワンスは7枠14番から好位馬群につけ、残り200m手前で逃げたライオンボスを捉え切る。元来3歳牝馬の強いレースであり、斤量51キロ、かつ外枠の恩恵は大きかったか。昨年からの成長力がポイントだろう。

2着馬ライオンボスは6枠12番から先手を取ったが、斤量57キロの分もあり粘り切れず。また、走破時計は前年より0.2秒速いが、馬場差を考慮すれば今回の方がパフォーマンスは低いとみるべきだろう。オープン馬が6頭しかいなかったメンバー。レースレベルは高くなさそうだ。

4着馬トキメキは5枠9番からの後方待機。進路取りにやや手こずったが、前が開くと鋭い末脚で4着まで追い込んだ。ただ、2着馬ライオンボスから0.6秒差という着差は、スプリント戦としては決定的な差ではあったか。

千直2戦2勝のコース巧者

【韋駄天S】
開催後半、かつ土曜からの断続的な雨により、良馬場ながら重めの馬場状態。外枠有利の新潟芝1000mでもあり、外枠からラチ沿いを走り切る形がベストだっただろう。

1着馬マリアズハートは8枠16番から中団馬群につけ、残り400m過ぎから追い出し開始。持ち味の鋭い末脚で先行勢を一掃し、ラストは流す余裕も見せた。大外枠のアドバンテージは相当大きいが、新潟芝1000m2戦2勝のコース適性は無視できない。

2着馬ロードベイリーフは6枠12番からマリアズハートの後ろにつけ、終盤も同馬を追う形。3/4馬身差ではあるが、斤量54キロというハンデの恩恵はあったか。

3着馬シンシティは3枠5番からハナを主張。ラストまでバテることはなく、芝初挑戦から見せ場十分の走りであった。スムーズに先手を取れたことは大きいが、内枠の不利を跳ね除けての好走には高い評価を与えたい。

6着馬オールアットワンスは2枠4番から内目の進路取り。久々で馬体重10キロ増、かつハンデも重かった。着順以上の評価が必要だ。

10着馬スティクスは初の直線競馬で左手前のまま完走。3枠6番からのスタートでもあり、巻き返しに注意が必要だろう。

重賞初挑戦でチグハグな競馬に

2022年アイビスサマーダッシュの参考レース,ⒸSPAIA



【函館スプリントS】
開幕週でトラックバイアスは内有利。レースはビアンフェが馬群を引っ張り、前後半3F32.8-34.4のハイペース。トラックバイアスの分、極端な追い込み決着にはならなかったが、ベストはイン差しの形だっただろう。

7着馬ヴェントヴォーチェは押して押して先団につけたが、中盤では手綱を引っ張って減速する場面も。3~4角では終始外に張っており、直線に向いても目立った脚を使えなかった。初の重賞挑戦で戸惑う面もあったか。前々走の勝ちっぷりは素晴らしく、スムーズなら一変があって驚けない素質馬だ。

素質馬の巻き返しに期待

最注目は函館SS7着馬ヴェントヴォーチェ。GⅠ級の好時計を記録した春雷Sが素晴らしく、スムーズな競馬なら一変があって驚けない素質馬だ。人気落ちの今回が狙い目。既成勢力ではオールアットワンスが最上位。昨年はメンバーレベルにも恵まれたが、今年も新興勢力は手薄で、近走の成績から人気も手頃だろう。外枠さえ引ければ大崩れはなさそうだ。

注目馬:ヴェントヴォーチェ、オールアットワンス

※記事内の個別ラップは筆者が独自に計測したものであり、公式発表の時計ではありません。

ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。

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