【宝塚記念】ハイレベルな有馬記念組 充実度高いタイトルホルダーとディープボンドが中心

坂上明大

2022年宝塚記念トラックバイアス,ⒸSPAIA

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ハイレベルな上位争い

上半期を締めくくるグランプリレース・宝塚記念。今年は2021年の年度代表馬や大阪杯、天皇賞(春)の優勝馬、そして海外GⅠ馬まで、勢いに乗る一流馬が集結。無冠の大器も多く、例年以上に大混戦の大一番となりそう。週末の天気も重要な一戦だが、まずは参考レースから各馬の潜在能力を探っていきたい。

【有馬記念】
馬場の傷みが進んでいたが、トラックバイアスは内有利と評価。レースはパンサラッサが気風良く逃げて前後半1000m59.4-61.5の前傾2.1秒、2番手タイトルホルダーで同60.3-60.7の前傾0.4秒を計時。近年の有馬記念としては非常にタフな流れで、過去10年では2019年に次いで厳しい展開だったといえる。上位5頭は力が抜けていたが、6~9着馬は二桁番手からの入線。後有利と評価。

1着エフフォーリアは2周目向正面でクロノジェネシスを内に押し込め、直線ではディープボンドとタイトルホルダーを差し切った。ベストは東京芝2000mだろうが、レースセンスが高く好走レンジは幅広い。年度代表馬に選ばれるのにふさわしい、強い勝ち方だった。

2着ディープボンドは好位馬群で脚をタメ、直線も比較的スムーズに進路を確保。持続力勝負も得意なクチで、持ち味が存分に活きた形だ。やや展開に恵まれた感は否めないが、展開を味方につけられるレースセンスが本馬の持ち味といえるだろう。

5着タイトルホルダーは楽をできる区間がほとんどなく、直線は粘り切れず。展開を考慮すれば負けて強しの内容といえる。

13着パンサラッサはオーバーペースの逃げで直線は完全に脚が止まってしまった。持ち味の1F11秒台の逃げは芝2200m以上では苦しく、いかに脚をタメられるかがポイントとなりそうだ。

ハイペースの総合力勝負

大阪杯レース分析,ⒸSPAIA


【大阪杯】
Aコース8週目で見た目には内の馬場が傷んで見えたが、内外のトラックバイアスは認められず。レースはジャックドールが先手を主張し、前後半1000m58.8-59.6の前傾0.8秒。昨年ほどではなかったが、2020年以前とは異なる非常にタフな大阪杯となった。

1着ポタジェはパドックからトモの入りが良く、楽に好位ポジションを獲得。直線入り口でスムーズに外に出すと、ゴール前でもしぶとく粘って悲願のGⅠタイトルを手にした。Blushing Groom持ちのディープインパクト産駒らしく器用貧乏な面はあるが、今回も大崩れなく走ってくるだろう。

3着アリーヴォは中団馬群で脚をタメ、上がり3F最速タイの末脚でポタジェを猛追。0.1秒届かなかったが、ポタジェとの力差はほぼない。

4着ヒシイグアスは万全とは言えない状態でありながらポタジェから0.3秒差。本馬も上位勢との力差は全く感じない。

9着エフフォーリアは初の関西遠征のため調整パターンを変更した点が良くなかったか。ゲートでは顔面を強打するアクシデントもあり、複合的な要因での敗戦であっただろう。うまく立て直せるかがポイントになる。

11着キングオブコージは10キロ増で過去最高馬体重、16着ウインマリリンは前走からの上積みを見込めそうだ。

有馬記念組が中心

2021年有馬記念はハイレベルな上位争い。特にタイトルホルダーはその後の充実度も高く、阪神芝2200mの舞台も得意な部類だろう。ディープボンドもハイレベルな走りを継続。新GⅠ馬が誕生しやすいレースでもあり、同馬が勝ち切る展開もこのレースらしさといえるか。本文では触れられなかったが、デアリングタクトの復活にも要注意だ。

注目馬:タイトルホルダー、ディープボンド、デアリングタクト

※記事内の個別ラップは筆者が独自に計測したものであり、公式発表の時計ではありません。

ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。

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