強く、荒々しい超良血馬が二冠達成 2015年日本ダービー馬・ドゥラメンテ

SPAIA編集部

2015年日本ダービーのレース結果,ⒸSPAIA

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日本ダービーまであと7日

2022年の日本ダービーまで残り7日。連載で過去10年の日本ダービーを一戦ずつ振り返っていく。

超良血の二冠馬

競馬はブラッドスポーツ、つまり血統が重要な競技だと言われる。もちろん、強い馬から必ずしも強い馬が生まれるわけではない。しかし、この世代の頂点に立ったのは紛れもなく超良血の1頭であった――。

2015年の日本ダービー、1番人気はドゥラメンテ。母アドマイヤグルーヴはGⅠ・2勝、その母エアグルーヴもGⅠ・2勝。さらにその母ダイナカールはオークス馬。おじやおばにも重賞馬が多数いる「ダイナカール一族」の出身である。父キングカメハメハはNHKマイルCとダービーを制し、種牡馬としても大活躍。そんな由緒正しい血統を持つ皐月賞馬が、単勝1.9倍の断然人気に推された。

馬名の意味は「荒々しく」。皐月賞ではその名通りの荒いレースぶり。4角で外の馬を弾き飛ばしながら逸走しかけ、そこから中山の短い直線で他馬をごぼう抜き。絶対能力の違いと、気性的な危うさを見せつけるような走りだった。

2番人気は皐月賞2着、共同通信杯で1度ドゥラメンテを破ったリアルスティール、3番人気はその皐月賞で不利を受けた弥生賞馬サトノクラウン、単勝6.3倍。続く4番人気のレーヴミストラルは16.2倍と離れた評価。

スタートが切られると、前年のダービージョッキー横山典弘が出ムチまで入れて、ミュゼエイリアンが逃げる展開。2番手にはキタサンブラック。ドゥラメンテは1角で行きたがるそぶりを見せながらも、こらえて8番手。リアルスティール、サトノクラウンは後方で脚を溜める。

共同通信杯では引っかかって自滅気味の2着に敗れたドゥラメンテだが、折り合いがついたこの日は強かった。外目を堂々と回りながら、唸るような手応えで直線へ。入り口では内の馬にぶつけられる不利もありながら、鞍上のミルコ・デムーロ騎手がゴーサインを出せば瞬時に加速。残り300m地点で早々と先頭に立つと、脚色は最後まで衰えず。経済コースを利して懸命に追いすがる2着サトノラーゼンに1.3/4馬身差をつける完勝劇で二冠目を手にした。勝ち時計2.23.2は当時のダービーレコードである。

この年から日本での通年免許を取得したデムーロ騎手にとっては、2003年のネオユニヴァースに続く、2回目の牡馬クラシック二冠達成。惜しむらくは、さあ秋は菊花賞で三冠か、それとも凱旋門賞へ挑戦か、という贅沢な二択が故障の発覚により幻となったこと。そのポテンシャルの全てを見てみたかった、そんな思いを抱かせるダービー馬である。

2015年日本ダービー・全着順
1着 ドゥラメンテ M.デムーロ 2.23.2
2着 サトノラーゼン 岩田康誠
3着 サトノクラウン ルメール
4着 リアルスティール 福永祐一
5着 コメート 嘉藤貴行
6着 ミュゼスルタン 柴田善臣
7着 タンタアレグリア 蛯名正義
8着 グァンチャーレ 松岡正海
9着 レーヴミストラル 川田将雅
10着 ミュゼエイリアン 横山典弘
11着 ダノンメジャー 小牧太
12着 ポルトドートウィユ 武豊
13着 タガノエスプレッソ 菱田裕二
14着 キタサンブラック 北村宏司
15着 ベルラップ 三浦皇成
16着 コスモナインボール 柴田大知
17着 アダムスブリッジ 和田竜二
18着 スピリッツミノル 酒井学

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