【ドバイWCデー】昨年未勝利の雪辱なるか 日本馬が挑むドバイ8競走の紹介&展望

緒方きしん

昨年のドバイワールドカップ,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ドバイワールドカップデーに日本馬が参戦

2022年3月26日にドバイのメイダン競馬場で「ドバイワールドカップデー」が開催される。今年はドバイゴールデンシャヒーン、ドバイターフ、ドバイシーマクラシック、ドバイワールドカップの4レースでJRAによる馬券発売が行われる。

昨年はクロノジェネシスやラヴズオンリーユー、コパノキッキングらが参戦するも未勝利。今年はドバイシーマクラシックの5頭参戦を筆頭に、リベンジを誓う日本馬たちが多く遠征している。リベンジなるか、それとも再び世界の強さを見せつけられるのか、日本からの出走馬とライバルたちの簡単な紹介と展望をしていこう。

地元勢の層が厚い - ドバイゴールデンシャヒーン

ドバイゴールデンシャヒーンは創設から長い間、日本馬が3着以内に入れずにきた一戦だった。しかし、2019年にマテラスカイが2着に食い込むと、昨年もレッドルゼルが2着と好走。いよいよ悲願の勝利を掴み取るべく、今年はレッドルゼル、チェーンオブラブが参戦する。

重賞タイトルは根岸Sのみだった昨年と違い、今年はJBCスプリント優勝という実績を引っ提げ参戦するレッドルゼルはもちろん、チェーンオブラブも前走サウジアラビア・リヤドダートスプリントでコパノキッキングに先着する3着。好走が期待される。

米国馬は3頭が参戦するのみでやや手薄な印象を受けるが、それでも昨年のBCスプリント2着馬ドクターシーヴェルはGⅠビングクロスビーSなども制している実力派。昨年末に7着と大敗して以来の実戦となるが、まだ4歳と若く、立て直してきているとすれば怖い存在だ。

地元勢は昨年の本レース3着馬キャンヴァストが参戦。昨年レッドルゼルに先着された借りを返したいところだろうか。さらには前走を勝利して乗り込んできたミラース、イースターンワールドやサウジアラビア・リヤドダートスプリントで2着のグッドエフォートなども出走してくるため、今年は例年以上に地元勢に気をつけたいところ。

2022年ドバイゴールデンシャヒーンに出走するレッドルゼル,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)


英米から有力馬が参戦 - ドバイターフ

過去にはジャスタウェイやアーモンドアイ、ヴィブロスらが制してきた芝1800m戦、ドバイターフ。昨年は日本から唯一出走したヴァンドギャルドが2着に食い込むなど、日本馬の活躍が目立つ一戦だ。今年はそのヴァンドギャルドに加え、NHKマイルC勝ち馬シュネルマイスター、中山記念勝ち馬パンサラッサと3頭が参戦。どの馬にもチャンスがある、楽しみな面々だ。

アメリカからはペガサスWCターフを連覇したカーネルリアムが参戦。前々走こそ8着に敗れているものの、アメリカの芝マイル路線ではトップクラスの実績を持つ5歳馬、日本勢にとっては難敵になりそうだ。

さらにイギリスからは前年度覇者ロードノースも参戦する。長期休養明けの前走ウィンターダービーでは2着と、6歳となった今年も実力は健在か。イギリス勢の4歳牝馬サフロンビーチも注目の存在で、英オークスではディープインパクト産駒スノーフォールの前に8着に敗れたものの、得意のマイル路線では現在2連勝中という実力派。GⅠサンチャリオットSを制しているほか、英1000ギニーで2着などの実績を持つ。地元勢の上がり馬アルファリークも未知数な爆発力を秘めている。

レースは逃げ馬パンサラッサがどのようなペースを作り出すか、という点もポイントになるだろう。続くドバイシーマクラシックに向けて、良い流れを作り出したい。

2022年ドバイターフに出走するロードノース,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)


日本馬5頭がBCターフ勝ち馬らと激突 - ドバイシーマクラシック

過去にステイゴールドやハーツクライ、ジェンティルドンナらが制したドバイシーマクラシックは、出走予定馬10頭のうち5頭が日本馬と、上位独占を狙いたい一戦だ。

オーソリティはサウジアラビアのネオムターフカップ1着、グローリーヴェイズは香港ヴァーズ1着からの参戦と、国際色豊かな臨戦過程を歩んでいる。昨年のダービー馬シャフリヤールはジャパンC以来の実戦となるが、ドゥラメンテ、ワンアンドオンリー、レイデオロといったダービー馬が敗れてきたレースで勝ち星を挙げられるか。

しかし迎え撃つ各馬も強力。注目は昨年のBCターフ勝ち馬ユビアー。中長距離路線のスペシャリストで、芝2370m戦→芝2400m戦→芝2400m戦と現在3連勝中。いま勢いに乗る1頭で、非常に強力なライバルとして日本馬の前に立ちはだかるだろう。

他にもコロネーションカップの勝ち馬パイルドライヴァー、英インターナショナルSの2着馬アレンカー、ここ5戦で4勝2着1回という安定感を誇るフクムなど、実力馬が揃った。パイルドライヴァーは前走の香港ヴァーズでグローリーヴェイズの2着に敗れているものの、決して油断できない相手であることは間違いない。

牡馬クラシック皆勤賞のステラヴェローチェ、オークス馬ユーバーレーベンも参戦し、昨年のクロノジェネシス2着、ラヴズオンリーユー3着という悔しい結果のリベンジを目指す。

2022年ドバイシーマクラシックに出走するオーソリティ,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)


米ダート王者が参戦 - ドバイワールドカップ

2011年、オールウェザー開催の時代にヴィクトワールピサ、トランセンドによる感動の日本馬ワンツーがあったドバイワールドカップ。ダート開催に戻って以降は2015年ホッコータルマエなどの5着が日本馬の最高着順だったが、昨年チュウワウィザードが2着と記録を更新。今年もそのチュウワウィザードが川崎記念を制して参戦し、悲願達成への期待が高まっている。

しかし今年のメンバーはかなりの強豪揃い。その中でも筆頭は、BCダートマイル、ペガサスワールドCを連勝しているライフイズグッドだろう。これまで7戦6勝という安定感を誇る4歳馬で、アメリカのダート王者といえる実力馬。先行力を武器に押し切る競馬をドバイの地でも披露するか注目だ。

サウジカップ組も2着馬カントリーグラマー、3着馬ミッドナイトバーボン、5着馬アエロトレムらが参戦。サウジカップはマルシュロレーヌが6着、テーオーケインズが8着に敗れているレースであり、各馬の実力は折り紙つき。アエロトレムはウルグアイ調教馬であり、アメリカの強豪たちとどのような戦いぶりを見せてくれるだろうか。

上記の豪華メンバーに加え、アメリカのホットロッドチャーリー、地元のハイポセティカルなども前走をしっかり勝利して参戦する。出走馬の最年長タイである7歳馬チュウワウィザードがどこまで意地を見せてくれるか、注目したい。

2022年ドバイワールドカップに出走するチュウワウィザード,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)


8レースに22頭の日本馬が出走

その他、JRAによる馬券発売はないものの、4レースに日本馬が参戦を予定している。3歳限定戦UAEダービーに挑戦する日本馬は4頭。サウジダービー2着のセキフウ、全日本2歳優駿2着のコンバスチョン、クラウンプライド、レイワホマレが2016年ラニ以来の勝ち星を目指す。

芝のスプリント戦アルクオーツスプリントには、サウジアラビアからの転戦となるエントシャイデン、ラウダシオンの2頭が参戦。英チャンピオンズスプリントS勝ち馬のクリエイティブフォースら強豪に食らいつきたい。

芝長距離戦ドバイゴールドカップには、2頭のステイゴールド系の日本馬が登場。サウジアラビアで久しぶりの勝利をあげて勢いに乗るベテラン、ステイフーリッシュ、菊花賞6着などの実績を持つゴールドシップ産駒ヴェローチェオロの両馬が、スタミナが試される一戦で勝利を目指す。

ゴドルフィンマイルには2020年のサウジダービー勝ち馬フルフラットが長期休養明けで出走する。管理する森秀行調教師のノウハウで、いきなりの上位進出を狙う。他にもダートの重賞馬ソリストサンダー、芝の重賞馬バスラットレオンと興味深いメンバーが揃った。

日本時間21時20分発走のゴドルフィンマイルから翌1時30分発走のドバイワールドカップまで、8レースに22頭の日本馬が出走する。全馬の無事を祈りつつ、充実したドバイワールドカップデーになることを期待したい。

ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。

《関連記事》
【ドバイWCデー】「落ち着いていて楽しみ」 ステラヴェローチェ、ヴェローチェオロはM.デムーロ騎手騎乗で追い切り
【ドバイブリーズアップセール】ビッグレッドファームがフランケル産駒を落札 注目のダイワメジャー産駒は主取りに

おすすめ記事