【注目2歳馬】後続に2.4秒差をつける圧巻の走り! 武豊&河内洋の兄弟弟子コンビが手がける逸材ジュタロウ

ⒸSPAIA(写真撮影:三木俊幸)
5着以下はタイムオーバー
11月13日(土)阪神4Rのダート1800m の新馬戦は、後続に2.4秒差をつける圧勝劇が見られ、5着以下の5頭(3角で他馬の影響を受けた10着ナリタボルテックスを除く)がタイムオーバーとなる珍しい出来事も起こった。
そんな圧巻のパフォーマンスを見せたのはジュタロウ(栗東・河内洋厩舎)、その背中に跨っていたのは武豊騎手だった。
父はArrogate。現役時代には3歳時にBCクラシックを勝利。現在日本で繋養されているカリフォルニアクロームを破り、レーティング134ポンドを獲得した。現2歳世代が初年度産駒で、先日行われたBCジュべナイルに遠征したジャスパーグレイト(栗東・森秀行厩舎)も後続に1.6秒差をつけて新馬勝ちしている。
スタートして2番手につけたものの、1周目のゴール板を通過するあたりではやや行きたがる素振りも見せながら外を追走。前半5ハロンのレースラップは13.0-11.4-13.2-12.5-12.5(62.6)と新馬戦としては流れていた。しかし3角に差しかかったところで先頭へ踊り出ると、あとは後続との差を広げる一方で12.7-12.6-12.5と持ったままグングン加速する。
ラストは13.2かかったが、最後まで追われることなくゴール。勝ちタイム1:53.6(稍重)は前半5ハロン通過がほぼ同じ(62.5)だった当日の1Rに行われた未勝利戦を1秒も上回るもの。同じ阪神ダート1800mでデビューし、後にGⅠ級5勝の活躍を見せたゴールドドリームの勝ちタイム1:54.0(稍重)と比較しても、ほぼ持ったままで0.4秒速かったということから大物感を感じずにはいられない。
阪神競馬場は前週からダートコースは全体的に上がりがかかっており、パワー型が活躍している馬場状態。そうした中でのこのパフォーマンスを見ると、JRAの舞台だけではなく地方の馬場も得意とする可能性がある。すでにこの世を去った父の貴重な産駒として、ダート中距離界を席巻、その後は兄弟弟子のコンビで世界へ挑戦──。そんな夢を見てみたいものだ。

今年も素質馬が集結
今週末は土曜日に東京競馬場で東京スポーツ杯2歳S (GⅡ・芝1800m)が行われる。本コラムで取り上げたレッドベルアーム(栗東・藤原英昭厩舎)、ダンテスヴュー(栗東・友道康夫厩舎)に加えて、同日デビューのソネットフレーズ(美浦・手塚貴久厩舎)を取り上げたため紹介できなかったイクイノックス(美浦・木村哲也厩舎)、小柄な馬体ながら新馬戦を中団追走から突き抜けたアルナシーム(栗東・橋口慎介厩舎)など今年も好メンバーが顔を揃えそう。
日曜日の東京9R赤松賞(1勝クラス・芝1600m)には、新馬戦をラスト10.8-10.7と驚異的なラップで勝利したナミュール(栗東・高野友和厩舎)が出走予定。府中のターフをどれくらいの末脚で駆け抜けるのか要注目だ。
その他、デビュー戦のフェニックス賞3着、続く小倉2歳Sでは4着と格上挑戦で話題となったデュガ(栗東・森秀行厩舎)は土曜日の東京6R、芝1400mの1勝クラスか日曜日の阪神9R、秋明菊賞のどちらかに出走予定。前者を選択すれば藤田晋氏の「海老・袖白二本輪」の勝負服が関東圏初見参となる。
秋明菊賞には前走10着に敗れたものの距離短縮は歓迎材料のサイード(栗東・角田晃一厩舎)や、新潟2歳S3着のオタルエバー(栗東・中竹和也厩舎)の名前があり、新潟の未勝利戦をレコード勝ちしたジャズブルース(栗東・斉藤崇史厩舎)は平場戦と両睨みの模様。先々に向けても大きな意味を持つ2勝目をあげたいという各陣営の駆け引きは、果たして吉と出るのだろうか。
ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとして記事を執筆している。
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