【マイルCS】京都マイルの好走傾向に合致 東大HCの本命はソウルラッシュ
東大ホースメンクラブ

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秋のマイル王決定戦に国内外のマイラーが集結
日曜日、京都競馬場でGⅠ・マイルCSが行われる。昨年の覇者ソウルラッシュに同2着エルトンバローズ、3着ウインマーベル、今年のヴィクトリアマイル(VM)と安田記念をそれぞれ勝利した4歳馬アスコリピチェーノ、ジャンタルマンタル、更に国外からもドックランズが参戦する。18頭フルゲートとなった。
このレースで前年のマイルCS、同年のヴィクトリアマイル(以下VMと表記)、安田記念の勝ち馬3頭が全て揃うのは2018年以来で2回目(※07年は前年マイルCSと同年安田記念を勝ったダイワメジャー、VM勝ち馬コイウタが出走)。国内のマイラーが一堂に会し、2年連続の海外馬参戦もあって盛り上がることは間違いない。過去10年のうち、京都開催だった7戦のデータから馬券を組み立てる。
東京マイルの成績は当てにならない?

<マイルCS 直近1年のマイルGⅠ出走歴別成績>
同年安田記念出走【4-7-1-33】勝率8.9%/連対率24.4%/複勝率26.7%
同年VM出走【1-0-0-12】勝率7.7%/連対率7.7%/複勝率7.7%
同年NHKマイルC出走【0-0-0-10】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率0.0%
前年マイルCS(京都)出走【1-4-1-18】勝率4.2%/連対率20.8%/複勝率25.0%
→その4着以内【1-4-1-8】勝率7.1%/連対率35.7%/複勝率42.9%
まずは直近1年のマイルGⅠ出走歴およびそこでの結果に注目して、マイルCSでの成績を調査した。
同年の安田記念に出走した馬の全体成績は【4-7-1-33】。意外にも着順は参考にならず、3着以内【3-0-0-9】複勝率25.0%に対し、6着以下【1-4-1-20】同23.1%と大きな差がない。10着以下でも【1-1-1-11】同21.4%だ。
安田記念出走馬のうち、マイルCSで5番人気以内になれば【4-6-0-10】複勝率50.0%にはなるが、1番人気は【0-1-0-4】、2番人気は【0-3-0-3】とイマイチ。ジャンタルマンタルを推す材料としては足りない。
同年VM出走馬はそもそも数が少ないが、全体成績【1-0-0-12】。唯一の好走例が23年1着ナミュールだった(VMは7着)。VMで3着以内だった馬も5頭いて全滅している。アスコリピチェーノにとって当時より相手関係は格段に強化されており、強調できない。
同年NHKマイルC出走馬は【0-0-0-10】。同年に限らず「NHKマイルC出走経験馬」としても【1-0-0-30】で、その勝ち馬が【1-0-0-6】、2着馬が【0-0-0-4】と戦えていない。ここでもジャンタルマンタル、アスコリピチェーノは減点となる。
最後に前年のマイルCS(京都開催のみ)出走馬は【1-4-1-18】。その4着以内だと【1-4-1-8】複勝率42.9%となり、複勝回収率も100%を超える。人気馬で唯一これに該当するソウルラッシュは高評価で、エルトンバローズ、ウインマーベルも侮れない。
中団待機からのチョイ差しが理想

<マイルCS 脚質別成績>
逃げ先行【1-1-3-25】勝率3.3%/連対率6.7%/複勝率16.7%
差し【4-6-2-44】勝率7.1%/連対率17.9%/複勝率21.4%
上がり3F1位【1-0-1-6】勝率12.5%/連対率12.5%/複勝率25.0%
次に脚質別成績を見る。前に行った馬に厳しく、逃げ先行は合わせて【1-1-3-25】。勝利は16年のミッキーアイルだけだ。最も連対率、複勝率が高いのは差し【4-6-2-44】で、追込も2勝を挙げている。
一方で、末脚だけで決めきることも難しい。上がり最速馬が【1-0-1-6】とほとんど届いておらず、3位以内も【4-0-3-18】同28.0%とあまり良くない。逃げ先行受難にもかかわらず、上がり6位以下でも7連対。つまり「中団で追走し、そこそこの脚を使った馬」の好走が多いということだ。
これと関連して「直近1年以内にマイル以上の重賞で4角10番手以下から上がり最速をマークした馬」は【2-1-1-26】複勝率13.3%と振るわない。オフトレイルやラヴァンダのようなタイプは狙いにくい。
また「直近1年以内にマイル重賞で逃げたことがある馬」は【0-0-0-12】、先行した馬も【2-4-0-39】複勝率13.3%、複回収率25%と低調だ。ジャンタルマンタルは安田記念で先行して勝利しており、このデータがネックとなる。
アスコリピチェーノも微妙なところ。1351ターフスプリントでは先行策、VMはほぼ最後方からの追い込みだった。どちらもマイルCSの好走傾向からはズレていると感じる。
消去法とはなるが、昨年覇者ソウルラッシュが軸としては最適だ。その他、同様の脚質としてエルトンバローズ、チェルヴィニアあたりに注目したい。
昨年快勝の舞台で逆転へ
◎ソウルラッシュ
昨年から9戦連続で馬券圏内に好走。中でも今年のドバイターフでは香港最強馬ロマンチックウォリアーを負かしている。上がり最速は昨年のマイラーズC以降なく、まさに「中団で待機し、そこそこの脚を使う馬」に合致する。
過去2年マイルCSは2、1着と大得意の舞台。ここ2戦連続でジャンタルマンタル、ガイアフォースに先着されているが、どちらも前にいた2頭を捉えられなかったもの。先行馬が厳しいこの舞台なら逆転もあり得るし、仮にアタマでなくとも馬券圏内に入る確率は最も高い。
◯ガイアフォース
前走が実に3年ぶりの勝利となったが、それまでにマイルGⅠで2着2回、4着2回と実力は見せてきている。また、同コース施行の23年マイラーズCではシュネルマイスター(NHKマイルC勝ち馬)とクビ差の2着で、ソウルラッシュにはクビ差先着している。マイルCS自体は初参戦となるが舞台に問題はないだろう。
前走こそ先行したが、過去の好走パターンは中団からの競馬が多く、適性面でも高評価。十度目のGⅠ挑戦となるが、最も勝利に近い条件だ。
▲ジャンタルマンタル
朝日杯FS、NHKマイルC、安田記念を制しており、牡馬マイルGⅠ完全制覇がかかる。京都外回りでは新馬戦、デイリー杯2歳Sの勝利経験がある。半年ぶりのレースとなった安田記念では、3番手から押し切り0.2秒差の快勝と非常に強い内容だった。
ただしその先行脚質は懸念点。ガイアフォースと違ってこちらは今回も先行する可能性が高く、逃げすら考えられるこの馬に全幅の信頼は置けない。1番人気ならば嫌う価値はある。
以下エルトンバローズ、レーベンスティール、チェルヴィニアまで印を回す。
アスコリピチェーノは海外帰り、京都マイルへの不安、C.ルメール騎手のマイルCSとの相性(京都の近7回で【0-1-0-6】。1番人気4回、2〜3番人気が各1回あるなかでの成績)を踏まえ、今回は消しとする。馬券は◎単勝、◎-◯ワイド、◎-◯-4頭の3連複で勝負する。
▽マイルCS予想▽
◎ソウルラッシュ
◯ガイアフォース
▲ジャンタルマンタル
△エルトンバローズ
×レーベンスティール
×チェルヴィニア
ライタープロフィール
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ京都大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
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