【マイルCS】持続する末脚を生かし春秋マイルGⅠ連覇へ 京大競馬研の本命はジャンタルマンタル
京都大学競馬研究会

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史上初の牡牝混合JRA芝マイルG1完全制覇も
11月23日(日)にマイルCS(GⅠ)が行われる。安田記念の1〜3着馬をはじめ、今年も秋のマイル王決定戦にふさわしい国内最高峰のメンバーが揃った。なかでもジャンタルマンタルは勝てば春秋マイルGⅠ連覇、そして牡馬が出走可能な国内芝マイルGⅠ完全制覇という史上初の偉業が懸かる大注目の一戦だ。
以下では、本レースが行われる京都芝1600m(外回り)のコース形態とそれに起因するレースの質、そして想定される展開を踏まえ予想する。
地力の高い差し脚確かな馬が有利
まずは京都芝1600m(外回り)のコース形態をみる。向正面の2コーナーポケットからスタートし、初角までの距離は約700m。向正面半ばから徐々に坂を上り、3コーナーで頂上を迎え、4コーナーにかけて下る。最後に約399m(Cコース使用時)の平坦な最終直線を駆け抜ける。これが今回のコースレイアウトだ。
まず注目すべきは、初角までが約700mとかなり長い点だ。先手争いは長引き、序盤のペースは上がりやすい。その後も3コーナーからは下り坂となるため、ここでもペースが締まる。スタートからゴールまで淀みないラップが続く、かなりタフなコース形態だ。
序盤、中盤で淀みないラップを刻むため先行負荷が大きい。また、Cコース替わりの比較的キレイな馬場で後続も脚を使わずに追走でき、速いペースの割に馬群が凝縮する。先行勢が十分なリードを築けない状態で最終直線を向かえることが多い。
先行勢が粘り込むには、3〜4角でリードを保つための早仕掛けから持続力勝負に持ち込むしかない。しかしそれまでの先行負荷もあり、持続力勝負を得意としていない馬や、地力のない馬は直線半ばでいっぱいになる。
したがって、中団〜後方を追走した、地力の高い差し脚確かな馬が順当に好走しやすい。これがこのコースが持つレースの質だ。
残し切ることは至難の業

<マイルCS 4角通過順別成績>
4番手以内
【1-2-4-37】
勝率2.3%、連対率6.8%、複勝率15.9%
単勝回収率13%、複勝回収率59%
※京都開催の直近10回
この傾向は数字にも表れている。京都開催のマイルCSにおける4角4番手以内馬の成績は上記の通りでかなり苦しい。1勝、2着2回、馬券内30頭のうち7頭に留まっており、4角先頭勢が残し切ることは至難の業だ。
Cコース替わりで内前を立ち回れることだけを買われ、過剰人気が想定される地力の足りない馬は評価を下げたい。順当に地力が発揮されやすい条件であることを念頭に置き、各馬の能力比較を徹底する。この点を踏まえて次に展開予想をする。
ウインマーベル、トウシンマカオが引っ張る、引き締まった展開
続いて今回想定される展開から恵まれる馬を考える。メンバー構成は前走通過順位に3番手以内のある先行馬が5頭と、出走馬全18頭に対してそれなりにいる。
安定した先行力のあるウインマーベルと400m距離延長のトウシンマカオが先手を主張。ここにソウルラッシュ、ガイアフォース、ジャンタルマンタル、レーベンスティールといった地力上位馬が追走する形になれば、まず緩いペースにはならない。2頭が引っ張る、引き締まった展開だ。
この展開で恵まれるのは、やはり地力の高い差し脚確かな馬だ。ただ、最後方から一気に差し切れるほど前総崩れの展開ではない。中団から外に持ち出して末脚を伸ばす形がベストだろう。中団で運べるだけの追走力や、下り坂で前までマクれる機動力も評価したい。
舞台適性◎ 持続する末脚が最大の武器
◎ジャンタルマンタル
前走の富士Sは好スタートから2、3番手で先行。早めに抜け出したガイアフォースに迫るも届かず0.1秒差2着だった。鞍上のレース後コメントの通り本番であるマイルCSを見据えた仕上げで、過去最高馬体重506kgでの出走。この状態で斤量59kgを背負い、2kg斤量の軽いガイアフォースに0.1秒差なら、ここは逆転可能とみる。3着以下は0.3秒離しており、勝ちに等しい内容だったと評価する。
2走前の安田記念の内容からもマイル路線では国内最上位の地力を持っている。最大の武器は安定した先行力と持続する末脚。他馬のテンの速さを考えると、今回は自然と中団前目からの追走となる。キャリア1、2戦目を京都で勝利しているように舞台適性も高く、下り坂から持続する末脚が最大に生きる。
叩き2走目かつ斤量減の今回、ベストに近い状態まで仕上がっている。スムーズな追い出しで能力を最大限発揮すれば勝ち負け必至とみて本命を打つ。
◯ソウルラッシュ
富士Sは5番手追走から上がり3F8位の脚で0.4秒差3着、2走前の安田記念は12番手追走から上がり3F2位の脚で0.3秒差3着。もともと府中の瞬発力戦向きの馬ではないが、近2走はジャンタルマンタル、ガイアフォースにその適性の差で離されている感が強い。依然として今が全盛期で、マイル路線では国内最上位の一角であるという評価は変わらない。
昨年のマイルCSで圧勝劇を見せたように、末脚の持続力が試される京都芝1600mはこの馬にとってのベスト条件。前走からの上積みに期待して2番手評価とする。
▲ガイアフォース
6歳にしてマイラーとして本格化。4歳以降、マイル〜中距離の様々な距離を芝ダート問わず挑戦し、その一線級相手に善戦してきたが、ここでやっと正解に辿り着いた感がある。近2走でジャンタルマンタル、ソウルラッシュという国内最高峰のマイラー相手にその適性の高さを示している。脚質にも自在性があり、ここも好位か中団で追走できる。マイラーズC2着の実績はあるものの、上位2頭には舞台適性でやや劣るとみて3番手評価とする。
△アスコリピチェーノ
ジャンタルマンタルと並んでハイレベルな4歳マイル路線を代表する実力馬。最後に強烈な決め手があり、京都外回りは本質的に合っている。勝利した2走前のヴィクトリアマイルは3着馬シランケドが次走以降、ハイレベル戦の新潟記念1着、天皇賞(秋)4着と走っており、本馬も高く評価できる。この馬の強みを最大限に生かす騎乗に期待して印を打つ。
買い目は◎単勝1点、◎-◯馬連1点、◎-◯-▲△3連複2点で勝負する。
▽マイルCS予想▽
◎ジャンタルマンタル
◯ソウルラッシュ
▲ガイアフォース
△アスコリピチェーノ
◎2024年勝負買い目個人成績(東海S〜ホープフルS:25記事)
・単勝27点→4830円 回収率178.9% 的中率37.5%(的中9R/推奨24R)
・馬連105点→12480円 回収率118.9% 的中率42.9%(的中9R/推奨21R)
・3連複204点→22410円 回収率109.9% 的中率17.4%(的中4R/推奨23R)
ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で30周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。
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