【マイルCS】「前走GⅡ以上で3着以内」は単回収率116% 春秋マイル連覇挑むジャンタルマンタルを中心視

貴シンジ

マイルCS 前走クラス別成績(過去10年),ⒸSPAIA

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3つのファクターから推奨馬を見つけ出す

今回は11月23日(日)京都競馬場で行われるマイルチャンピオンシップについて下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。

・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走の内容」
・適性と素質を知るための「血統評価」

特別登録のあった22頭のうち除外対象のシャンパンカラー、タイムトゥヘヴン、ランスオブカオス、ニホンピロキーフを除いた18頭を検討対象とし、過去10年のデータを使用する。

重要データ:前走GⅠ、GⅡで好走した馬に注目

前走クラス別成績,ⒸSPAIA


秋のマイル王決定戦となるマイルCS。京都競馬場の芝1600m(外)はクセが少ないコースで、安田記念同様に実力が発揮されやすい舞台だ。データにも数字として表れており、レース全体の単勝回収率は41%、複勝回収率は49%と極端に低い。大穴から入るのは避けたいレースと言える。

重要視したいのは前走クラス別成績。マイル王決定戦のGⅠとだけあって、前走OP・L以下のクラスからは一頭も馬券に絡んでいない。

GⅢ組は【1-4-0-38】で単勝回収率20%、複勝回収率26%。連対馬が5頭出ているものの、23年2着ソウルラッシュを除く4頭はGⅡ昇格以前の富士S組だった。積極的には狙いづらい。

GⅡ組は【5-4-7-72】と、最も多くの好走馬を送り出しており、GⅠ組(国内)も【4-2-3-21】と、安定した成績を残している。さらに「前走3着以内」という条件で絞ると、GⅠ・GⅡ合わせて【9-6-5-33】勝率17.0%、複勝率37.7%に上昇。回収率は単勝116%、複勝回97%と有効なデータが浮かび上がる。

【前走、GⅠ・GⅡで3着以内だった出走予定馬】
・オフトレイル
・ガイアフォース
・ジャンタルマンタル
・ソウルラッシュ
・ラヴァンダ
・レーベンスティール
・ワイドラトゥール

前走の内容:ジャンタルマンタルの富士S

ジャンタルマンタルは前走の富士Sで2着。当時の東京競馬場は良好な馬場状態でかなり時計が出ていた。レースは前半4Fが46.7秒、後半4Fが45.0秒で後傾1.7秒のスローペース。内側の芝も綺麗だったことから前々で経済コースを走った馬が恩恵を受けたレースだったと言える。

勝利したガイアフォースは逃げ馬の外2番手と絶好のポジションだった。同馬の外につけたジャンタルマンタルも決して悪い位置ではなかったが、前に壁が作れずかなり折り合いを欠いてしまった。

加えて、レース前からテンションが高く、発汗も目立っていた。別定59キロの斤量も響いたとみる。それでも勝ち馬から0.1秒差の2着とまとめてきただけに本馬の能力の高さを感じた一戦だった。

今回はGⅠということもあって前走ほどペースが遅くなることは考えにくい。ペースが上がるほど強さを発揮する馬なので改めて期待する。

血統解説:ジャンタルマンタル

ジャンタルマンタルの血統表,ⒸSPAIA


・ジャンタルマンタル
母インディアマントゥアナが米国産馬のため、日本での牝祖は母。同馬は現役時、レッドカーペットH(GⅢ・芝11F)を勝利した実績馬だ。一方、本馬の父Palace Maliceは、日本の長距離路線で結果を残しているアイアンバローズやジャスティンパレスの半兄にあたる。

元々この母系は持続性能が高く、スタミナも兼ね備えているが、Palace Maliceを父に配したことで、ジャンタルマンタルはその持続性能にさらに磨きがかかった印象だ。本馬はスピード性能が抜群に高いことで、ベストの距離がマイルになっているが、持続性能の高さもしっかりと受け継いでいる。ペースが上がりやすいGⅠの舞台は最も合う。

前走のようなスローペースからの末脚比べになるとアスコリピチェーノ、ソウルラッシュなどに後れを取る場面も考えられる。だが今回は、ウインマーベルやトウシンマカオなど、スプリント戦でも位置を取れる馬が参戦することで、ジャンタルマンタルが得意とする持続力勝負になりそうだ。

Cアナライズではジャンタルマンタルを推奨

Cアナライズではジャンタルマンタルを推奨する。今回は春秋マイルGⅠ連覇がかかった一戦。直近10年ではグランアレグリアやインディチャンプ、モーリスが達成した名馬の証であり、ジャンタルマンタルもそれに負けないだけの素質を備えている。

手綱をとる主戦の川田騎手も本馬のことを知り尽くしている。前走後には「前哨戦としては十分」といった趣旨のコメントを残しており、この秋の大目標である一戦は落とせない。

《ライタープロフィール》
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。

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