【キーンランドC】3歳マイル王パンジャタワーの取捨がカギ 侮れない「UHB賞組」フィオライア

勝木淳

過去10年のデータから見るキーンランドC,ⒸSPAIA

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スポット参戦の外国人騎手の取捨は?

サマースプリントシリーズ終盤に位置するキーンランドカップはシリーズ優勝の分岐点であると同時に、スプリンターズステークスを意識した実績馬が休み明けで出走するレースでもある。昨年の1番人気ナムラクレアはその典型で、結果は5着。本番は3着に終わった。

対して、勝ったサトノレーヴは函館スプリントSからの連勝で、サマースプリントシリーズ王者に就いた。シリーズ制覇と休み明け。そんな温度差を馬券に反映させるのも、晩夏から秋のはじめの攻略法でもある。データは過去10年分を使用する。


人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気【3-1-1-5】勝率30.0%、複勝率50.0%や2番人気【2-4-1-3】勝率20.0%、複勝率70.0%など、上位人気はそれなりに信用できる。一方で、昨年のナムラクレアのように実績馬が休み明けで登場し、ひと叩きと割りきって参戦するケースもあり、全幅の信頼とまではいかない。

8番人気【1-2-0-7】勝率10.0%、複勝率30.0%や9番人気【0-1-3-6】複勝率40.0%といった人気の盲点も存在しており、単純に実績だけを買うわけにはいかない。

年齢別成績,ⒸSPAIA


年齢別では3歳【2-3-0-18】勝率8.7%、複勝率21.7%に4歳が【3-3-5-23】勝率8.8%、複勝率32.4%で、5歳も【4-3-3-39】勝率8.2%、複勝率20.4%と主力3世代はほぼ互角。3歳と古馬の斤量差は基本2kgだが、パンジャタワーはNHKマイルCを勝っており、斤量差はない。3歳のデータが当てはまらない可能性はある。

騎手所属別成績,ⒸSPAIA


毎年、キーンランドCの週にはワールドオールスタージョッキーズ(WASJ)が開催される。世界の名手が札幌に集結する夏の風物詩だが、キーンランドCもそんな名手へ騎乗依頼がくるケースが目立ち、予想をさらに難しくする。

海外所属は【2-2-0-15】勝率10.5%、複勝率21.1%なので買いたくなるところ。ただし、内訳をみるとJ.モレイラ騎手【1-2-0-3】にD.レーン騎手【1-0-0-0】で、2人以外は【0-0-0-12】。ようは短期免許常連騎手だけ。さすがにスポット参戦ながら重賞で好走するのは容易ではない。

ついでに騎手データでは、栗東所属が【7-6-6-57】勝率9.2%、複勝率25.0%と圧倒的。WASJには東西のトップどころが集結するにもかかわらず、関西の騎手が極端に強い。確かに騎手は東西を比べると西が強いわけだが、それにしても極端な数字だ。関西所属に狙いを絞っていくのもおもしろい。

パンジャタワーの適性

話題の中心は3歳マイル王パンジャタワー。同世代で連勝中のレイピアは斤量の恩恵もあり、侮れない。

古馬勢はUHB賞を勝ったフィオライア、アイビスサマーダッシュ4着カルロヴェローチェ、青函Sを勝ちエーティーマクフィなどが中心を担う。スプリント戦に舵を切るパンジャタワーは実績馬でもあり、どこまで状態面で充実しているか見極めよう。

前走クラス別成績,ⒸSPAIA


前走NHKマイルCは【1-0-0-3】。2016年ブランボヌールが前走6着から巻き返した。NHKマイルC勝ち馬の参戦は、キーンランドCが重賞になった2006年まで広げてもない。

マイルGⅠを勝った直後に、GⅢのスプリント戦に出走するというのは考えにくい。ただ、パンジャタワーはそもそも1400m適性が高く、血統的にもスプリンターの可能性もある。適性を見込んだ参戦となると、その見立てを信用するのも手ではないか。

前走OP/L・着順別成績,ⒸSPAIA


前走OP・L組は【3-3-2-58】勝率4.5%、複勝率12.1%。レース内訳は中1週のUHB賞【2-3-1-41】に対し、函館の青函Sは【0-0-1-4】。間隔は詰まるが、滞在で状態を維持できるUHB賞組はカギになる。

OP・L組全体の着順別成績は1着【1-2-2-13】勝率5.6%、複勝率27.8%と好走馬はそれなりに出ているものの、出走数を考えると確率面で頼りない。当然、前走1着は人気に推されるので、あえて嫌うのもいい。

狙うなら6~9着【2-0-0-13】勝率、複勝率13.3%か。とはいえ、こちらもデータで推奨できるというほどでもない。だが、人気薄ゾーンではある。該当馬がいれば狙いたい。

過去10年のデータから見るキーンランドC,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『名馬コレクション 純白の奇跡』(ガイドワークス)に寄稿。

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