【札幌記念】1番人気は13連敗 函館記念「6~9着」アルナシーム&ボーンディスウェイに好データ
勝木淳

ⒸSPAIA
豪華GⅡも1番人気13連敗中
夏の札幌のハイライトといえば札幌記念。数々のGⅠ馬の競演もあり、近年もソダシ、ノームコア、ブラストワンピースなど豪華な勝ち馬が並ぶ。天皇賞(秋)を意識するローテーションはエアグルーヴがきっかけ。夏場に北海道で調整し、暑さが和らぐタイミングでトレセンに戻るという計画は理に適っている。
だが、今年は北海道も暑い。特に内陸の札幌は函館とは比べものにならない。GⅠを狙うローテーションも今後、変わっていくだろう。暑さとの戦いに出口はあるのか。年を追うごとに深刻になる課題でもある。
ここでは今年の札幌記念について、過去10年のデータから傾向を探っていく。

人気別成績では、1番人気は【0-3-3-4】複勝率60.0%。豪華メンバーが集うGⅡではあるが、1番人気の勝利は2011年トーセンジョーダンが最後であり、現在13連敗中だ。
ビッグネームが休み明けの叩き台的なニュアンスで出走し、惜敗といった場面は札幌記念の風物詩でもある。今年も昨年の桜花賞馬ステレンボッシュが出走予定。近況が冴えないので、1番人気はないかもしれないが、シナリオとしては惜敗止まりも考えられる。
一方で2番人気は【4-1-0-5】勝率40.0%、複勝率50.0%と好成績。3番人気【2-1-0-7】勝率20.0%、複勝率30.0%、5番人気【3-0-1-6】勝率30.0%、複勝率40.0%あたりに好走ゾーンがあり、1番人気が未勝利とはいえ、さすがは定量GⅡ戦らしく、波乱の目は少ない。上位人気の順番違いなどでそこそこ大きな配当を狙うのもいい。

続いて年齢別成績について。頭数こそ少ないがあえて札幌記念に挑戦する3歳は【1-1-1-5】勝率12.5%、複勝率37.5%。賞金が足りている実績馬中心の数字としてはさほど高くない。やはり古馬の壁はそれなりに感じる。
古馬勢は4歳【3-0-2-28】勝率9.1%、複勝率15.2%、5歳【3-6-5-25】勝率7.7%、複勝率35.9%、6歳【3-1-1-28】勝率9.1%、複勝率15.2%と勝ち星には年齢差がない。ただし、馬券圏内という意味では5歳が一歩リードといった印象で、連軸向きといえる。
函館記念組は好走より敗退
ステレンボッシュ以外では、函館記念を勝ったヴェローチェエラ、2着ハヤテノフクノスケ、クラシック三冠の好走歴があるコスモキュランダ、重賞ウイナーのシュトルーヴェ、アルナシームなどが実績馬としてあがる。上位人気が割れる組み合わせになりそうだ。

前走クラス別では、前走GⅠ【4-7-6-25】勝率9.5%、複勝率40.5%に注目。勝率と比べると複勝率が目立つのも実績馬の惜敗が多い札幌記念を象徴したデータだ。ビッグネームは逆らいこそしないが、1着には置かない。そんな作戦もありだろう。

札幌記念の最有力である前走安田記念組【2-3-1-5】勝率18.2%、複勝率54.5%が今年は不在。前走大阪杯は【1-0-1-6】勝率12.5%、複勝率25.0%と、同じ2000mのわりに頼りない。
前走宝塚記念は【0-2-2-5】複勝率44.4%。着順別に見ると6~9着【0-1-2-2】複勝率60.0%なので、リビアングラス(7着)は悪くない。同馬は2200m巧者であり、2000m出走は昨年10月の魚沼S以来となる。テンから忙しい競馬にならなければ、好位で粘り腰を発揮しそうだ。

GⅠ経由の実績馬に対するのは前走函館記念組【2-1-1-30】勝率5.9%、複勝率11.8%。出走数のわりに好走馬は出せていないが、着順別成績を確認すると納得できる。函館記念勝ち馬は【0-0-1-2】複勝率33.3%、2着馬【0-0-0-4】など不思議と好走組の成績はよくない。コース替わりというより、前走好走からさらに状態が上向きになりづらいからではないか。
反面、好走は前走6~9着【2-1-0-6】勝率22.2%、複勝率33.3%に集中する。ヴェローチェエラ、ハヤテノフクノスケより6着アルナシーム、8着ボーンディスウェイに妙味を感じる。アルナシームは今年の中山金杯勝ち馬であり、小回り2000mは元来得意。函館記念は大阪杯以来の休み明けゆえの敗戦と解釈するなら、今度は変わり身を期待できる。

《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『オルフェーヴル伝説 世界を驚かせた金色の暴君』(星海社新書)に寄稿。
《関連記事》
・【札幌記念】過去10年データ
・丹内祐次騎手が前年比36勝増の100勝超ペース 2025年上半期「躍進した騎手、低迷した騎手」
・単複回収率200%超!武豊騎手の激アツ条件 サマー重賞に強い騎手、調教師を徹底分析
