【京都大賞典】開幕週で強靭なスタミナと先行力が生きる 京大競馬研の本命はディープボンド

京都大学競馬研究会

京都大賞典の4角5番手以内馬の成績(京都開催の直近10回)

ⒸSPAIA

開幕週の高速馬場とコース形態の兼ね合いに注意

10月6日(日)に京都大賞典(GⅡ)が行われる。1着馬には天皇賞(秋)の優先出走権が与えられ、秋のGⅠ戦線を占う重要な一戦。今年は春のグランプリ・宝塚記念を制したブローザホーンをはじめ、昨年の勝ち馬プラダリア、天皇賞(春)で4年連続馬券圏内の偉業を達成したディープボンド、昨年の神戸新聞杯勝ち馬サトノグランツなど、11頭の少頭数ながら多くの重賞勝ち馬が集結した。

以下では、本レースが行われる京都芝2400mのコース形態とそれに起因するレースの質、そして想定される展開を踏まえ予想する。

まずは京都芝2400mのコース形態をみる。4コーナーポケットからスタートし、初角までの距離は約600m。平坦な1~2コーナーを回り、バックストレッチは約500m。向正面半ばから上り坂があり、3コーナーで頂上を迎え、そこから4コーナーにかけて一気に下る。最終直線はAコース使用時403.7mで平坦となっている。

まず注目すべきは初角までの距離だ。約600mとかなり長い。先手争いは長引きやすく、序盤のペースは流れやすい。1~2コーナーに入った後はペースが落ち着き、向正面に上り坂があるため、ここでもペースは上がりにくい。

加速するのは3コーナーの上り坂頂上から。ここからの下り坂で先行勢が一気にスピードを上げていく。そのため最終直線に入るまでに後方勢が先行勢とのポジション差を埋めにくい。

こういうコース形態の場合、通常は先行勢がそのまま押し切りやすい。しかし京都芝2400mは初角までの距離が長く、序盤の先行負荷がそれなりに大きいため、地力のない先行勢は最終直線半ばで一気に脱落する。したがって3~4コーナーの下り坂を生かして前目の位置までマクれる差し馬が恵まれやすい。これがこのコースが持つレースの質だ。

ただ注意しなければならないのは、今回が開幕週の馬場という点だ。特に今年は阪神競馬場の改修工事の影響で年末まで続くロングラン開催。馬場造成はかなり硬めで、開催序盤は内前有利の高速馬場だと想定される。マクり差しが届きやすいコース形態と、内前有利の高速馬場の兼ね合いをどう捉えるかが重要だ。

京都大賞典、4角5番手以内馬の成績,ⒸSPAIA


<京都大賞典 4角5番手以内馬の成績(京都開催の直近10回)>
【6-7-4-35】勝率11.5%、連対率25.0%、複勝率32.7%、単勝回収率218%、複勝回収率103%

この兼ね合いの難しさは数字にも表れている。京都大賞典で4角5番手以内馬の成績は上記に示した通り優秀。ただ馬券内30頭のうち17頭と、馬券内を独占するほどではない。開幕週だからといって、4角で前目の位置にいることが必須条件とまでは言い切れないだろう。これはマクり差し有利なコース形態に起因する。

先行勢であれば序盤の先行負荷に耐えられる地力の高さ。後方勢であれば下り坂を利用して前目の位置までマクれる機動力。今回印を打つ上でこの2点を重視したい。

開幕週の馬場を生かせる地力の高い先行馬を重視

続いて今回想定される展開から恵まれる馬を考える。メンバー構成は前走通過順位に3番手以内のある先行馬が4頭で、出走馬全11頭に対して少なくない。

ただ今回はバビットのテンの速さが抜けている。この馬がペースメーカーとなる可能性が高い。同馬の近4走を見ても他馬にあわせて逃げるペースを変える馬ではない。今回も1000m通過60秒を切るようなハイペースで逃げるだろう。ただ、他の先行馬は追走力がそこまで高くなく、バビットの単騎逃げが濃厚。やや離れて馬群が伸びた2番手集団といった形が想定される。

この展開で最も恵まれるのは、序盤の先行負荷をものともせず開幕週の馬場を生かせる先行馬だ。道中仕掛けるタイプの差し馬が少なく、中盤でペースが緩んでも、縦長の馬群はそこまで縮まらないだろう。

機動力を持つ差し馬よりも、下り坂から惰性で残せる先行馬(序盤の負荷をものともしない地力とスタミナがあることが大前提)の方がやや展開有利だと考える。

強靭なスタミナと安定した先行力が武器

◎ディープボンド
前走の宝塚記念は0.9秒差7着。重馬場の外ラチ沿いしか伸びない超外差し馬場での敗戦で、完全に度外視可能だ。

2走前の天皇賞(春)は0.4秒差3着。1000m通過59.7秒という3200mとしては超ハイペースを2番手で先行。2、4、5着に4角10番手以下の馬が入る差し有利な展開を強靭なスタミナで粘り、天皇賞(春)4年連続馬券内の偉業を達成した。逆に3走前の阪神大賞典はスローペースからの瞬発力戦。上がり3Fのキレ味がない本馬には分が悪かった。

近3走からみて、この馬の最大の武器は間違いなくスタミナ。好走パターンは明確で、重賞級の馬でも脱落するような流れを先行し、持ち前のスタミナを生かす競馬をしたときだ。

今回、バビットが作るハイペースな展開はピッタリ。鞍上の幸英明騎手も1週前追い切りで「前々で運んでスタミナを生かす形が理想」と話した。この馬の良さを最大限に引き出してくれるだろう。近2走からは1kgの斤量減、得意な京都コースと像県は揃い、開幕週の高速馬場なら簡単には止まらない。

◯ブローザホーン
前走の宝塚記念は超外伸び馬場の恩恵はあったものの圧勝。2走前の天皇賞(春)は差し有利な展開が向いての0.3秒差2着。能力、実績ともに間違いなく最上位だ。

同条件の日経新春杯を勝った実績もあり、本命級の評価を与えるのが妥当だ。脚質的には最後方からの競馬が想定されるが、高確率で馬券内には来るだろう。しかし、今回は開幕週の馬場で大外枠、キャリア最重量の斤量59kg。1着には届かない可能性も十分にあるとみて対抗とする。

▲プラダリア
前記2頭に次ぐ実績馬。今年の京都記念と昨年の京都大賞典を勝利しているように京都コースは得意としている。安定した先行力と堅実な末脚を使えるのが最大の強み。

近2走はGⅠでも僅差の4、6着と走っている。前々で運び、持ち前の堅実な末脚を発揮できれば順当に上位に好走してくる。

△サトノグランツ
昨年の神戸新聞杯勝ち馬。開幕週の最内枠と枠に恵まれた。枠の利を最大限に生かせば。

×スマートファントム
前走の天皇賞(春)は差し有利な展開も向いて0.5秒差4着。ここでも通用する能力はある。

×バビット
今回の逃げ馬。ハイペースで逃げると考えているが、ペース次第では残る可能性もある。

買い目は◎単勝1点、◎-◯-▲△×3連複4点で勝負する。(花田)

▽京都大賞典予想▽
◎ディープボンド
◯ブローザホーン
▲プラダリア
△サトノグランツ
×スマートファントム
×バビット

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で30周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。


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