【高松宮記念】出走できればぜひ買いたい!データから導き出された本命馬とは?

門田光生

高松宮記念馬体重インフォグラフィックⒸSPAIA

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パワーが必要な中京1200m

コロナウイルスの影響で無観客レースが続いている。3月29日(日)に中京競馬場で行われる高松宮記念も同様に無観客で行われるのかは、この原稿を書いている3月23日(月)の時点で公式発表はまだない。年に2回しか行われない中京競馬場でのGI。何とかファンの前でという思いでギリギリまで様子を見ているのだろうが、民間が行うスポーツが無観客、もしくは中止を余儀なくされている中で、国が関わっている企業が、自粛ムードが続く中でファンを入れての開催に踏み切れるかどうか。

とはいえ、主催者の興業的収入はもちろんだが、このまま無観客レースが続けば、場内で商売している飲食、専門紙などの企業が存続の危機に陥る可能性も否定できない。それはJRAよりも公営競技(競馬、競輪、ボートなど)で深刻な影響が出ていると思われる。とはいえ、こればかりはどうしようもなく、コロナウイルス騒動が一刻も早く収まるのを祈るほかない。

本題に戻って、高松宮記念が行われる中京競馬場は2012年にリニューアル工事が完了。それ以前のコースと全く傾向が違うので、参考にするデータは2012年~2019年の8年間とする。

高松宮記念出走馬の前走馬体重ⒸSPAIA

小回り平坦コースから、直線が長く、しかも坂のあるコースへと生まれ変わった。器用さより決め手が求められるのは当然だが、それ以上にタフなコースを克服できるパワーが必要。先々週に行われた金鯱賞では1着馬(502キロ)、2着馬(498キロ)、3着馬(514キロ)、4着馬(510キロ)と、大型馬が上位を独占。

この高松宮記念も同様で、ここ8年で連対した1頭以外が480キロ以上あった。人気が予想されるところでは、グランアレグリア、ダイアトニック、ダノンスマッシュなどが前走で480キロ未満で出走していた。

乗り替わりは問題なし

高松宮記念出走馬の性別ⒸSPAIA

パワーがある馬の方が有力ということで、性別で見ると牡馬・セン馬の13連対に対して牝馬は3連対。勝率も連対率も牡馬・セン馬が圧倒している。特に、美浦所属の牝馬となると連対率0%。実績馬のグランアレグリアやノームコアは不利なデータを覆すことができるだろうか。

高松宮記念出走馬の主な前哨戦ⒸSPAIA

高松宮記念の前哨戦は大きく分けて3つ。西のシルクロードSと阪急杯、そして東のオーシャンSである。当初は3レースとも甲乙つけがたい成績だったが、最近は4年連続で連対中のシルクロードS組が優勢。

特に、美浦所属で前哨戦にシルクロードSを選択した馬の成績は【1.1.0.1】と優秀。今年でいえばセイウンコウセイが該当。セイウンコウセイはこのレースで2度連対しているが、果たして三度目はあるのか。

高松宮記念出走馬の年齢ⒸSPAIA

高松宮記念出走馬の所属別ⒸSPAIA

年齢は4、5、6歳なら連対の可能性は十分あるが、7歳以上になると2012年に香港から遠征してきたエアロベロシティを除いて全て圏外。このレースと相性がいいセイウンコウセイは今年で7歳。さすがに厳しいかもしれない。

また、所属別では栗東所属馬が優勢。特に、栗東所属の5歳馬は勝率、連対率ともかなりいい数字となっている。これに当てはまるのはシヴァージ、ダイアトニック、ダノンスマッシュ。

高松宮記念出走馬の騎手ⒸSPAIA

名前が出てきたダノンスマッシュだが、今回は川田騎手がドバイへ遠征(レースは中止)ということで三浦騎手(結果的に川田騎手)に乗り替わり。高松宮記念を乗り替わりで勝ったのは2014年のコパノリチャード、2016年ビッグアーサー、そして2017年セイウンコウセイの3頭で、その3頭ともテン乗りだった。今回の三浦騎手(結果的に川田騎手)もテン乗り。このデータは大きな後押しとなるかもしれない。

グランアレグリアに立ちはだかるいくつもの壁

上記の流れからいえばダノンスマッシュを本命にしたいところだが、データ上連対率0%という「前走馬体重が479キロ以下」というのが引っ掛かる。さらに、この馬が国内で連を外したのは東京、阪神、中京で、いずれも直線に坂があるコース。もしかしたら苦手なのかもしれない。

同じく連対率0%の「日本馬で7歳以上」に該当するセイウンコウセイ、ダイメイプリンセス、ナックビーナス、「美浦所属の牝馬」に該当するグランアレグリア、ノームコアも消し。特にグランアレグリアは馬体重でも引っ掛かり、さらにこのレースで勝ちがないディープインパクト産駒。データ上ではほとんど推せる材料がない。

では、減点材料がないのはどの馬か。480キロ以上、栗東所属で牡馬、王道の前哨戦(シルクロードS、阪急杯、オーシャンS)を使って、さらに6歳以下。全てクリアしたのはクリノガウディーだけ。そのクリノガウディーだが、今回が初の芝1200mとなる。一度も芝1200mを経験せずに勝った馬なんぞいるのかと思って調べたら、2014年のコパノリチャード、そして2019年のミスターメロディが該当。全く問題ないのなら狙うしかない。フェブラリーSはダート界の「新星誕生」だった。それが今年の合言葉になるとすれば、スプリント界の「新星誕生!」はこの馬となるはずだ。ただ、このままでは賞金が足りずに出走できない。何とか回避の馬が出て、高松宮記念の舞台までたどり着いてほしい。

同じくらい魅力的なのはモズアスコット。これは前哨戦が別路線の分でクリノガウディーに譲るが、フェブラリーSからの参戦では2018年にレッツゴードンキが2着と前例はある。海外遠征を変更しての参戦で仕上がりはカギになりそうだが、それで人気を落とすようならおいしい馬券にありつけるかもしれない。

好走確率の高い「栗東所属+5歳馬」の中ではシヴァージが最も減点材料が少ない。これも王道の前哨戦を経由していないだけで、あとはクリアしている。4歳だがグルーヴィットも同様で押さえておきたい。

あとはステルヴィオとタワーオブロンドン。美浦所属馬の勝率はよくないが、連対率は栗東所属と比べても大きな差はなく、これも押さえる。モズスーパーフレアの性別以外はクリアしているが、このレースは逃げ馬が【0.0.1.7】と成績がよくない。今回もハナを叩きそうなモズスーパーフレアにとっては嫌なデータというわけで消す。

◎クリノガウディー
○モズアスコット
▲シヴァージ
△グルーヴィット
×ステルヴィオ
×タワーオブロンドン


《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。
競馬ニホンが休刊となってもうすぐ2年。時がたつのは早いなと思いつつ、物忘れと老眼の進行の速さにも驚いている。

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