ロードカナロア産駒は「1600m以下」「母父ネオユニヴァース」が好データ 父キングカメハメハの後継者となれるか?

高橋楓

種牡馬ロードカナロアの成績インフォグラフィックⒸSPAIA

ⒸSPAIA

生産界を支えてきたディープインパクトとキングカメハメハが逝く

SK_2003_G201_11

2019年、種牡馬界に衝撃が走った。7月30日にディープインパクトが、10日後の8月9日にキングカメハメハが亡くなったのである。

思い起こせば2002年8月19日にサンデーサイレンスがこの世を去った後、この2頭がどれほど生産界を支えてきたであろう。ただ、サンデーサイレンス死去から2強時代までの間に群雄割拠の時代があった事も忘れてはならない。

王者SS亡き後は群雄割拠の戦国時代到来

サンデーサイレンスの最後の産駒世代のダービー以降、ディープインパクト産駒の初制覇の2012年までを振り返ると、群雄割拠という言葉がピッタリだと感じる。

2006年 メイショウサムソン(父:オペラハウス)浦川・林孝輝牧場
2007年 ウオッカ(父:タニノギムレット)静内・カントリー牧場
2008年 ディープスカイ(父:アグネスタキオン)浦川・笠松牧場
2009年 ロジユニヴァース(父:ネオユニヴァース)ノーザンファーム
2010年 エイシンフラッシュ(父:キングズベスト)社台ファーム
2011年 オルフェーヴル(父:ステイゴールド)白老ファーム
2012年 ディープブリランテ(父:ディープインパクト)新冠・パカパカファーム

同一種牡馬の制覇は無く、社台グループの圧勝とはいっていないのである。またサンデーサイレンスの後継種牡馬が目立つわけではなく、力強い血統の馬が目立つ。

改めてロードカナロアをふりかえる

現段階でキングカメハメハの最有力後継種牡馬はロードカナロアだろう。現役時は爆発的なスピードを武器に香港スプリント連覇を含むG1を6勝する大活躍だった。

当然種牡馬になった際には短距離からマイルまでを得意にする産駒を輩出するものだと思っていたら、三冠牝馬アーモンドアイや皐月賞馬サートゥルナーリアなどクラシック路線での活躍馬もおりポテンシャルは計り知れない。

種付け料も2020年より2,000万円に到達。名実ともに現役種牡馬の中のトップと言っても過言ではないだろう。

数字からせまるロードカナロア

ここで気になるのはクラシックを意識する程、イメージ以上にロードカナロア産駒の適性距離は長いのかという事だが、結論を言うとやはり「マイル以下」が適性距離だ。

父ロードカナロア×母父の成績を振り返っても一目瞭然である。

父ロードカナロア×母父 配合成績一覧ⒸSPAIA

アーモンドアイと同様の母父サンデーサイレンスで「1570.5m」、母父ディープインパクトになるとますます適性距離は短くなり「1491.6m」、長距離馬が多いハーツクライとの配合ですら「1649.7m」となる。

父ロードカナロアの産駒は母父の距離適性よりも、父馬ロードカナロア自身の距離適性やスピード力の遺伝が優先される種牡馬という事が分かるのである。

これまでにロードカナロア産駒が積み上げた勝利数は「338勝」で2,000m以上の勝利は全レース中「24勝」で『7.1%』である。やはりイメージ通りロードカナロア産駒はマイル以下で狙うのが定石と言える。

この母父に関してだが、まず何と言っても欠かせないのがアーモンドアイに代表される「母父サンデーサイレンス」との配合だ。

しかし、調べると意外な結果が出た。

母父サンデーサイレンス 成績一覧ⒸSPAIA

アーモンドアイが引っ張ってはいるが、実は勝ち上がり率は牝馬よりも牡馬の方が13%も数値が高い事が判明したのである。

牡馬が過去17頭のJRA出走経験馬中、JRAで勝利を挙げた馬が10頭、その後1,000万円以上の獲得賞金をあげた馬は6頭もいる。牝馬はというと、JRA出走24頭に対し、勝馬11頭で獲得賞金1,000万超の馬は9頭だ。やはり2歳戦は短距離が多く、ダート路線も多い事から勝利をあげる確率は牡馬有利に働いているのかもしれない。

ロードカナロアと相性が最も良いのは『ネオユニヴァース』だった。

母父ネオユニヴァース 成績一覧ⒸSPAIA

JRAでは全部で9頭がデビューし、牡馬は4頭全馬が勝ち上がり、かつ3頭が獲得賞金1,000万円を超えている。

馬券の面で見ても、単勝回収率「183%」複勝回収率「122%」と好成績だ。この配合の注目馬はキャロットファームのグランデマーレだ。

残念ながら骨折してしまい春のクラシックでは走れなかったが、デビュー2連勝で距離2,000mの葉牡丹賞をレコード勝したレースは圧巻だった。秋の復帰戦以降覚えておきたい存在だ。(データは2020年3月8日時点)

《ライタープロフィール》
高橋楓
秋田県出身。競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』にてライターデビュー。一口馬主やPOG関連の記事を中心に執筆している。

おすすめ記事