【弥生賞ディープ記念】ディープインパクト産駒の5連覇なるか 東大HCの本命はサトノフラッグ

東大ホースメンクラブ

弥生賞インフォグラフィックⒸSPAIA

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皐月賞とは全く質の違うレース

3月8日(日)に中山競馬場で行われるのは弥生賞ディープインパクト記念(GⅡ・芝2000m)。現役時代は無敗での3冠、GⅠ・7勝の成績を残し、種牡馬としても大成功。弥生賞でも産駒が4連覇するなど競馬界に多大な功績を残し、昨年死去。これを受けて今年からレース名が変更されて誕生したのが弥生賞ディープインパクト記念である。

今回のメンバーでは唯一のディープインパクト産駒で2連勝中のサトノフラッグや、ホープフルS3着のワーケアなどが中心と見られるが、その両馬の評価や、その他でオッズ的な観点から狙いたい穴馬を検討していく。

まずはレース傾向や展開、馬場傾向を分析していこう。

前後半5Fと1~3着馬の脚質ⒸSPAIA


このレースに限らず3歳GⅠのステップ色が強い重賞はスローペースになることが多い。このレースも例に漏れず、前半1000mが60秒を切ったのは1度だけという典型的な前哨戦。前後半で2秒以上差のあるスローペースが5回もある。皐月賞は基本的に前半から飛ばして行っての我慢比べになることが多いので、そういう意味で本番とは質が全く異なるレースだ。

しかしながら、スローで前残りになるかといえばそんなこともない。4角3番手以内から押し切ったのは一昨年のダノンプレミアムだけで、そのダノンも断然の1番人気だったので単回収率はわずか5%。先行力は強調点にならないので注意したい。

今年のメンバーは11頭という少頭数で、逃げ候補はパンサラッサかウインカーネリアン。この2頭とも地力で上位という馬ではないので、苦しい戦いが予想される。例年通り緩めのペースで進み、中団から末脚の切れる馬が台頭しそうだ。

傾向が変化している中山芝2000m

過去3年の中山芝2000m枠番別成績ⒸSPAIA


中山芝2000mの枠順別成績を見ると4~6枠の連対率が高く、中枠有利。実は半年前に紫苑Sの記事でコースデータを紹介したときは「外枠有利で、特に7・8枠は回収率もよく、なるべく外枠の馬を軸に据えたい」と書いていたので、傾向が変わっていることが分かる。

この半年、中山芝コースが内枠有利に偏っていて、直近の6か月に絞って2000mの枠順別成績を出すと1~4枠の連対率17.8%に対し、5~8枠は連対率12.4%となっている。

先週も例外ではなく、日曜5レースの3歳未勝利戦は馬番1、4、2番で決着して3連単は37万馬券。このデータをもう1週早くご紹介できていれば…と悔いが残る。最終の1200m戦でも13番人気の逃げが2着に残ったように、馬場傾向としては内有利だった。今週も内枠を基本線に考えておくのがよさそうだ。

ここまでの内容を整理すると、
1.前哨戦らしいスローペースだが、前有利ではない
2.直近の半年では内枠有利に傾向が変化しているコース
3.先週の馬場状態もインコースが有利

ということになる。以上をふまえて出走馬の検討に移る。

ディープインパクト産駒5連覇なるか

本命は出走馬中唯一のディープインパクト産駒・サトノフラッグ。デビュー前から評判は高かったが、新馬戦は全く競馬を理解していない感じのレース。騎手が促してもどこ吹く風、といった感じで、完全に勝負が決した後でようやく少し伸びて6着入線。まるで力を出し切っていなかった。

その後はレースで何をするのか学習したようで、2走前は2歳レコード、前走はホープフルSと同タイムという好時計で連勝。能力の高さは疑いない。

弥生賞(旧称)の勝ち馬と父ⒸSPAIA


ディープインパクト産駒は(旧称)弥生賞を4連覇中。初勝利からの直近7年で5勝という大活躍を見せている。父の名を冠したレース名に変わった記念すべき初年度だけに、ぜひともサトノフラッグには頑張ってほしい。

対抗も人気で申し訳ないがワーケアにした。アイビーSでは重馬場の中で上がり33.3という高水準の瞬発力を証明済み。それだけに、中盤締まってよどみない流れ、スタミナ勝負になったホープフルSでも3着にまとめたのは着順以上の価値がある。

3番手はブラックホール。前走のホープフルSで思った以上に負けてしまったのが不満。ただ、馬場状態的にもこの馬の個性を考えても窮屈な最内枠がアダになったもので、枠順が変われば結果も変わる可能性は高い。オーソリティとは新馬でも対戦してタイム差なしだが、このときはゴール前の脚勢で明らかに相手を上回っていた。前走の結果一つでオーソリティ>ブラックホールという人気が確定的なら、逆張りする価値はある。

人気馬ばかりでつまらない予想になってしまうが4番手はオーソリティを抑える。オッズを考えるとこれ以上点数は広げられないので、今回は印4頭で勝負したい。

▽弥生賞ディープインパクト記念予想▽
◎サトノフラッグ
○ワーケア
▲ブラックホール
△オーソリティ

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」でも予想を公開中。

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