【チューリップ賞】「前走重賞」「前走1着」が好データ!桜花賞の切符を手にするのは?
門田光生
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関東馬に注目
3月7日(土)に阪神競馬場で行われるチューリップ賞は、桜花賞と同じ阪神芝1600mで実施される。翌週に行われるフィリーズレビューよりメンバーの質も注目度も上なのに格付けは下、という状態が長く続いたが、2018年にめでたくGⅡに昇格。このレースを的中させることも大事だが、レース後に内容を振り返って、どの馬が本番につながる競馬をしたのかを見極めるのも非常に大事になってくる。
今回も過去10年のデータを中心に分析していく。東でも桜花賞トライアルのアネモネS、また翌週にGⅢフラワーカップというレースが行われるが、ここを経て本番に挑んだ組はチューリップ賞ほどの実績は残していない。一時期、チューリップ賞を使った関東馬がそのまま栗東に滞在、というのがブームになったことがある。本番前にコース経験をさせ、なおかつ輸送のリスクも減らせるという、まさに一石二鳥の作戦。当然ながら桜花賞でも好勝負できる自信があってこその選択肢で、ここに使った15頭の関東馬のうち、半分以上の8頭が馬券に絡んでいる。その8頭はいずれも5番人気以内。今年もここを使ってくる関東馬、特に人気が予想される馬には要注意だ。
好走パターンは「前走1着」と「同距離」
チューリップ賞は外回りのマイル戦で行われる。ディープインパクト産駒が得意とする条件で、実際に10頭が馬券に絡んでいる。そのうちの9頭が母の父にNorthern Dancer系を持つ馬で、残る1頭はNasrullah系。そのほかの9頭は全て圏外だった。今年はスマイルカナが唯一のディープ産駒。ただ、母の父は好走パターン外のMr.Prospector系というのは気になるが……。
前走で重賞を使っていた馬が圧倒的に強いレース。平場や特別戦を経由した馬もノーチャンスではないが、勝率、連対率ともにかなりの差があることは覚えておきたい。また、前走1着馬が11連対と半数以上を占める。次いで2着、3着の順で、前走が着外だとここ10年での勝率は0%となっている。
最後に前走でどの距離に使ってきたかだが、今回と同じ1600mを走った馬が他路線を圧倒。馬券に絡んだ30頭中、何と27頭が該当している。前走から距離延長してきた組からは3頭いるが、勝率、連対率ともひと息。距離短縮組に至っては該当する15頭全てが着外だった。スローになりやすい傾向なだけに、問われるのはスタミナよりスピードということかもしれない。
阪神JF1着馬が3連勝中
阪神JF組、さらにいえばその優勝馬が3年連続で1着。そんなデータを含めて、注目は何といってもレシステンシアだろう。馬格のあるダイワメジャー産駒で、さらに先行押し切りタイプ。阪神JFやNHKマイルCを勝ったメジャーエンブレムに姿が重なる。抜群の発馬センス、そしてレコードで走れるスピード。どれを取っても現時点での完成度は他馬より上。今回はマークされる立場といってもまだ前哨戦。大崩れする姿は考えづらい。「前走重賞」「前走1着」という好データも後押し。ここは素直に信頼したい。
もし逆転があるとすれば阪神JF3着のクラヴァシュドール。最後は差し返されたとはいえ、外々のロスを考えると強い内容といえる。ハーツクライ産駒だからオークスが最大の目標となりそうだが、現在の本賞金は1000万円。出走確実、と断言できるラインではなく、叩き台にするほどの余裕はないはず。本気度はこの馬の方が上かもしれない。
阪神JF2着馬のマルターズディオサは前走こそうまくゲートを出たが、あれで発馬難が解消したとは思えない。安定感で上記の2頭には劣る。4着馬のウーマンズハートは父も母系も晩成の傾向。新潟2歳Sは素質で勝ったが、本当によくなるのはまだ先かもしれない。
関東馬、中でも人気馬が活躍する傾向から推せそうなのはどれか。阪神JFのマルターズディオサは当然として、フェアリーSの1、2着馬もそれなりの人気を集めそう。スマイルカナはディープ×Mr.Prospector系らしい軽いスピードが売り。レシステンシアとの兼ね合いが注目されるが、こちらはあくまで挑戦者の立場。恐らくハナを切るのはこちらで、あとはどこまで粘れるか。2着のチェーンオブラブは手前を替えてからもモタモタしていたが、坂上から一気の伸び。ダートでもと思わせるパワフルな走りで、上がりがかかるようなら面白い存在になりそうだ。
前走1着馬の成績もいいということで、その中では白菊賞を勝ったショウリュウハル。前半が37秒というスローを思えば折れ合いは付いていた方。直線はフラついていたようにまだ真面目に走っていない印象。それだけに伸びしろは大きく、休ませてどれだけ成長しているか楽しみ。母がこのレースの勝ち馬(2010年)というのも魅力。
◎レシステンシア
○クラヴァシュドール
▲チェーンオブラブ
△マルターズディオサ
×ショウリュウハル
《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。
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