ダイヤモンドSは16番人気ミライヘノツバサが勝利 見どころ十分の重賞3レースを振り返る

三木俊幸

2020年のダイヤモンドステークスを制したミライヘノツバサ

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

16番人気ミライヘノツバサが大接戦を制する

東京、京都、小倉の各競馬場開催が終了。最終週に行われたダイヤモンドS(GⅢ・芝3400m)、京都牝馬S(GⅢ・芝1400m)、小倉大賞典(GⅢ・芝1800m)のレース結果について、それぞれ振り返っていこう。

まずは、2月22日に東京競馬場で行われたダイヤモンドS。東京コースでは年に1度のみ施行されるマラソンレースにスタミナ自慢たちが集結した。1番人気は前走の万葉Sを快勝したタガノディアマンテ、2番人気は2200〜2600m戦で安定した活躍を見せているオセアグレイトだった。

向正面でのスタートからすんなりハナを切ったのはロサグラウカ。その直後のインコース3番手にオセアグレイト、中団8番手あたりには4番人気のレノヴァール、後方3番手に3番人気のメイショウテンゲン、そしてタガノディアマンテはポツンと最後方からレースを進める。

かなり縦長の展開となって2周目へと入るが、3コーナー過ぎから隊列は徐々に縮まり、レノヴァールやステイブラビッシモなどが進出。さらに最後方にいたタガノディアマンテは大外を回っていく。

最後の直線コースに入って、内から2頭目を通って先に抜け出したのはミライヘノツバサ。しかし、外からメイショウテンゲンが一気に差を詰め、ゴール前は大接戦となった。かなり際どい写真判定の結果、16頭中16番人気だったミライヘノツバサが勝利し、重賞初制覇を飾った。

直線では強い向かい風が吹き、良馬場ながらレースの上がり3Fは38.1。道悪並みのスタミナを要する展開となった。上位2頭はともにステイヤーとしての適性が高いのは言うまでもないが、天皇賞(春)のような高速馬場に向くかと言えば、疑問符が付く。やはり次走以降狙うのであれば、道悪または36秒以上の上がりを要する馬場ということになるだろう。

得意の京都で重賞連勝

同日の京都競馬場で行われたのは牝馬限定重賞の京都牝馬S。雨の影響を受け、重馬場でのレースとなった。1番人気は京都コースを大得意としているサウンドキアラ、2番人気は昨年の牝馬クラシックでも活躍したシゲルピンクダイヤとなっていた。

内から先頭に立ったのは、これが最後の重賞騎乗となる四位騎手が騎乗していたメイショウショウブ、その外にモアナ、アマルフィコーストと続く。前半600mの通過が36.0とスローで流れ、馬群が一団となって4コーナーから直線コースへ。

逃げるメイショウショウブに迫り、早めに先頭に立ったのはプールヴィル。外からメイショウグロッケも迫ってくるが、さらに外から一頭違う脚で伸びてきたのは、サウンドキアラだった。そのまま一気に突き抜け、京都金杯に続いての重賞連勝となった。

サウンドキアラは、これで勝ち鞍の6勝全てが京都コースと大得意にしている一方、坂のある阪神コースでは2、3着が多く勝ちきれていない。次走以降も牝馬路線を歩むのであれば、舞台は阪神または東京ということになる。坂、そして高速決着と不安な点もあるが、今の勢いならば、あっさりこなしてしまう可能性もあるだろう。

3年ぶりの重賞勝利

2月23日、小倉競馬場では小倉大賞典が行われた。注目は昨年の皐月賞2着、ダービー3着、菊花賞3着とクラシック戦線を賑わせたヴェロックス。勝ちきれない面はあるものの、このメンバーに入ると力は上位なだけに、どのようなレースを見せてくれたのだろうか。

スタートから一気に先頭に立ったのは、ランスオブプラーナ。2番手にサイモンラムセス、人気の一角ジナンボーが3番手、ヴェロックスはその1列後ろの外目5番手からレースを進める。

3、4コーナー中間地点からレースは動きはじめ、ジナンボーが先頭に立って直線へと攻防は移る。しかし外からドゥオーモ、そしてカデナが並んで追い込む。しかし今の小倉は外が伸びるという特殊な馬場状態。大外を回ったカデナが力強く突き抜け、弥生賞以来3年ぶりの重賞制覇を果たした。また鞍上の鮫島克駿騎手もこれが重賞初勝利。昨年は重賞勝利のチャンスもあったが、怪我で騎乗できないという不運もあっただけに、そうした思いも込められたガッツポーズだったのだろう。

注目されたヴェロックスは、馬場が合わなかったのか直線で全く伸びずに9着という結果に終わっている。

  • 勝利したカデナは、道中は内を追走して直線だけ外に持ち出すという見事な騎乗が好結果に繋がったと言える。このようなロスのない競馬ができるのであれば、今後もローカル重賞での活躍が期待できそうだ。

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