【フェブラリーS】前年のチャンピオンズC好走馬は苦戦傾向 東大HCの本命は?

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
昨年は例外的なスローペース
2月23日(日)に東京競馬場で行われるのはフェブラリーS(GⅠ・ダ1600m)。今年の中央競馬最初のGⅠ競走だ。武豊騎手とのコンビで連覇を目指すインティや、芝ダート両方でのGⅠ勝利に挑むモズアスコットなどが注目を集めるが、その両馬の評価や、その他で狙いたい穴馬を検討していく。
まずはレース傾向や展開、コースの特徴を分析していこう。

まず押さえておきたいのは昨年インティが逃げ切った際の前半3F35.8は過去10年で最遅、かつ後半3F35.4は過去10年で最速タイと、例外的なスローペースだった。昨年同様に逃げ切りだった11年(勝ち馬トランセンド)も前半が35.7と遅い。しかしこの2頭以外の逃げ馬は馬券にすら絡んでおらず、裏を返せば35秒台後半というGⅠにしては珍しいスローペースにでもならない限り、逃げは苦戦している。
したがって、逃げが想定されるインティにとって、昨年のような楽なペースに持ち込めなければ、再度の逃げ切りには黄色信号がともる。ただ、他に逃げたい馬がいないメンバーなのも事実で、ワイドファラオやアルクトス、ケイティブレイブあたりの出方次第では同じようなペースになる可能性もまた捨てきれない。ミドル~スローペースの想定で好位・中団勢を軸に据えるのが無難だろうか。
1枠は鬼門

東京ダ1600mは芝スタートからダートに進入していくコースで、外枠の方がスピードの出る芝の部分を長く走れるため有利といわれている。実はすべての芝発走コースが外枠有利というわけではないのだが、こと東京ダ1600mに関しては外枠が有利。6~8枠はいずれも連対率が15%以上になる一方、1枠は10%と低調。勝率トップの8枠は単回収率も112%と高水準で、迷ったら8枠を買っておくのがセオリー。
また、芝発走の得手不得手も馬によっては分かれる上に、チャンピオンズCや交流GⅠ路線を戦ってきた馬には若干短い1600mという距離も作用して、ひとくせもふたくせもある舞台になっている。

これに関連してか、ジャパンカップダートがチャンピオンズCに改称、中京に移って以降、好走馬をあまり共有しない傾向が見られる。前年のチャンピオンズCで5着以内に入った馬はフェブラリーSで【0-2-1-11】と意外なほど走っていない。むしろ、10着以下だった馬は【2-1-1-7】で連対率27%と上々。これはチャンピオンズCの舞台である中京ダ1800mはどちらかといえば小回りで立ち回りの上手さが求められるのに対し、東京ではごまかしが利かず、逆に多少大味でも地力でなんとかしてしまうようなタイプが台頭するからだと考えられる。穴を狙うなら不器用さがアダになって勝ち切れていないような馬が面白そうだ。
ここまでの内容を整理すると、
1.昨年のようなスローにでもならなければ逃げ苦戦
2.コースデータでは外枠有利、1枠は非常に不利
3.チャンピオンズCの好走馬が苦戦。不器用な馬を買うならここ
ということになる。以上をふまえて出走馬の検討に移る。
広いコースで真価
本命はデルマルーヴル。この馬はとにかくズブく、追っても追ってもなかなかエンジンがかからない。前走の川崎記念はマーフィー騎手がそれを踏まえて前半から追いに追い続けて3着。ペースもまずまず速かった上に2周目向正面でも11.8を刻むタフなレースで、しかもコーナーがキツい川崎の外4番手という通常ならまず大敗するような苦しい競馬をしても、大バテしなかった内容には驚かされた。
近走は長距離に照準を定めて金沢、浦和、名古屋、川崎と小回りコースばかりを転戦している。確かに距離もあった方がよさそうだが、ズブさをカバーできる大箱の東京はプラスに出るはず。前半を置かれずに追走できればラストはしぶとく伸びてくる。
対抗はモズアスコット。もしここを勝てば日本国内ではアドマイヤドン以来となる芝ダート両方でのGⅠ制覇となる。前走の根岸Sは初ダートで見せた適性の高さはさることながら、元々叩き良化の同馬が休み明けで勝利したことにも価値がある。今までの傾向通り一度使ってさらに上積みがあるなら当然軽視はできない。
3番手はインティ。昨年は上手く行きすぎた感があり、チャンピオンズCの好走馬ということでデータ的にも不満。そのチャンピオンズCも内枠有利のレースで枠を利しての3着ということで、1番人気としては疑う要素が多い。それでも3番手にしたのは他に逃げたいメンバーがおらず、昨年同様の楽な展開になる可能性も高いから。距離短縮はいいし、逃げずに我慢できた東海Sの内容も前哨戦としては100点満点だ。
以下、ダートの1400~1600mでは【6-2-0-0】と抜群の成績を残しているアルクトス、近走充実一途のヴェンジェンス、南関移籍で立ち直ったノンコノユメまで押さえる。
大井から参戦するモジアナフレイバーは強気な仕掛けで見せ場を作った南部杯が好印象。どうしても最後甘くなる馬なので2000mよりマイルの方がいい。初の芝発走、中央遠征など不安要素を上げればキリがないが、地方生え抜きからダート戦線を賑わす存在になることを期待したい。
▽フェブラリーS予想▽
◎デルマルーヴル
○モズアスコット
▲インティ
△アルクトス
×ヴェンジェンス
×ノンコノユメ
☆モジアナフレイバー
