【東京新聞杯】東大HCが東京芝1600mを徹底検証
東大ホースメンクラブ
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
コース紹介
同じ関東の中山芝1600mとは打って変わって綺麗なU字型のコース。2コーナーをスタートしてしばらくゆるやかに下り、向正面半ばで坂を上る。3〜4コーナーの下りを出て500m超の直線に差しかかり、直線半ばから傾斜のなだらかな高低差2mの坂が待ち受ける。最後の平坦な300mを走り切ってゴールを迎える。
当該コースが舞台の重賞は8レースを数える。グレード順に、GⅠは3歳マイル王決定戦NHKマイルC、古馬のマイル女王決定戦ヴィクトリアマイル、春の府中GⅠのラストを飾り、昨年はアーモンドアイが参戦し大いに盛り上がった安田記念の3レース。GⅡはマイルCSの前哨戦で今年度よりGⅢから昇格した富士S、GⅢは初春の伝統重賞・東京新聞杯、牝馬クラシック路線において重要なクイーンC、2歳GⅢにおいては屈指の出世レース・サウジアラビアロイヤルC、同じく2歳戦で牝馬限定のアルテミスSが行われる(使用するデータは2015年2月8日〜2020年2月2日)。
GⅠの1枠は危険
大きな有利不利はないものの4枠の成績が若干悪く、単回率が29%とかなり低い水準にとどまっている点を覚えておきたい。一般に距離ロスが大きく不利とされる外枠の成績はむしろ良いほどで、8枠の複勝率は枠別トップ。フルゲートでの実施に限定しても同様で、オッズの面で嫌われるせいか回収率が良い。
GⅠでは基本好枠とされる1枠の成績が極めて悪く、過去5年では【0-1-1-27】。ワンターンのコースとあって距離ロスを防げるメリットが小さいうえ、スタートでごちゃついて後手を踏むなどのGⅠでは致命的となるデメリットが大きいようだ。1枠を引いてGⅠを勝った馬は2007年安田記念のダイワメジャーまで遡る。
脚質別成績ではセオリー通り逃げ・先行が有利。直線の長さから心理的にやや評価を下げがちな逃げ馬はクラスに関係なく走っており、GⅠでも15年ヴィクトリアマイルで18番人気ながら3着に入ったミナレット、安田記念を二度好走したロゴタイプなど好走例が多い。追込脚質の馬も中山に比べ複勝率がよく、NHKマイルCでは毎年のように追込が決まっている。切れ味自慢は大箱の東京コースで狙いたい。
ディープが幅を利かせるコース
複勝率順の種牡馬別成績ではディープインパクトが堂々の1位。4割近くの複勝率は素直に評価できる数字で、評価の上げ下げで迷ったらこの産駒を買いたい。リーディング上位を賑わすロードカナロアは複回率115%をマークしている。産駒のアエロリットが再三好走したクロフネは連対率ではディープに次ぐ2位。ルーラーシップは4番人気以内に限ると【11-8-2-13】複勝率61.8%、単複回収率ともに100%超えと、ランキングに入った種牡馬の中でも人気馬の信頼度が高い。
対照的にあまり走っていないのがスクリーンヒーロー産駒。反例としてモーリスが思い浮かぶだろうが外れ値的な存在とみていいほど成績が悪く、7番人気以下で馬券になった馬は1頭もいない。エイシンフラッシュ産駒もとても評価できない数字が並んでいる。
騎手別成績では例外なくルメール騎手が結果を出しており、GⅢでは【5-8-1-3】連対率76.5%という驚異的な数字が残っている。M.デムーロ騎手も4割超えの複勝率と気を吐いているが、ここ2年で馬券になった馬は全て2番人気以内だった。
対照的に戸崎圭太騎手は人気馬もさることながら中穴を数多く構想に導いており馬券妙味がある。怪我からの復帰が待ち遠しい。回収率の点では田辺裕信騎手が優秀で、単回率95%・複回率108%を記録している。安田記念で三たび逃げ・先行馬を好走に導いたように前でレースを運ぶ馬との相性がいいので注目しておきたい。
好走馬を追いかけて
調教師別成績では堀調教師が各部門でトップ。各クラスとも結果を出しているが特に新馬では15年11月から連続連対記録を伸ばしており、連対率92.3%という見たことのない数字を叩き出している。不動の軸として信頼していい。
藤沢和雄調教師・国枝栄調教師も複勝率4割超え。ロゴタイプを管理した田中剛調教師は1勝クラス以上に限定すると複勝率57.9%と格段に上昇する。管理馬は上級条件でこそ狙いたい。
最後に東京芝1600mで3着以内に入った馬における、その他全レースの成績をコース別に紹介する。各場1600m〜1800mでの良績が目立っており、回収率もおおむね100%を超えている。なお出走回数100回に満たなかったコースのうちでは京都芝1600m内回りが【24-10-12-25】複勝率64.8%と相性がいい。とりたてて成績の悪いコースがないため、東京芝マイルで好走した馬は追いかける価値がありそうだ。
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