狙える騎手・コース・種牡馬は?東大HCが「大型馬」を徹底分析

東大ホースメンクラブ

564キロで2020年AJCCを制したブラストワンピースⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

大型馬を狙うべき条件とは?

今回のコラムのテーマは「大型馬」。馬体重が500kgを超える馬を指す用語だ。現役では先週のAJCCを制した一昨年の有馬記念馬ブラストワンピースや、無敗でチャンピオンズCを制した前途洋々の4歳馬クリソベリルなどが該当する。

JRA所属の現役古馬は執筆時点で3888頭。オープン馬が512頭、残りの3376頭が条件馬だ。それぞれ過去最高馬体重が500kgを超えている馬(=「大型馬」)の割合は、オープン馬が41.6%(213頭)、条件馬は29.2%(989頭)と1割以上の差がある。500kgに満たない馬が条件戦の壁を超えにくく、逆に雄大な馬格を誇る馬は出世しやすいことを裏付けるデータで、大型馬は条件戦から追いかけて損はない。またダートも大型馬が強く、特にやや重以上では回収率でも大きな差がある点を頭に入れておきたい。

大型馬と相性のいい条件について、騎手、コース、種牡馬の3つの観点から調べた(データ分析には2015年1月31日〜2020年1月26日のデータを使用した)。

ウチパク・幸×大型馬を狙え!

まずは大型馬で騎乗成績・馬券妙味が向上する騎手を探ろう。

過去5年・大型馬騎乗時成績が良い騎手ⒸSPAIA

豪腕・内田博幸騎手は期間内での勝利数ランキング9位だが、大型馬に限定すると5位にジャンプアップしており、7番人気以内に限ると単回率101%だ。特にダートの4歳馬と相性が良く、該当馬は【25-26-16-99】で連対率30.7%、複勝率40.4%。16年カペラSをノボバカラで制するなど上級条件でも狙え、確実に覚えておきたいコンビだ。

ホッコータルマエと幾多の大レースを制した幸英明騎手も大型馬に強い。特に注目したいのは乗り替わりで、単回率は118%、芝に限ると152%まで上昇する。19年12月には乗り替わった2桁人気馬の2頭で連勝する離れ業を披露するなど、人気薄でも見限れない。

松若風馬騎手は大型馬の騎乗成績もさることながら、芝レースでの馬券妙味に注目したい騎手。大型馬以外では単回率87%/複回率70%だが、大型馬では単回率140%/複回率96%だ。阪神芝コースでは勝率16.0%と総合成績に比べ倍近く、単回率は驚異の310%。

また出走こそ少ないが新潟芝コースでは15年5月以降ほぼ4年にわたって連続3着以内を記録するなど大型馬と極めて相性がいい。19年新潟記念ブラックスピネル4着で記録は途絶えたものの(11番人気と人気薄だった)、今年も騎乗があれば注目したい。

距離別で買うなら1200mと1800m

次に距離別で大型馬が買える条件を探る。施行回数の多い6つの距離区分について調べてみた。

過去5年・大型馬距離別成績ⒸSPAIA

冒頭に紹介した通り大型馬は出世する馬が多いため、単純に好走例が多い。全ての距離区分で大型馬の成績が良いが、問題となる回収率も同様かというとそうではない。単回率・複回率ともに5%以上の差があったのは1200mと1800mだ。

1200mをさらにコース別に細分すると中京ダートが大型馬の最も得意とするコースだった。大型馬は勝率10.0%、単回率105%だが、大型馬以外は勝率5.7%、単回率59%と明暗がくっきり分かれている。小倉芝コースも大型馬が幅を利かせており、特にBコースに限定すると勝率11.2%・単回率214%。大型馬以外の勝率5.7%とは倍近く、単回率62%とは実に4倍近くの差がある。逃げ先行有利の荒れ馬場でパワーが求められるためだろう。

1800mの目立つコース別成績は下表に挙げた。

過去5年・1800m大型馬コース別成績ⒸSPAIA

最も大型馬が優勢なのはやはり力のいる洋芝が舞台の函館芝コース。各率の差が大きく、Bコースに限定すると大型馬の複勝率は44.8%とほぼ半数の馬が馬券になっていた。

阪神の1800mは芝・ダートともに大型馬が走っており、両コースとも単回率は100%超え。特に芝コースは単回率137%/複回率100%で、大型馬以外の単回率60%/複回率68%に水をあけているほか、オープン特別以上のクラスでは4割に迫る複勝率を記録している。

1200m、1800m以外の距離区分で大型馬が走っているのは京都芝2000m(勝率12.7%、単回率104%)や福島芝2000m(勝率10.3%、単回率115%)など。中山芝2500mも施行回数こそ少ないが勝率13.2%、単回率123%と上々の数字。ちなみに有馬記念では大型馬が8年連続で連対中だ。

バトルプラン産駒は馬体重に注目

最後に大型馬が特に結果を出している種牡馬をチェックする。

過去5年・種牡馬別大型馬成績ⒸSPAIA

欧米から輸入した種牡馬がずらりと並んだ。シニスターミニスター産駒は成績にも表れているように典型的な大型馬が走る種牡馬で、単複回収率ともに100%を超えている。ヨハネスブルグ産駒は勝率の開きが大きく、大型馬は5番人気以内に限っても連対率43.3%、複勝率51.7%を記録している。

馬体重による成績が全く異なるのがバトルプラン産駒。大型馬は単回率123%だが、大型馬以外はわずか34%しかない。オープンまで出世する馬が現時点では少なく条件戦で見かけることの多い種牡馬だが、大型馬はオッズに比べて好走率が高いので積極的に狙うべきだろう。

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