【東海S】今年は京都開催!得をしたのはどの馬か?

門田光生

競馬のイメージ画像ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

今年の開催は京都競馬場

先日、調べ物をしていた時に知ったのだが、「東海地方」と「中部地方」というのは差す地域が違うらしい。詳細は省くが、「東海地方」より「中部地方」の方が含まれる県が多いとのこと。ちなみに「関西地方」と「近畿地方」も指す地域が少し違うとか。筆者の人生も折り返し地点を過ぎていると思うが、まだまだ知らないことばかりである。

いきなり話が逸れたが、例年 東海ステークス(GⅡダ1800m) が行われる中京競馬場は愛知県にあり、この県は「東海地方」にも「中部地方」にも含まれている。ただ、今年は日程の都合上、京都競馬場で開催される。

2010~2012年にも中京競馬場が改修工事のために京都競馬場で行われていたが、距離(1900m)も時期(5月)も違うので、参考にするのはどうかと思う。

特に、ダートは時期の違いは大きい。厳寒期は凍結防止のために撒かれる不凍液の影響が大きく、ダートの質がコロッと変わってしまうのだ。具体的には、より力が必要となり、時計もかかる傾向となる。

表1京都、中京ダート1800m(1,2月)逃げ、先行

表2京都、中京ダート1800m(1,2月)差し、追い込み


中京競馬場も京都競馬場も、ダートは基本的に前有利だが、どちらかといえば中京競馬場の方がより先行有利の印象がある。そこで、2015年から2019年までの5年間、1~2月の厳寒期を対象に、脚質の有利不利を調べてみた。

すると、中京、京都ともに逃げ+先行馬が7割近い連対率となった。逆に追い込み馬は勝率2%を切るという絶望的な数字。コース替わりにより差し馬が得をすると思ったが、引き続き先行有利の傾向が続くとみて間違いないようだ。

表3東海S出走馬の前走距離


使いづらいデータが多い今回だが、あまり影響なさそうなものもある。調べた期間は東海Sが1月の中京ダート1800mで行われるようになってからの7年間とする。

まずは距離。前走と同距離、もしくは距離短縮はさほど影響ないが、問題は距離を延ばしてきたグループ。サンプルが多くはないが、勝率、連対率ともにゼロとなっている。武蔵野Sからここに挑むエアルマスには嫌なデータだ。

表4東海S出走馬の馬体重


また、冬場で力の要るダートということで、馬力のある大型馬が有利なのではと思って調べてみたが、520キロ以上ある馬の成績が抜けていい。今回も大型馬が出走していれば注目して損はないだろう。

展開を重視しすぎると……

今年の東海Sを予想するにあたって、展開をポイントに挙げる人は多いと思う。有力馬の脚質を見ると、逃げ馬と追い込み馬のグループに分かれるのだが、その逃げ馬というのが、みやこSで前崩れの要因を作ったインティとスマハマ。当時の再現となってしまうのか、それとも兼ね合いが付くのか。展開が予想の重要ポイントなのは周知のとおりだ。

・前回のインティはテン乗り、しかも大外枠
・前回はもう1頭、典型的な逃げ馬がいた

この原稿は枠順確定前に書いているので、今回インティがどの枠に入っているか分からない。しかし、今回はリアンヴェリテ(3走前のエルムSでも競りかけていた)が出走していないのは大きい。みやこSにしても、この2頭で兼ね合いが付きそうなところにリアンヴェリテが割って入ったからややこしくなったように思う。

今回もアイファーイチオーという先行馬がいるが、玉砕した浦和記念からも無理には競りかけてこないだろう。冬場のダートは前有利というデータも手伝って、今回は先行有利とみたい。

ただし、展開予想というのは諸刃の剣で、読みが外れた時は手も足もでないことが多々。「展開予想は1、2着を当てるより難しい」と言うトラックマンもいるぐらいだ。ここは前有利を意識しつつ、しかしそこに頼り過ぎず予想を進めていくのが正解かと思う。

というわけで、アングライフェンに白羽の矢。この馬は前崩れだったみやこSにも出走していて、中団でじっくり足をためる競馬。勝負どころでさばき損ねた分で4着となったが、流れを読んだ競馬で内容自体はよかった。逆に前走の名古屋GPは前有利のコース形態を意識して、外枠から果敢に位置を取りに行く競馬。ちょっと早めに抜け出し過ぎて差されたが、流れに応じた競馬ができるのは強みだ。

兼ね合いが付けばインティ、スマハマの前残りが有望。両方ともデータ上有利な大型馬で、スマハマは文句なし、インティもあと4キロ増えれば好成績の520キロに到達する。

エアアルマスは前走の敗因がもまれ込んだにしてもふがいない負け方。前走から距離延長は不利というデータもあるので見送り。追い込み馬から選ぶとすればキングズガード。前、そしてイン有利のチャンピオンSで唯一追い込んで掲示板入り。GⅢなら流れが向かなくても、あるいは……という期待を抱かせる。

◎アングライフェン
○インティ
▲スマハマ
△キングズガード

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。

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