【京成杯】断然人気のスカイグルーヴに待った 東大HCの本命はビターエンダー

東大ホースメンクラブ

2020年京成杯で本命に推されたビターエンダーⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

例年は差し追い込みが台頭

1月19日(日)に中山競馬場で行われるのは京成杯(GⅢ・芝2000m)。皐月賞と同じ舞台で行われる3歳限定重賞だ。新馬戦を圧勝した超良血馬スカイグルーヴや連勝中のヒュッゲらが人気を集めそうだ。その2頭の評価や、その他で狙いたい穴馬を検討していく。

まずはコースの特徴や馬場傾向、レース展開を分析していこう。

表1_前後半5Fと1~3着馬の脚質ⒸSPAIA


過去10年で逃げ馬が残ったのは前半1000m通過が63.2と遅かった2010年2着アドマイヤテンクウのみ。途中コース替わりがあるとはいえ、年末の中山開催から起算して7週目以降(今年は8週目)に行われるレース。前で運ぶメリットはそれほどない。

今年のメンバー構成ではロールオブサンダーやヒュッゲが逃げ候補。スカイグルーヴの前走は枠の並び的に先頭に立っただけで、今後のことも考えれば逃げたくないだろう。また、その他にも2・3番手あたりからの競馬をしてきた馬が多く、それなりに前がかる展開を想定したい。レース傾向通り、差し追い込み勢にチャンスが巡ってくると読む。

表2_過去3年の中山芝2000m枠番別成績ⒸSPAIA


中山芝2000mの枠順別成績では4~6枠が好調。内にしても外にしても、極端な枠は好ましくない。また馬場傾向だが、先週日曜のフェアリーSはスマイルカナが最内枠から悠々逃げ切り。一方で、2200m戦の最終レースは好位外から早目に動いたネガイが押し切り。もともと内が有利なマイル戦以外は、内外の有利不利はほぼなかった。さらに、今週土曜は一時雨もしくは雪が降る予報もある。フラットな状態か、外がやや有利な状態をイメージしておきたい。内すぎる枠は割り引き、多少渋った馬場でも対応できる馬を狙いたい。

エピファネイア産駒の昇級戦は?

さて、今年断然の1番人気が予想されるスカイグルーヴについて。新馬戦は馬なりで先頭に立ち、最後の直線はほとんど持ったままでラスト11.2-11.1という高い水準でいわゆる“加速ラップ”を踏んだ抜群の内容だった。能力は認めた上で、競馬ファンにとってこの手の1戦1勝馬が重賞で人気すると扱いに難儀するのも事実。

ネガティブなデータを挙げておくと、スカイグルーヴはエピファネイア産駒。エピファネイアは現役時代かなり気性の勝ったタイプだったが、それが遺伝するのか新馬戦からバリバリに動けるのがエピファネイア産駒の特徴。

表3_エピファネイア産駒のクラス別成績(芝レース)ⒸSPAIA


ダート戦ではそもそもどう切り取っても成績がよくないので、上記は芝レースに限定した数値である。前述の通り新馬戦は成績・回収率ともによく、未勝利戦でも好成績を残している。一方でクラスが上がると露骨に苦労する傾向もみられる。前走1着で昇級戦となる馬は単複回収率40%台と不振で、“連チャン”がきかない種牡馬。

スカイグルーヴ自身、母アドマイヤセプターも引っかかる面があった馬ということもあり、前走の挙動を見ても折り合いに不安がありそうなタイプ。重ねて言うが能力は認めても、新馬を逃げ切ったあとの重賞挑戦で全幅の信頼は危険。まず間違いなく人気になるので馬券的には嫌って勝負という作戦も十分ありだろう。

ここまでの内容を整理すると、
1.差し有利の傾向があるレース。今年も差し馬狙い
2.内外フェアか、やや外有利の馬場を想定
3.土曜の降雨(雪?)予報で、渋った馬場にもある程度対応可な馬
4.エピファネイア産駒の昇級スカイグルーヴは過信禁物

ということになる。以上を踏まえて出走馬の検討に入ろう。

好時計勝ちの前走を評価

本命はビターエンダー。デビュー戦はスローペースの後方からラスト3F11.8-11.4-11.4というラップでは差しようがなかったが、上がり最速タイの末脚で差を詰めて3着。取りこぼした形で、続く前走は2着に3馬身差をつける順当勝ち。この時の勝ち時計2.00.3は現3歳世代の東京芝2000m戦では3番目のタイムで、今回出走するスカイグルーヴと単純比較しても1.1秒速い。スムーズに運べる少頭数の外め10番枠は好印象だし、オルフェーヴル産駒なので多少馬場が渋っても問題ないだろう。

対抗はゼノヴァース。こちらもデビュー戦と2戦目は東京で33秒台の上がりを繰り出しながら届かない展開に泣いたが、中山に替わった前走で一発解答。ペースは流れた方がいいタイプのようで、今回のメンバー、引き続いての中山なら好走が期待できる。

3番手はクリスタルブラック。新馬戦はあまりにもペースが遅く、数字自体は参考にならない。ただしレースぶりはそのスローペースのなか4角で6頭分くらい外を回して進出し、直線は右にモタれる面を見せながら差し切って最後は流す余裕も。2戦目で締まった流れになった時にどうなるか未知数だが、魅力はある。

ヒュッゲは4番手評価にしたが、エリカ賞が行われた昨年末の阪神開催は内ラチ沿いを走った馬、逃げ馬に有利な傾向が出続けていたため、額面通りの強さがあるのかは疑問が残る。

スカイグルーヴは前述したように能力の高さは認めるが、気性的な懸念を踏まえて押さえまで。

ヴィアメントの前走も枠順を活かして上手く立ち回った感は強いが、渋った馬場でも平気という点を評価して印を回しておく。

▽京成杯予想▽
◎ビターエンダー
○ゼノヴァース
▲クリスタルブラック
△ヒュッゲ
×スカイグルーヴ
×ヴィアメント

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」でも予想を公開中。

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