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【ホープフルS】予行演習が完了 皐月賞を見据えたラップでコントレイルが勝利

2019/12/29 09:00
勝木淳
2019年ホープフルSを制したコントレイル

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

コントレイルの圧勝

今年で施行3年目になるJRAオーラスGⅠのホープフルS。先週の有馬記念で多くの一流馬がターフを去ったのと入れ替わるように、明日の希望を担う若駒たちによる戦いは来年へと続く物語のプロローグのようなもの。有馬記念が最後ではない寂しさもあるが、そんな新たな扉への予告編のような終わり方も悪くはない。

レースは東京スポーツ杯を1分44秒5、上がり3ハロン33秒1という衝撃的な数字で勝ったコントレイルが5番手追走、4角すぎには2番手というスマートな競馬で快勝した。勝ち時計は2分1秒4(良)。2着はコントレイルを徹底的にマークしたヴェルトライゼンデ、3着は最後に粘るラインベックを捕らえたワーケアだった。

まるで皐月賞の予行演習

逃げ経験がある馬がいない組み合わせは展開が読みづらかった。先手を奪ったのは若手の坂井瑠星騎手とパンサラッサ。スローペース予想を覆すペースは1000m60秒9と平均的。サートゥルナーリアが勝った昨年が62秒5だけに、よどみのなさは春の皐月賞を想起させるスキがない流れだった。

先行勢を深追いしないように5番手に構えたコントレイルは向正面で先行集団を追いかけんと唸るような走りを見せる。夢中になって前を追う姿は若駒らしい。福永祐一騎手がなだめて3角すぎからの加速にもチェンジオブペースで対応。

4角で、手応えで見劣るラインベックをかわし、坂下で逃げるパンサラッサをすんなりと捕える。この2ハロンが12秒0-11秒9。残り200mは12秒5だったが、これは抜け出して余裕があったのか、コントレイルが再び若さを発露してのラップ。道中で直後に構えて徹底マークだったヴェルトライゼンデが突き放されながら、最後に迫ってきたのはどう見てもコントレイルが抜け出してから遊んだからだった。着差以上の力の開きを感じざるを得ない。

そのヴェルトライゼンデは標的をコントレイル1頭に絞った競馬だった。コーナーで加速したコントレイルとは対照的に反応の遅さが敗因だろう。たしかに相手が遊んでいることもあったが、エンジンがかかれば終いまでしっかり伸びてきただけに、来年に向けて課題は見えてきた印象。

ヴェルトライゼンデ以上に反応が遅れたのがワーケア。こちらは4角でスペースのさばきにスムーズさを欠いたため、追いだしを待たされた点が痛い。ハーツクライ産駒らしく反応自体も遅いので、中山では直線が短すぎた。

レースの前後半1000mは60秒9-60秒5。Aコース5週目になる最終日で全体的に時計がかかる馬場だったことは考慮しつつも、春の中山で行われる皐月賞でよく見かける59秒-59秒というスピード+持続力勝負に近いラップ構成だった。上位3頭はGⅢ、オープンの勝ち馬で、力勝負だったことを物語る。まるで皐月賞の予行演習のようなレース。来春の予想では起点としたいレースだった。

掲示板組も敗戦組、見直したい馬が多数

掲示板に載った5頭はいずれも当日はプラス体重。厳しい冬から春にかけて時間はたった4か月しかないが、まだまだ成長の余地は大いにある。

また敗れた組のなかではかなり外を回った分、最後に脚が上がってしまったオーソリティは見直す余地はありそうで、個性派ブラックホールはゴールドシップ産駒らしく、しまいがかかる展開なら突如として浮上しそう。4角で詰まり気味だった3着ワーケアを含め、この組は来年も注意しなければならないだろう。

予想陣では京都大学競馬研究会が◎〇△と3連単ズバリ。ワーケアを一段下げ、ヴェルトライゼンデを上げる予想は完璧だった。

《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて「築地と競馬と」でグランプリ受賞。中山競馬場のパドックに出没。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』にて記事を執筆。