【中山金杯】同コースGⅡ勝ちの実績を評価　東大HCの本命はスランプ脱出のカデナ

ⒸSPAIA（撮影：三木俊幸）

スローでなければ差し届く

1月5日（日）に中山競馬場で行われるのは中山金杯（GⅢ・芝2000ｍ）。今年こそは、という意気に燃える競馬ファンにとって是が非でも当てたい一戦だ。福島記念を勝ったクレッシェンドラヴが人気を集めそうだが、確固たる中心不在のメンバー。狙いたい穴馬を検討していく。

まずはコースの特徴や馬場傾向、レース展開を分析していこう。

2コーナーまでが上り坂ということもあってスローペースになりやすく、後半1000ｍが58秒台という年が7回もある。半面、ほぼ平均ペースといえる流れで後半が59秒以上かかった3回は中団以降からの差しがしっかり決まっている。当たり前といえば当たり前のことだが、ペースによる脚質の有利不利がシンプルに出やすいレースだ。ハンデＧⅢで各馬の力量差がある程度埋められているため、展開に結果が左右されやすいということだろう。

そこで今年のメンバー構成を見ると、昨年逃げて3着と好走したタニノフランケルが逃げそうだ。他にもブラックスピネルや前走逃げたトリオンフ、イレイションらがいて極端に緩いペースはないだろう。かつ、人気を背負いそうなクレッシェンドラヴは自分から早めに動いて前を捕まえに行くタイプ。前に行く馬よりも差し追い込み勢にチャンスが巡ってくると読む。

実績上位馬を素直に

ホープフルS時に枠順別成績は紹介したので簡素に。

大きな差ではないが、中～外目の枠が安定して走る。馬場傾向だが、正月の京都開催はインが極めて良好なケースが多いのだが、中山に関しては年末の開催での傷みをコース替わりが相殺して例年フェアな状態になりやすい。よってどの枠でも大きく加点減点の必要はないだろう。

また、金杯のハンデ別成績を見ると、定量戦で背負う斤量（4歳牡馬56、5歳以上牡馬57、牝馬2キロ減）と比較して重い馬の方が、連対率や複勝率だけでなく回収率も断然高い。

ハンデ戦ながら軽ハンデ馬のごまかしが利かないレースで、素直に実績上位馬を信頼すべきだ。今年の該当馬はギベオン（57.5）とトリオンフ（58）の2頭だ。

ここまでの内容を整理すると、

1．展開に左右されやすい。今年は平均ペース想定で差し狙い
2．内外フェアな馬場状態と仮定。中枠が無難
3．ハンデが重くても実績上位馬優先

ということになる。以上を踏まえて出走馬の検討に入ろう。

コーナー4回の2000ｍなら

本命はカデナ。3歳秋から明け5歳までスランプに陥ったが、昨年の春から復調。派手な末脚で追い込むタイプながら、直線の長いコースよりコーナー4回の競馬が合う。コーナー4回の2000ｍでは弥生賞など重賞2勝に加え、昨年の小倉記念では直線やや進路取りに手間取る場面もありながらメールドグラースとタイム差なし。不調期だった一昨年の中山金杯ですらスローペースの後方から大外をマクり気味に進出するロスの大きい競馬で勝ち馬と0.5秒差。脚質的に展開に左右されるが、今の状態ならそれさえクリアできれば好走必至だ。前走の大敗は夏場の連戦から返す刀でGⅠの超強力メンバー相手では仕方なし。GⅢなら見直したい。

対抗はトリオンフ。長休明けをいきなり好走した反動は気になるが、18年に小倉記念をレコード勝ちした際はGⅠを意識させる強い勝ちっぷりだった。本来ならここでは一枚格が違うはず。58キロでも。

3番手はクレッシェンドラヴ。昨年、唯一馬券圏内を外したオールカマーは直線で詰まって脚を余したもの。中山や、特徴の似た福島での実績豊富で安定感がある。疑うとすれば、これまで破ってきた相手がそれほど目立たない点くらいか。

以下レッドローゼス、ウインイクシード、人気のなさそうなところではマイネルサーパスまで押さえる。

特にマイネルサーパスの前走・中日新聞杯は、外枠から外をなし崩し的に脚を使いながら進出するレース内容。枠順のせいではあるが、もう少しやりようがあった気もする。それでいて一旦は先頭に立ちかけるシーンも。福島で1勝、重賞2着の福島巧者なら中山もタイプ的には合うはず。

ギベオンは前走デットーリ騎手騎乗で注目された中、直線は詰まり通しで全く競馬にならなかった。ただし、あまりにも目立ってしまったため人気落ちは特に望めなさそうだ。2000ｍという距離でも重賞は勝っているが、個人的にはNHKマイルC2着がベストパフォーマンスと見ている。そこそこの位置から流れ込むだけという決め手を欠く競馬が続いており、強調しづらい。

ザダルはプリンシパルとセントライト記念とも枠順に恵まれた印象で今回が試金石だ。

▽中山金杯予想▽
◎カデナ
○トリオンフ
▲クレッシェンドラヴ
△レッドローゼス
✕ウインイクシード
☆マイネルサーパス


《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」でも予想を公開中。