【中山大障害・阪神C】20年目の金子光希騎手が涙のV 先週のレースを予想とともに振り返る

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
金子騎手、悲願のGⅠ勝利に涙
12月21日、厚い雲が垂れ込めた曇り空の中山競馬場では中山大障害(J・GⅠ 芝4100m)が行われた。今年はオジュウチョウサンが出走せず、混戦模様となっていたが、果たして栄冠を手にしたのはどの馬だったのか。レースを振り返っていこう。
少しバラっとしたスタートとなった中、先手を取ったのはディライトフル。自慢のスピードを生かして後続に4馬身ほどのリードをつけて、次々と障害を飛越していく。2番手にはJ・GⅠで7連勝中と大舞台にめっぽう強い石神深一騎手が騎乗するシンキングダンサー、その直後にメイショウダッサイとルペールノエルが追走する形となり、深い谷を下って大障害コースへと向かっていった。
待ち受けているのは高さ1.6mの大竹柵。タイミングを合わせて続々と飛越し、最後方のスリーコーズラインまで全馬が無事飛び終えると、場内からは拍手が沸き起こった。各馬は4コーナーから3コーナーへと逆回りの周回へと入り、次々と障害をジャンプ。依然としてディライトフルは3馬身のリードをキープ。2番手以下は固まった状態で3番手にメドウラーク、5番手あたりにはシングンマイケルやブライトクォーツあたりも徐々に前目のポジションをうかがい始める。
再び谷を下って上って、大障害コースへ。待ち受けているのは高さ1.8mの大いけ垣。ここも先頭のディライトフルから全馬が無事に飛越を終えると、場内から再び大きな拍手が沸き起こった。最大の難関をクリアし、レースはいよいよ勝負所へ。
1、2コーナー中間地点のいけ垣を迎えたあたりでディライトフルのリードがなくなり、外からブライトクォーツが並びかける。その直後には内にシンキングダンサー、外にシングンマイケル、間を突いてメドウラークと5頭が一団となって最終障害へと向かう。
ブライトクォーツとシングンマイケルが並んで先頭に立っていたが、そこから先に抜け出して、直線コースへと向いたのはシングンマイケル。ブライトクォーツも必死に前を追うが、その差は詰まらず。最後は2馬身差をつけてシングンマイケルがJ・GⅠ初制覇を果たした。3着争いは粘るシンキングダンサーと差して来たメイショウダッサイの争いとなったが、ハナ差でメイショウダッサイが3着となった。
シングンマイケルに騎乗していた金子光希騎手は、デビュー20年目にして悲願のGⅠ初勝利を飾った。レース直後は笑顔を見せていたものの、表彰式では感極まって目頭が熱くなる場面も見られた。

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
これで重賞3連勝としたシングンマイケルと金子騎手とのコンビ。今後の更なる活躍に期待は高まるとともに、オジュウチョウサンとの直接対決の機会が訪れることを楽しみに待ちたい。
グランアレグリアが格の違いを見せつける
阪神競馬場では1400mのスペシャリスト達による争い、阪神C(GⅡ・芝1400m)が行われた。人気を集めたのは、今年の桜花賞馬で5月のNHKマイルC以来の出走となった3歳牝馬グランアレグリアだった。
注目された先行争いは、メイショウショウブとグランドボヌールの2頭による争いとなり、マイスタイルは5番手から、グランアレグリアは中団内目を追走する形となった。その直後にフィアーノロマーノ、レッツゴードンキなどが続いていき、前半600mは33.9で通過する。
最終的にハナを奪い切ったのはグランドボヌールだったが、4コーナーから直線を向いた時点でメイショウショウブが早め先頭へと立った。しかし、その直後の空いたスペースからあっという間に抜け出したのは、グランアレグリア。そのままグングンとリードを広げて、2着に追い込んできたフィアーノロマーノに5馬身差をつける完勝。勝ちタイムは1:19.4、メンバー中最速の上がり33.5の末脚を繰り出した内容からも、このメンバーでは格が違うというところを強烈に印象づけるレースだった。
予想はこれが引退レースとなったレッツゴードンキが本命。グランアレグリアが通ったのとほぼ同じコースを突いて伸びてきてはいたものの、3着メイショウショウブに惜しくもハナ差届かず4着という結果だった。レース後には引退式が行われ、多くのファンに見送られて約5年4か月の競走生活に別れを告げた。
