【有馬記念】今年はタフなレースになる!京大競馬研のラップ予想から導き出された本命馬は?

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
1年の総決算有馬記念
競馬を知らない人も名前は知っているほどのビックレース有馬記念。今年はGⅠ馬11頭ととてつもなく豪華なメンバーで行われ、アーモンドアイVSリスグラシューの最強牝馬対決にも注目が集まるだろう。
好きな馬で夢を見る人も多いだろうが、当てて1年を締めたい人も多いはず。的中の為に最大限のアプローチをしてみた。
有馬記念ラップ傾向
まずは有馬記念の過去5年ラップから見てみよう。

過去5年の有馬記念のラップを見てみると二極化されている。ざっくりと分けると
・前半スローペース→二段階加速のL2(ラスト2ハロンの意味)最速戦(2017、2015、2014)
・前半平均〜ややハイペース→L5orL4最速のロングスパート戦。 (2018、2016)
なぜこんなにも極端になるのか分析してみると2コーナーの下り坂が原因といえる。過去5年のラップを見るとペースに関係なく、L5でいったん加速している。過去10年に広げてもそれは同じ。そのためL5からロングスパート戦に近い状態になっていて、スローペースならここからもう一段階ギアが上がってL2で最速になる。
逆にややハイ以上のペースだと、L5で加速して前の馬の余力が残っていないため、L5、L4あたりが最速になっている。今年はアエロリットをはじめ、クロコスミア、キセキ、スティッフェリオが先行すると考えられるので、ペースはある程度しまってくるだろう。そうなれば2018年のようなロングスパート戦になると予想。このペースが得意な馬に思い印を打っていきたいところだ。
古馬になって覚醒するハーツクライ産駒
◎6リスグラシュー
2018年エリザベス女王杯ではクロコスミアが引っ張って、ラスト600mまでほとんどが12秒台後半が続く中、この馬だけが上がり2位に0.4秒差の33.8秒を使って優勝。流れるペースも、2017年秋華賞やQE2カップで対応可能なことが証明されている。
3着だったQEエリザベス2世カップの個別ラップは
25.68-23.31-23.52-23.26-23.20 1.58.97
ラップタイムを見ると、前半からまずまずの入り方をしつつ、多少の緩急はあるものの、道中がかなり締まった展開になっており、最後まで一定に近いスピードを維持している。高いスピード持続力が問われたレースだった。
しまいが、失速していないタフなレースでの好走歴からも、有馬記念に適性があると考えても良いだろう。
2019年の宝塚記念でも、淡々とした流れから序盤は行きたがる面を見せながらキセキの後ろでレースを進め、楽勝だったことを考えるとアーモンドアイを負かす可能性が最もありそう。
〇9アーモンドアイ
説明不要の現役最強馬。この馬が負けるとするなら安田記念の時のように差し損ねた時だろう。2018年ジャパンカップや、2019年天皇賞秋では内枠で先行馬をマークして、すんなりと競馬できたことを考えると、逃げ・先行馬が多く激しい競馬になりそうな今回、すんなりいいポジションを取るのは簡単ではないと考えての対抗評価にした。
▲11キセキ
2017年菊花賞馬。能力の高さがありながらスローペースを嫌うなど気性的に幼い面があって、菊花賞以降凡走していたが、2018年毎日王冠以降は、先行して自らペースを作ることにより、その弱点をカバーどころか強さを発揮するようになった。
2018年の天皇賞秋のラップは、
12.9 - 11.5 - 11.8 - 11.5 - 11.7 - 11.6 - 11.3 - 10.9 - 11.6 - 12.0
で11秒台が続く厳しいペースを逃げて3着。着順以上に強い内容だった。2018年のジャパンカップは高速馬場の恩恵がありながらも、アーモンドアイの2着。3着以降を3馬身以上突き放していて、とてもタフな馬だということが分かった。
5着に凡走した2018年の有馬記念だが、秋のGⅠ皆勤賞の疲れがあり、雨も降って大外から一気に先行しなければならない厳しい競馬を強いられながらも、5着まで粘り込んだ。この強さは素直に評価したい。前走の凱旋門賞は仕方なし。フォア賞は凱旋門賞馬ヴァルトガイストの3着。今回アエロリットが外枠を引いたことによってキセキがすんなり先手を取れそうだ。ある程度スローで流れて縦長の馬群を作れそうなので3番手評価。
△1スカーレットカラー
エリザベス女王杯7着だが、あのレースはスローペースだったため、コース取りの差で着順が変わっていた。クロコスミアが作ったスローペースで前にいないとチャンスすらなかった。内を突いて優勝したラッキーライラックに対して、スカーレットカラーは外を回しての7着なので悲観することはないだろう。同じく外を回していたサトノガーネットは12月の中日新聞杯を勝利。
3走前の2着だったクイーンステークスは完全にミッキーチャームの勝ちパターン。そんな中、この馬は後方から直線詰まる不利がありながらもラスト150mで一気に伸びての2着だった。負けて強しの内容。2走前の府中牝馬ステークスは時計・上がりともに優秀で現役牝馬トップクラスのパフォーマンスで勝利。稍重でよどみないタフなラップだったのを考えると、今回も同じような展開になりそうで、十分チャンスがあると考える。
☆ヴェロックス
持続力勝負になれば台頭の余地がある。東京スポーツ杯は、直線で明らかな不利があって僅差の4着。このレースは
12.7 - 11.5 - 12.0 - 12.3 - 11.9 - 11.6 - 11.6 - 11.4 - 11.6
と、多頭数ということもあって、東京芝1800mらしからぬラップ。ラスト4ハロンくらい加速し東京の長い直線も相まって、瞬発力よりもスタミナや持続力が求められた。その中であの競馬ができたので、直線の不利も経験と考えれば有馬記念での好走条件を満たす。
父ジャスタウェイはトニービン内包なので、タフな流れにうまく乗れそうだ。3歳馬のレベルが疑問視されているが、世代3強の一頭の実力を信頼したい。
同じく3強の一頭のダノンキングリーは、今年の天皇賞秋3着馬アエロリット、マイルチャンピオンシップ勝ち馬のインディチャンプ、同レース3着馬ペルシアンナイトなどが出走していた毎日王冠で上記の馬たちを一掃した。マイルチャンピオンシップは5着だったが、伸びにくい内を回ってのもので悲観する内容ではないだろう。ダノンキングリーを物差しにすればヴェロックスにも十分古馬と戦えるチャンスがあるでのはないかと考える。
(文 ケータロー)
有馬記念2019予想
◎6リスグラシュー
〇9アーモンドアイ
▲11キセキ
△1スカーレットカラー
☆14ヴェロックス
《ライタープロフィール》
京都大学競馬研究会
今年で25周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。
