【有馬記念】ルメール騎手がダントツの成績! 東大HCが中山芝2500mを徹底解析

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コース分析

今週は中山芝2500mを舞台に中央競馬の総決算、GⅠ・有馬記念が行われる。今回がラストラン、空前のグランプリ4連覇で有終の美を飾りたいクロノジェネシスと、天皇賞(秋)で先輩三冠馬コントレイルをねじ伏せた3歳世代の代表格・エフフォーリアが人気の中心。

2強を追うのは菊花賞を鮮やかに逃げ切ったタイトルホルダー、エリザベス女王杯からの連勝を狙うアカイイト、仏GⅡフォワ賞覇者・天皇賞(春)2着ディープボンドなどの精鋭たち。今年も年末の大一番にふさわしいスターホースたちが出揃った。

このコースを舞台とする重賞は有馬記念の他に天皇賞(春)の重要なステップレースとなるGⅡ・日経賞がある。コースの特徴を過去のデータから分析していこう(使用するデータは2011年12月25日〜2021年12月19日)。

まずはコース概要。内回りコースが舞台だが、スタート地点を内回りに設定するとすぐコーナーを迎える影響で、外回りコースの3コーナー手前からスタートする。4コーナーを回った後に正面スタンド前で中山名物・高低差2.2mの急坂を上る。その後2コーナー前まで上りが続き、下りに転じて向正面へ。平坦な直線を迎える。

3・4コーナーのきついカーブを通過すると、わずか310mしかない直線へ(直線距離は中央4場で最短)。最後に待ち受ける2度目の急坂が勝負のカギを握る。コーナーを6回も通過し、器用さが求められるトリッキーなコースレイアウトだ。

あまりに厳しい有馬の8枠

中山芝2500m・過去10年の枠別成績,ⒸSPAIA


<中山芝2500m・過去10年の枠別成績>
1枠【12-12-7-90】勝率9.9%/連対率19.8%/複勝率25.6%
2枠【11-9-11-93】勝率8.9%/連対率16.1%/複勝率25.0%
3枠【11-10-10-106】勝率8.0%/連対率15.3%/複勝率22.6%
4枠【8-14-14-113】勝率5.4%/連対率14.8%/複勝率24.2%
5枠【11-16-16-125】勝率6.5%/連対率16.1%/複勝率25.6%
6枠【16-19-11-131】勝率9.0%/連対率19.8%/複勝率26.0%
7枠【12-8-22-143】勝率6.5%/連対率10.8%/複勝率22.7%
8枠【19-10-8-150】勝率10.2%/連対率15.5%/複勝率19.8%

古くはアメリカンボス、マツリダゴッホ、近年ではクイーンズリングが有馬で好走したことで内枠有利の印象が強いコースだが、全体成績で見ると枠ごとに大きな差はないのが実情。気にしておきたいのは8枠の不利で、有馬記念の過去10年では【0-0-1-19】(馬券内は2018年のシュヴァルグランのみ)。

1986年以降で見ても【3-2-1-65】複勝率8.5%。勝ったのはイナリワン、シンボリクリスエス、ダイワスカーレットと歴史的名馬だけだ。今年の8枠はキセキとタイトルホルダー。特に後者は有馬記念とすこぶる相性のいい菊花賞勝ちからの臨戦だが、同レース史上16番枠から馬券に絡んだ馬はいない。

中山芝2500m・過去10年の脚質別成績,ⒸSPAIA


<中山芝2500m・過去10年の脚質別成績>
逃げ【12-4-5-86】勝率11.2%/連対率15.0%/複勝率19.6%
先行【49-45-37-210】勝率14.4%/連対率27.6%/複勝率38.4%
差し【28-37-42-327】勝率6.5%/連対率15.0%/複勝率24.7%
追込【6-9-12-316】勝率1.7%/連対率4.4%/複勝率7.9%

脚質別では先行>差し>逃げ。コース形態上、好位から最後の直線でもう一脚を使える強力な先行馬を倒すのは至難の業。有馬記念でも人気を集めた先行組はほとんど好走しており、トゥザワールド、ゴールドアクター、クイーンズリングなどが波乱を演出してきた。基本的に前へと意識を向けるべきだろう。

後方勢は昨年サラキアが11番人気で2着に突っ込み、一昨年はワールドプレミアが4角16番手から3着まで間に合ったが、好走率はやはり一枚も二枚も劣る。3連系で高配当を狙うなら差し・追込勢をバッサリ切るのも一つの手だ。

種牡馬は混戦模様

中山芝2500m・過去10年の種牡馬別成績,ⒸSPAIA


<中山芝2500m・過去10年の種牡馬別成績>
ハーツクライ【8-10-9-68】勝率8.4%/連対率18.9%/複勝率28.4%
ルーラーシップ【4-1-2-26】勝率12.1%/連対率15.2%/複勝率21.2%
ハービンジャー【3-0-4-19】勝率11.5%/連対率11.5%/複勝率26.9%
エピファネイア【2-0-0-0】勝率100.0%/連対率100.0%/複勝率100.0%

かつてはこの地に“本籍”を置くステイゴールドという偉大な種牡馬がいた。過去10年での同コース22勝はぶっちぎりのトップで、有馬記念でも好走例は枚挙にいとまがない。しかしこの大種牡馬は2015年にこの世を去り、残る産駒も日を追うごとに少なくなっている。

続く勝利数2位のディープインパクト産駒も有馬記念に不在で、出走がある種牡馬で最多はハーツクライの8勝。特に牝馬は【4-1-2-11】と上々の数字で、2019年の有馬記念ではリスグラシューが圧勝している。

今年は府中牝馬S覇者シャドウディーヴァが登録。左回りがベターな同馬だが、サラキアと重なる戦績での激走があるか。有馬記念で異彩を放ったルーラーシップもまずまずの数字。7歳馬キセキが4年連続のスタンバイ。万感の思いをこめたラストランに期待したい。

その他ではペルシアンナイトを送り出すハービンジャー、サンプルが2戦しかないが2勝しているエピファネイアも挙げる。クロノジェネシス・ステラヴェローチェのバゴは【1-0-0-2】。

中山芝2500m・過去10年の騎手別成績,ⒸSPAIA


<中山芝2500m・過去10年の騎手別成績>
ルメール【6-6-6-9】勝率22.2%/連対率44.4%/複勝率66.7%
池添謙一【3-1-1-7】勝率25.0%/連対率33.3%/複勝率41.7%
田辺裕信【4-4-13-40】勝率6.6%/連対率13.1%/複勝率34.4%
横山武史【1-0-0-10】勝率9.1%/連対率9.1%/複勝率9.1%

騎手別成績ではルメール騎手がダントツ。有馬記念では昨年フィエールマンで3着。何度も好騎乗を披露しており、全幅の信頼は揺るがない。今年はクロノジェネシスに騎乗。グランプリ4連覇をエスコートする可能性は高い。関西組にはすっかりグランプリ男の異名が定着した池添謙一騎手とモズベッロも控えている。

お膝元関東からは田辺裕信騎手を推奨。2020年以降では【2-0-4-3】と3分の2を馬券圏内に持ってきており、複勝回収率は138%を記録。騎乗予定のアサマノイタズラは人気薄だろうが、コース相性は抜群。展開がハマりにハマった時の末脚は怖い。

一方、横山武史騎手は11回騎乗して馬券圏内が1勝のみとやや気になるデータ。1番人気の騎乗が一度もなく、平均人気が5.7とやや低めなのでこれだけで消しとはならないが、2強ならクロノジェネシスが信頼できそうだ。

中山芝2500mのコース分析インフォグラフィック,ⒸSPAIA



《ライタープロフィール》
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約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開。秋G1シーズンに合わせ、新入部員募集中。

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