【有馬記念】ステイゴールド産駒が圧倒的な成績も、今年はディープインパクト産駒の出番

SPAIA編集部

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ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

実績十分、ステイゴールド産駒

有馬記念といえばステイゴールド産駒、というぐらい相性がいい。のべ18頭の出走で【4-1-2-11】という好成績を残していることからもよく分かる。一方、最多の20頭が出走のディープインパクトは2勝を挙げているが、残る18頭は着外である。荒れた馬場に対する適性の差が出ているのだろう。

有馬記念の種牡馬成績(過去10年)

ここ10年で馬券に絡んだステイゴールド産駒は、ドリームジャーニー、オルフェーヴル、ゴールドシップ、オーシャンブルーの4頭。ドリームジャーニー、オルフェーヴルの全きょうだい、そしてゴールドシップは母系がメジロマックイーン×ノーザンダンサー系×ナスルーラ系の配合。欧州のスタミナ系を基本として、スピードも取り入れたバランスのいい母系が成功のカギとなっている。

2012年の2着馬オーシャンブルーは流行のドイツ牝系だが、母はスタミナ寄りのシャーリーハイツ系×ノーザンダンサー系の配合。勝ち切れなかったのはスピード血脈が足りなかった分かもしれない。ちなみに、同じステイゴールド産駒でも、マイルで活躍のインディチャンプ(安田記念、マイルCS)やアドマイヤリード(ヴィクトリアマイル)は母の父がミスプロ系で、米血中心の母系となっている。

中山2500mの種牡馬成績(2015年1月~)

中山芝2500mに限ってみても、ステイゴールド産駒がほかを圧倒している。ある程度出走頭数がいて連対率25%越えは見事というほかない。

今年はステイゴールド産駒は4頭が登録(ウインブライトは回避予定で除く)。最もスタミナ寄りなのはクレッシェンドラヴ。母系がほぼ欧州血脈で固められ、将来は優秀なステイヤーに育ちそう。ただ、出走馬決定順で18番目。出られれば注目。

スティッフェリオは欧州血脈が中心の母系だが、我が強いスピード血脈のGreen Desertが入る分、中距離にも対応可能となっている。クロコスミアは母系が米血×欧血。パターンが逆なだけで、これもバランスのいい配合。エタリオウは菊花賞や天皇賞で好走しているが、配合からは最もスピード寄り。勝ち切るだけの底力が足りないように思えるのはこのあたりが原因かも。

ディープ産駒はスタミナ注入が吉と出る

ディープインパクト自身は中・長距離タイプといってもおかしくない血統構成だが、産駒の本質はマイラーだと思っている。よって、距離をこなすには母系にスタミナ注入が不可欠となる。

ディープインパクト産駒もステイゴールド産駒と同様に3頭が出走。最もスタミナ寄りなのはフィエールマン。底辺をフランス、イギリスの血脈で固めて、母の父に底力タイプのニジンスキー系。母自身もフランスの長距離重賞を勝っており、長距離GIの菊花賞、天皇賞・春を勝ったのもうなずける。それだけに凱旋門賞でもある程度やれると思っていたのだが、母系がどうであれ、ディープ産駒には手も足も出ない馬場だったということか。今年の菊花賞馬ワールドプレミアは日本と相性のいいドイツ血脈に、スタミナ満載のBe My Guestの名前が見られる。残る1頭のアルアインは典型的な中距離血統だろう。

ハーツクライ産駒でもリスグラシューは他と少し違う

ハーツクライ産駒は母の父に米血を中心としたスピード血脈を入れるのが必勝配合。シュヴァルグランやスワーヴリチャードはまさにそのパターンなのだが、リスグラシューは少し毛色が違う。母はマイラーだったが、血統構成は中・長距離向きでも全く問題ないもの。牝馬の分で距離が短めにシフトしているのかもしれないが、額面上はギュスターヴクライ(阪神大賞典)やアドマイヤラクティ(コーフィールドC、ダイヤモンドS)と同じステイヤータイプ。本格化して連勝中のリスグラシューだが、ほかのハーツクライの代表産駒より詰めが甘い可能性は否定できない。

同じハーツクライ系のヴェロックスもスピード血脈が足りない分、2、3着が多くなっているのもうなずける。

ロードカナロアは祖父Kingmamboとそっくり?

難しいのはサンプルが少ないロードカナロア産駒。自身は超一流のスプリンターだったが、代表産駒のアーモンドアイやサートゥルナーリアを見る限り、その枠には当てはまらない可能性が極めて高い。マイラーだった祖父Kingmamboが中・長距離タイプの大物を何頭も出したのと似ている気がする。

ロードカナロアの父であるキングカメハメハの産駒は東京向きの産駒が多かったので、アーモンドアイに死角があるとすれば中山コースへの適性になるか。

また、同じKingmambo系のルーラーシップ産駒は、キングカメハメハやロードカナロアよりパワータイプが多い。コース適性をいえばこちらの方が上。レイデオロは不振に陥ると立ち直りが遅いキングカメハメハ産駒。さすがに一変は厳しいか。

出走予定馬の父系を見ると、有馬記念を勝ったことがあるのはステイゴールド産駒とディープインパクト産駒だけ。今年も勝ち馬はその中から出るとみるが、中でもワールドプレミアはスピードとスタミナのバランスがよく、先週朝日杯FSを勝ったサリオスと同じドイツ牝系ということで勢いも感じる。

注目のアーモンドアイだが、有馬記念においては2、3着が多いKingmambo系。取りこぼす可能性は十分ありそう。同系統のキセキ、サートゥルナーリアとともに押さえまで。

◎ワールドプレミア
○フィエールマン
▲スティッフェリオ
△クロコスミア
×キセキ
×サートゥルナーリア
×アーモンドアイ

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