【朝日杯FS】「平均上がり34.2」「4角平均通過ポイント2.1」に合う馬は?

三木俊幸

2019年朝日杯FSインフォグラフィック

ⒸSPAIA

引き続き先行有利な馬場傾向

香港スプリントの撮影を終えてプレスルームに戻ると、前の席に座っていた某有名評論家から「リアアメリアが負けたよ」と知らされた。しかもレシステンシアがレコードで圧勝したということで、周囲はざわざわとした雰囲気になっていた。

帰国後改めてレース映像をチェックした感想としては、間違いなくレシステンシアは強い競馬をしたと言っていい。しかし開幕週にレコードを連発し、逃げ・先行馬が有利だった馬場状態は、多少なりともレース結果に影響を与えたのではないだろうか。

今週も阪神JFと同じ舞台で2歳牡馬による朝日杯FS(GⅠ・芝1600m)が行われる。果たしてどのような結果となるのか、先週の阪神競馬場の馬場傾向と過去の朝日杯FSのデータを元に分析していく。

12月7日、8日に阪神競馬場で行われた芝のレースは12レース。先述したように阪神JFでは1:32.7のレコードタイムをマーク、2000mのエリカ賞(2歳1勝クラス)で2:00.6の決着となったように、引き続き時計が出やすい状態だったと言える。

12/7・8、阪神芝コースの上がり

今回の朝日杯FSが行われる外回りコースで行われた6レースの上がりタイムをみると、33秒台後半から34秒台前半の上がりを使った馬が多く、外回りの平均上がりは1着34.0、2着34.3、3着34.3、1〜3着の平均は34.2となっている。

続いて通過順位についても調べてみた。

12/7・8、阪神芝コースの通過順位

全12レース中10レースで3着以内に逃げ馬が入っていたように、引き続き逃げ・先行馬有利な馬場傾向にあると言っていい。

また外回りコースについては、4角の通過順位を数値化(逃げ1P、先行2P、差し3P、追込4P)した4角平均通過ポイントを集計。結果は1着2.2P、2着1.8P、3着2.3Pで1〜3着の平均は2.1Pだった。

このデータを踏まえると、スパッと切れる脚を使うタイプよりは、ある程度長くいい脚を使えるタイプに適した馬場状態であること、そして差し脚質よりはある程度先行力がある馬に有利な傾向にあると考える。今回の基準値は平均上がり34.2、4角平均通過ポイント2.1Pとして予想に移っていきたい。

馬場適性が高いペールエール

今年の出走馬の中で注目したのは、

ウイングレイテスト(35.4/3.0P)
サリオス(33.1/2.5P)
タイセイビジョン(34.8/2.7P)
ペールエール(34.3/2.0P)
レッドベルジュール(33.8/3.0P)の5頭。

12/7・8、3着以内に好走したときの平均上がり

まだキャリアが浅いので、各馬の数値を鵜呑みにしてはいけないが、今の馬場状態にぴったりと当てはまりそうな本命馬が見つかった。それがペールエールだ。新馬戦は中京の重馬場で上がり34.8、2戦目は新潟での瞬発力勝負で上がり33.1、3戦目は上がりのかかる京都で上がり34.9と、異なる条件で全て先行し、安定した成績を残している。これまでの中京、京都よりは速く、新潟よりは時計のかかる今回の条件は、今のこの馬にとってベストな条件だ。

対抗はサリオス。過去2戦はいずれも東京1600mで上がり33.1を使っているが、540kgの大型馬で究極の瞬発力勝負となる馬場を得意にするタイプとは思えない。それでいて余裕のある勝ち方をしていることからも相当な能力を秘めている。加えて前走のサウジアラビアRCの走破タイムは1:32.7のレコードと、今の馬場に全く不安はない。4角平均通過ポイントは2.5Pだが、基本的には好位からレースができるタイプなので、今回も5、6番手以内でレースを進めてほしいところだ。

3番手はレッドベルジュール。前走のデイリー杯2歳Sは差しが届く馬場が味方したという面もあるが、後方から鮮やかな差し切り勝ちだった。新馬戦では2番手を追走できているように、脚質面の自在性もありそうなだけに、安定して33秒台後半の末脚が使えるのは魅力的だ。

タイセイビジョンも前走の京王杯2歳Sで1:20.8のレコード勝ちを果たしている。平均上がりは34.8だったが、時計がかかる6月の阪神と洋芝の函館、高速馬場の東京と正反対の馬場でも好走できていることからも、今回も好走が期待される。あとは先行有利の馬場でどこまで差してこられるかに尽きる。

ウイングレイテストは決してスピードタイプという感じではないものの、東京と京都の外回りで34秒台の上がりを使って好走している。ある程度先行することが好走条件となるが、スタミナが要求されるレースになれば、台頭があっても不思議ではないだろう。

2019年朝日杯FSインフォグラフィック

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