【香港国際競走】日本馬大活躍の要因は?写真とともに振り返る

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
日本馬にとって幸先のいい結果に
12月8日(日)香港・シャティン競馬場では香港国際競走が行われ、グローリーヴェイズが香港ヴァーズ(GⅠ・芝2400m)、アドマイヤマーズが香港マイル(GⅠ・芝1600m)、そしてウインブライトが香港カップ(GⅠ・芝2000m)を勝利し、2001年以来となる3勝を挙げる快挙を果たした。香港スプリント(GⅠ・芝1200m)も含めた4レースを写真とともに振り返っていく。
まずはディアドラ、ラッキーライラック、グローリーヴェイズの3頭の日本馬が出走した香港ヴァーズ。1番人気は昨年このレースの覇者エグザルタントだった。
正面スタンド前でのスタートとなった香港ヴァーズ。各馬が様子を伺っていた中、外からエグザルタントがハナを切った。
2番手にはアンソニーヴァンダイクとサザンレジェンド、日本馬グローリーヴェイズは中団の内目、ラッキーライラックはその2馬身後方の10番手の外目、ディアドラは後方2番手からレースを進める。
淡々としたペースでレースは流れ、エグザルタントが先頭のまま最後の直線へ。そこへ外からラッキーライラック、さらに大外からディアドラも鋭い脚で伸びてきたが、それを尻目に空いた内から抜け出したのはモレイラ騎手騎乗のグローリーヴェイズ。最後は2着のラッキーライラックに3 1/2馬身差をつけての完勝。勝ちタイムは2:24.77という高速決着となった。3着は逃げ粘ったエグザルタントという結果に終わっている。


ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
またしてもモレイラ騎手が勝利
続いて行われたのはダノンスマッシュが参戦した香港スプリント。このレースで注目を集めていたのは地元香港の新星エセロ。2番人気にビートザクロックと続いていた。どの馬が逃げるのか、先行争いに注目が集まったが、外からエセロがスピードの違いですんなりと逃げる展開となった。2番手にミスタースタニング、その内にホットキングプローン、ダノンスマッシュは中団よりやや後ろの後方4番手の位置からのレースとなった。
エセロが1馬身のリードを保ったまま直線コースへと向き、直線半ばでは少しリードを広げたかに思ったが、残り100mで道中5番手を追走していたビートザクロック、そして間を割ってホットキングプローンと3頭が横並びに。最後はビートザクロックがホットキングプローンにクビ差先着した。タイムは1:08.12、またしてもモレイラ騎手の好騎乗が光ったレースだった。


ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
亡きオーナーに捧げる勝利
1レースを間に挟んで行われたのは香港マイル。同レース3連覇の期待が掛かるビューティージェネレーションが人気を集めていたが、日本からは安田記念とマイルCSを制覇して挑むインディチャンプ、ヴィクトリアマイルをレコードで制したノームコア、NHKマイルCを勝利した3歳馬アドマイヤマーズ、2017年のマイルCS優勝馬ペルシアンナイトの4頭が出走した。
スタートでインディチャンプはフワッとしたスタートを切ってしまい、後方からの競馬となってしまった。ハナを切ったのはカーインスター、ビューティージェネレーションは2番手に控える競馬を選択した。
ペースは落ち着き、先頭から最後方まで一団となった中で、日本馬の位置取りは5番手にアドマイヤマーズ、その直後のインコースにインディチャンプ、外にノームコア、さらに1馬身後ろの後方3番手にペルシアンナイトという隊列となっていた。
直線を向き、楽な手応えでビューティージェネレーションが先頭に立つ。大外からは道中最後方を追走していたワイククが伸びてきたが、間から力強く伸びてきたのはアドマイヤマーズだった。ワイククとの2頭の争いとなったが、1/2馬身差をつけて勝利した。タイムは1:33.25、3歳馬による香港マイル優勝は初めての快挙達成となった。

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
先月亡くなられたアドマイヤマーズのオーナー、近藤利一氏に捧げる勝利となった。
香港で春秋GⅠ制覇を果たす
日本馬がすでに2勝を挙げ、「もう一つ勝てるんじゃないか」そんな気持ちで迎えた香港カップ。このレースには春のクイーンエリザベス2世Cをレコード勝ちしたウインブライトが参戦。その実績が評価されて1番人気に推されていた。
タイムワープ、グロリアスフォーエバーの兄弟どちらがハナを切るのか注目されていたが、先手をとったのはタイムワープだった。そして2番手にグロリアスフォーエバー、3番手にマジックワンドとウインブライトが並んでの追走となった。
スローペースでレースは流れ、4コーナーでは馬群が一団となる。ウインブライトは手応え十分で最後の直線コースへと向き、先頭へ立つ。その外からライズハイも並びかけ、この2頭の争いになるかと思ったところに、馬群の狭いところから伸びてきたのはマジックワンド。内から強襲したが、ウインブライトが短アタマ差しのぎ切り、今年の香港国際競走のラストも日本馬が制するという結果に終わった。勝ちタイムは2:00.52だった。


ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
日本馬大活躍の要因は?
最後に今年の香港国際競走で日本馬が活躍できた要因についても振り返っておこう。まず現在の香港の情勢を懸念してかヨーロッパからの遠征馬が少なかったことは理由の一つだろう。
しかし、最大の要因は日本馬のレベルが世界でもトップクラスだということだ。特に中長距離路線ではかなりの層の厚さを誇っており、今秋オーストラリアでのメールドグラース(コーフィールドC1着)やリスグラシュー(コックスプレート1着)の活躍がそれを証明しているだろう。今年のジャパンカップでは史上初めて外国馬の参戦がゼロだったが、施工時期や馬場が合わないなどの理由もあるだろうが、日本馬も昔と比べて強くなっているのもある。
そうした現状を踏まえると、香港の馬主達が香港4歳クラシックを見据えてヨーロッパやオーストラリアから重賞ウィナーを数多く移籍させたところで、日本馬と対等に渡り合える馬は数少ないのが現状だ。今後も中長距離路線において、日本馬の海外遠征の機会が増えるのと同時に、香港での活躍も多く見られるに違いないだろう。
