【チャンピオンズC】前走負けて強し!3歳は3歳でも狙いはワイドファラオ

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
以前は国際招待レースだった
ジャパンカップはスワーヴリチャードが優勝。逃げ馬の内からスルスル抜け出して来るシーンを見て、今年の天皇賞・秋を思い出した人も少なくないのでは。道悪でも掛かるぐらいの行きっぷりを見せる馬は重巧者という話を聞いたことがあるが、この馬もそのタイプなのだろう。
カレンブーケドールはオークスと同様に強い競馬をしての2着。足りないのはタイトルだけで、名牝になる可能性を秘めている。3着のワグネリアンは勝負どころでバテた馬をさばけなかった分。力負けではないがどうも運がない。予想的には会心のレースだったけれども、印を打った馬が全て内寄りの枠に入ってくれた幸運も味方してくれた。ここで運を使い果たしたと言われないように、今年残りのGIも頑張ります。
さて、今週12月1日(日)はチャンピオンズC。このレースの前身はジャパンカップダートといい、今のジャパンカップと同様に外国馬の参戦を促すのに苦労していた。あまりにも外国馬が来ないからか、結局は名称が変わってしまった。外国馬の参戦が少ないのは芝と同じで、アメリカとダートの質があまりにも違いすぎたからだろう。ジャパンカップも「ジャパン」の看板を降ろす日がこなければいいのだが……。
このレースは名前だけでなく、開催場所もコロコロ変わっている。今回で20回目になり、代替開催の中山を含めると過去に4つの競馬場で行われている。データを生かせるのか微妙なところだが、ここ10年は阪神と中京の2場。幸いというか、これが意外に似た傾向にある。かなり強引ではあるものの、いつも通り過去10年のデータを参考にして検証してみる。
ダートは馬力だ

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今回のデータで使えそうなのは主に3つ。まずは年齢。ダートは高齢馬でも活躍するイメージがあるにも関わらず、このレースに限っては7歳以上の勝ち星はなし。2着がかろうじて1回あるだけ。ダート主要レースであるフェブラリーS、帝王賞、そしてJBCクラシックは全て6歳以下の馬が連対。すでに世代交代はなされていると考えると、勝ち馬は6歳以下から探すのが無難といえる。

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続いて前走で掲示板を外した馬も苦戦の傾向。これも7歳以上と同じで、連対馬が1頭いるのみ。その連対率が3%を切っているのだから、データ的には切るのが正解。敗因が明確だったとはいえ、前走大敗のインティには厳しいデータとなっている。

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最後に馬体重。500キロを超える馬が7勝しているのに対して、459キロ以下は0勝。データ的には馬格があるほど成績がよい。ちなみに、東京で行われていた時はそこまで差はなかった。阪神と中京が東京より力の要るダートということも関係しているのかも。ここで微妙なのがオメガパフューム。前走のJBCクラシックが458キロ。前走で459キロ以下だった馬の成績もほぼ同じなので、当日に増えていたとしても厳しいかもしれない。
さらに血統の傾向を付け加えると、ミスプロ系に代表される軽いスピードタイプのダート馬より、馬力型の血統の方が相性はいいようだ。特に、芝だけでなくダートの活躍馬も出しているヘイルトゥリーズン系の種牡馬には要注意だ。ただ、ここ10年で馬場が渋ったのは1回だけで、良馬場前提の血統傾向となっている。ミスプロ系は湿ったダートにめっぽう強いので、当日の天気には注意したい。
世代交代なるか?
このレースの難しいところは、ほかのGIに比べて前哨戦の数が多いこと。ここ5年の連対馬だけを見ても、南部杯、武蔵野S、みやこS、JBCクラシック、そしてJBCレディスクラシックと様々である。
今年の場合、最大派閥はみやこS組。このレースは最近では珍しい逃げ馬が競り合って前が総崩れ。追い込み馬同士の決着となった。となると、狙いはある程度先行して踏ん張った馬となる。
JBCクラシックからは1、2着馬が参戦。ハナ差の際どい決着だったものの、結局は小回り適性のある方に軍配が上がった印象。チャンピオンズCの中京競馬場は、JBCクラシックの浦和より広いコースだが、基本は前有利。オメガパフュームは馬体重のデータでマイナスということもあり、今回もチュウワウィザードの方を上に取りたい。
武蔵野Sは差し馬が有利な展開。ここからの上位馬はうまく乗られたり、流れが向いたりと強さを感じなかった。
南部杯は一昨年の覇者ゴールドドリームの取捨がカギ。前哨戦を叩いて本番というローテーションは文句なしでありながら、その前走が3着とはいえ物足りなかったのも事実。地力は認めても、今回は押さえまでが妥当かと思う。
最後に日本テレビ盃。このレースは9月末に行われており、ここ10年、前走を9月より前にした馬は2014年のローマンレジェンド以外馬券に絡んでいない。その点で引っ掛かるが、クリソベリルは同世代では抜けた存在で、古馬相手の前走も圧勝。ローテーション的に強く推せなくても、このメンバーでも十分通用する能力があるのは間違いない。昨年のチャンピオンズCでは3歳馬(現4歳)ルヴァンスレーヴが勝って世代交代を印象付けた。実際に、帝王賞、JBCクラシックと4歳馬がワン・ツーを決めている。今年もこの世代が中心かと思うが、逆転があるなら3歳馬。
といっても、狙ってみたいのは世代最強馬のクリソベリルではなくワイドファラオの方。前崩れのみやこSで先行して唯一掲示板に載った馬。しかも、勝負どころでさばきそこねてのもの。父ヘニーヒューズは現役時代スプリント戦を中心に活躍した馬で、産駒はアメリカのGIを10勝以上したビホルダーをはじめとして、意外と中距離タイプが多い。マイルでしか勝ち星がないワイドファラオだが、強かった前走内容からも中距離で覚醒する可能性は高いとみた。
相手も3歳馬のクリソベリル。ここ10年、このレースで連対した3歳馬は全て前走1着。ローテーション的には推せなくても、違うデータでプラスがある。「減量はダートの方が効く」というが、古馬に比べて2キロ軽い斤量で走れるのはやはり大きい。
続いてチュウワウィザード。長く足を使えないから小回りの方がいいのは間違いないが、脚質的に一番レースがしやすいのはこの馬。あとはインティ。前走大敗でデータ的にはマイナスだが、展開を考えると一番競馬をしやすいのはこの馬。ノーマークにするのは危険。ゴールドドリームは3着とはいえ負け方がよくない。とはいえ、データ的に特に割り引く必要はなく押さえておく。
◎ワイドファラオ
○クリソベリル
▲チュウワウィザード
△インティ
×ゴールドドリーム
《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想や「最終逆転」コーナーを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。
