デットーリ騎手が短期免許を取得 馬券で狙うべき条件は?

ⒸSPAIA(写真はゲッティイメージズ)
ジャパンC3勝はいずれもハナ差

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ランフランコ・デットーリ騎手が11月23日(祝日・土曜)から12月2日(月曜)まで短期免許を取得した。身元引受調教師は栗東の藤原英昭氏。契約馬主は吉田照哉氏。
デットーリ騎手は、1970年生まれでイタリア出身。“フランキー”の愛称で親しまれている。
イタリアで騎手として活躍した父ジャンフランコと同じ世界を志し、15歳の時にイギリスのルカ・クマーニ厩舎からデビュー。1989年にはイギリスの最優秀見習騎手に輝く。翌1990年にはクイーンエリザベスⅡ世SでGⅠ初制覇を果たすなど、141勝を挙げて、名手レスター・ピゴット氏以来となる10代での年間100勝を達成した。
1994年からはモハメド殿下が率いる競馬組織ゴドルフィンの主戦騎手に抜擢。バランシーンに騎乗して英オークスと愛ダービーを、バラシアでブリーダーズカップマイルを勝利するなど、当時のイギリスの平地競走最多勝利記録を更新する233勝を挙げて大活躍。
その後もラムタラに騎乗してキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスS、凱旋門賞を勝利。ドバイミレニアムでドバイワールドカップを制するなど、100以上のGⅠ勝利を積み重ねてきた。しかし2012年10月、ゴドルフィンとの専属契約契約の解消が発表され、世界中に衝撃が走った。
2013年7月には、カタールのアルシャカブレーシングと主戦契約を締結。のちに凱旋門賞を連覇することとなるトレヴに騎乗してヴェルメイユ賞を勝利するが、落馬負傷などもあり、成績は低迷し、引退のうわさまで駆け巡ったこともあった。
しかし、デットーリ騎手のことを誰よりも理解していた名調教師ジョン・ゴスデン師の下で不死鳥のように復活。2015年にはゴールデンホーンに騎乗して英ダービー、エクリプスS、愛チャンピオンS、凱旋門賞を制覇。エネイブルとのコンビで凱旋門賞3連覇こそならなかったが、数々のGⅠを制覇したのは記憶に新しいだろう。
これまで日本ではシングスピール、ファルブラヴ、アルカセットに騎乗してジャパンC3勝を挙げており、武豊騎手の4勝に続いて歴代2位タイの勝利数を挙げている。しかもその3勝全てがハナ差での勝利で、圧倒的な騎乗技術の高さを披露してきた。
そしてデットーリ騎手の代名詞といえば、ビッグレースを勝利した後にウィナーズサークルで馬上から飛び降りるパフォーマンス“フライングディスマウント”。競馬ファンなら一度はその姿を生で見てみたいものだ。
今回は2011年の日本ダービーでデボネアに騎乗して以来、8年ぶりの来日。過去の来日はいずれも1週間のみの騎乗で2週以上続けて日本で騎乗するのは初となる。免許期間は終了後は、香港で騎乗することが明らかになっているが、有馬記念では再び来日したいという意向も示している。
中山での成績が驚異的
では過去の日本でのデータを見ていこう。

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騎乗数は少ないが、全18勝中10勝を先行馬で挙げており、勝率29.4%は最も高かった。しかし、連対率と複勝率では逃げた時の連対率50.0%、複勝率50.0%、先行時の連対率47.1%、複勝率55.9%、差し馬に騎乗した時の連対率は32.4%、複勝率は51.4%とほぼ差のない成績を残している。脚質を問わず、安定した成績を残せるのはなかなか成せる技ではなく、技術の高さを証明している。

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競馬場別の成績を見てみると、騎乗したことがある競馬場は東京、中山、京都、阪神の4場のみとなっている。主にジャパンCで外国馬に騎乗した週の騎乗がメインなので、必然的に東京での乗鞍が46レースと最も多いが、特出すべきは中山での成績。騎乗数は20回ながら9勝を挙げており、勝率45.0%、連対率60.0%、複勝率60.0%は驚異的な数字だ。
ジャパンCが中山で代替開催となった2002年には、イーグルカフェに騎乗してジャパンC
ダートを、イタリアのファルブラヴに騎乗してジャパンCを勝利。2日連続でGⅠを制覇しただけでなく、4鞍に騎乗して全てのレースで勝利を挙げたのは衝撃的な出来事だった。

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これは参考にはならないデータではあるが、過去に騎乗した厩舎別の成績を見てみると、18勝中8勝が小島太厩舎の管理馬によるものだった。その理由として、小島太調教師の息子である小島良太助手(和田勇介厩舎)との親交が深かったことがあげられるだろう。
今回は関西の藤原英昭厩舎が身元引受調教師となっているので、関西馬での騎乗依頼が多くなることが考えられるが、旧知の間柄なだけに、和田勇厩舎や先日騎手を引退した小島太一助手が働いている萩原清厩舎の馬に騎乗してきた場合は、密かに狙ってみるのも面白いだろう。
またデータを取っているわけではないが、近年はGⅠレースなど、特別に気合が入っている時には赤のレギンスを膝上まで上げて騎乗する傾向にもあるデットーリ騎手。今回の来日ではどのような衝撃的な騎乗を見せてくれるのか。そして何回フライングディスマウントを披露してくれるのか、そうしたことを考えるだけでワクワク感が止まらない。
