【アルゼンチン共和国杯】東京芝2400mと2500mはリンクする 東大HCの本命は?

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
スローペースが多発
11月3日(日)に東京競馬場で行われるのはアルゼンチン共和国杯(GⅡ・芝2500m)。ジャパンCや有馬記念へとつながる伝統のハンデ重賞だ。同舞台で行われた目黒記念を鮮やかに差し切ったルックトゥワイスの人気が予想されるが、ここ数年に比べて抜けた存在がいない印象。そんな混戦模様の一戦で馬券上狙いたい穴馬を検討する。
まずはレース展開や馬場傾向、コースの特徴といった点を分析していく。

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東京芝2500mは2400mと異なり坂下からの発走。言い換えればスタートしてすぐに上り坂を迎えるので、スピードが乗りにくいコースだ。そんなこともあって近4年で3回も極端なスローペースになっている。その近4年に注目すると勝ち馬の4角通過順位は3、5、7、5番手と、いずれも中団より前目で運んだ馬だった。過去10年に拡張しても4角7番手以内の馬が8勝を挙げている。
今年の想定逃げ馬はパリンジェネシスか。前走はスタートでやや立ち遅れたので無理しなかったこともあるが、準オープンを逃げ切った時も前半64.6という遅いペースだったように、自分からグイグイ進んでいく典型的な“逃げ馬”とは少し違う。展開によってはスローペースを嫌ってオジュウチョウサンが行くかもしれないが、どちらにせよ先行馬有利の緩い流れが想定される。前に行ける馬を中心に据えるべきだろう。
たかが100m?されど100m?
次に東京芝2500mの枠順別成績を見ていく。

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現在では目黒記念とアルゼンチン共和国杯の2レースでしか使用されていないため過去10年に広げて表に示した。サンプルが少なく数値にバラツキが大きいが、7・8枠がやや低調。外すぎる枠は好ましくない。
続いて先週の馬場傾向を思い起こすと、天皇賞でレコードにコンマ1秒差という好時計が出るなど、まだまだ馬場状態は良好だった。同日7レースでは人気薄の逃げ切りが見られたように馬場の内側も問題ない。よって本来なら外枠は多少減点だが、今年は13頭立てと少なめの頭数になったので、それほど神経質にならなくていいだろう。
ここで少し話題を転換して東京芝2500mというコースについて考察してみよう。「東京芝2400mと何が違うの?」という疑問に対し、前項の最初で述べたように坂下からの発走になることから「坂を2回越えるのでスタミナのある馬が台頭する」という説明をよく見かける。
しかし、個人的にはこの見解を疑問視している。確かに、芝2400mとの差異という疑問に対する回答としてはそれが正しいかもしれない。だが、過去の好走馬を眺めるとスワーヴリチャードやシュヴァルグラン、昨年のパフォーマプロミス、ムイトオブリガードなど、東京芝2400mでも良績を残している馬が多いのも事実。
そもそも(さほど長くないが)私の競馬人生で「東京芝2400mと2500mのどちらかだけ得意」などという馬には未だ出会ったことがない。つまり、東京芝2400mとの「違い」を強調するよりむしろ「酷似した」コースと解釈した方が的中に近づく、というのが私の考え方である。
ここまで述べた2項の内容から狙い目を整理すると、
1.先行力のある馬
2.枠順は不問、強いて言うなら8枠は多少減点
3.東京芝2400mで高いパフォーマンスを見せている馬
となる。
傾向からの狙い&前走内容に好感
本命は展開が向きそうな先行馬からタイセイトレイル。東京芝2400mは春に緑風Sを使って2着。この時は2.23.1という好時計をマークし3着馬を5馬身突き放した。傾向からの狙いにピタリと合致する。
前走の丹頂Sは差し馬向きの馬場・展開で、軽ハンデの差し追い込み馬に先着されただけの3着。同レースで先行して5着だったドレッドノータスが次走で京都大賞典を勝利したことを考えると、ここで先行して好走したのはなかなか強い内容だったと言える。
鞍上も矢作厩舎が平場でよく起用する中谷騎手から戸崎騎手にスイッチして勝負気配濃厚。ハンデ重賞なので、目黒記念を勝ったルックトゥワイスより2キロ軽い55キロで出られることも追い風だ。
対抗はハッピーグリン。先行馬重視の観点とはちょっとズレるが、狙うなら今回という感じ。3歳時と違って現在は1800mだと短い印象がある中で、前走は超ハイレベルの毎日王冠に出走して8着。大幅に相手が緩和される上に距離延長もプラスに出そうな今回はもう少し着順を上げてきそうだ。同距離の日経賞ではルックトゥワイスに先着した実績もある。中央競馬への移籍初戦から好勝負を期待したい。
3番手はパリンジェネシス。後手を踏んだ上に展開も向かなかった前走は完全に参考外の一戦。先行できれば一変する可能性はある。目黒記念は速い流れを2番手追走で止まったが、今回はペースが上がらないはずなので、条件はかなり好転する。東京芝2400mは一度走ってキッチリと勝利している点も好材料。
人気になりそうなアフリカンゴールドは前走が超スローペースを好位から無難に抜け出したもので、正直重賞で人気するほどの根拠に欠けるので押さえ止まり。ルックトゥワイスは展開も騎乗も鮮やかにハマった目黒記念の勝利で57キロというハンデになる上、今回は展開的な有利が見込めないのがネック。こちらもやはり押さえ評価に留めておく。
以下、先行馬を中心に△アイスバブル、×ノーブルマーズ、ハンデ53キロの東京巧者☆トラストケンシンまでを押さえる。
▽アルゼンチン共和国杯予想▽
◎タイセイトレイル
○ハッピーグリン
▲パリンジェネシス
△アイスバブル
×ノーブルマーズ
×アフリカンゴールド
×ルックトゥワイス
☆トラストケンシン
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