【富士S予想】3歳で57キロのアドマイヤマーズは危険 東大HCの本命は東京マイル巧者

東大ホースメンクラブ

本命に推されたレッドオルガ

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

6年連続で前半の方が遅い

10月19日(土)に東京競馬場で行われるのは富士S(GⅠ・芝1600m)。マイルCSの前哨戦だ。3歳マイル王のアドマイヤマーズ、ヴィクトリアマイルを制したノームコアといった実績馬たちを撃破する馬はいるのか、検討していく。

まずはレース展開や馬場傾向、コースの特徴といった点を分析していく。

前後半3Fと1~3着馬の脚質ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

前半3Fの時計では09年と12年の34.4というのが最速。以降は6年続けて上がりの方が速い。よって、脚質別成績では14年や15年なども差し決着だが、これらは上位勢が32秒台の末脚を出したもので、展開が向いての差しとは質的に違う。ペース不問の超瞬発力型を除いて、基本は前の方にいないと間に合わない。

今年の想定逃げ馬はトミケンキルカスかショウナンライズあたりだろう。この2頭の近走を見ると、どちらも前半35秒フラット程度で入る馬。しかも、両馬とも番手からでも競馬ができる馬なので、わざわざ競ってペースを上げるとも考えづらい。今年もスローペースになりそうだ。先行馬を中心にしつつ、よほどの切れる馬がいれば、少々押さえておきたい。

今週も空模様とにらめっこ

東京芝1600mの枠順別成績を見ると、強いて言えばやや8枠がいいくらいで、突出した数値が見当たらない。枠順による有利不利はほぼないコースだと判断していいだろう。ただ、富士Sについては過去10年で1枠が1度も馬券に絡んでいないので、気になる人は評価を下げるのもあり。

過去3年の東京芝1600m枠番別成績ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

続いて馬場傾向を考えていく。先週月曜のメインレース、府中牝馬Sを勝ったスカーレットカラーは4角を回り切るまでインコースでじっくり脚をためていた。火曜のメインは人気薄の逃げ切り。先週時点の傾向では春ほど極端ではないものの、馬場はやや内有利だった。暫定的にイン前がとれそうな馬を狙い目としておこう。

ただし、今週の東京は金、土曜と雨予報。言い訳がましくなるが、先週の秋華賞ではもっとタフな馬場を想定した予想だったが、結果思った以上に回復して時計も2分を切る決着。馬券も大ハズレ。やはり馬場状態は当日まで吟味する必要があると再確認させられたので、最後の最後まで天気や時計とにらめっこしたい。

57キロのアドマイヤマーズでいいのか?

レース結果の予想と同様になかなか読めないのがオッズだが、どうも下馬評では3歳牡馬のアドマイヤマーズが1番人気になりそうな気配だ。ただ、富士SはGⅠや特定の格高GⅡと違って実績により斤量を余計に背負わされる別定戦。アドマイヤマーズは3歳牡馬の基準54キロから3キロもらって57キロだ。これを信頼するのは少々危険ではなかろうか。

富士S過去10年の斤量別成績ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

富士Sの勝ち馬10頭は全て別定で1キロ増以内だった馬から出ている。アドマイヤ同様、基準から3キロ重かった馬は3頭だけとはいえ全て着外だ。ちなみに富士Sに限らず過去10年、古馬相手の平地重賞で57キロ以上の斤量を背負った3歳馬は9頭いて【2-1-0-6】。即消し、というほどではないが(1頭を除いて)GⅠ馬にしては寂しい。

そこで本命はレッドオルガ。前走のヴィクトリアマイルは直線で伸びかけたところを挟まれる致命的な不利があった。それを除けば東京では5戦して全て3着以内と堅実に走っている。重賞未勝利なので54キロで出られるのも有利だ。不安要素としては条件戦時代に重馬場を2回走って3、6着とあまりパフォーマンスがよくなかったこと。雨が降りすぎたら再考した方がいいだろう。

対抗はエメラルファイト。スプリングS勝ちにより斤量が積まれるのは多少気になるが、2キロ増なら複勝率も悪くないので許容範囲。GⅠには2回挑戦してともに掲示板外ながら、朝日杯は断然内枠有利の馬場の中、大外15番から上がり最速で追い込んだ。ダービーは頓挫明け、距離が適性外だったこと、また何度か触れているように外の先行馬が非常に不利なレースだったことなど、敗因はいくつでも挙げられる。世間に思われているよりは地力がある馬なので、守備範囲のマイル戦に戻れば、もう少し走れるはず。

3番手は昨年の勝ち馬ロジクライ。安田記念は大外枠が原因で物見をしてしまい、スタート直後内に逃避。加害馬となってしまった。その安田記念や高松宮記念は着順こそ振るわないが勝ち馬と0.5差。強いメンバー相手でも大きく負けなかったのは評価したい。いつも安定して走るタイプなので、このレースでこそ強烈に推したいという要素はないものの、先行馬が手薄なメンバー構成で競馬はしやすそうだ。

ノームコアは2キロ増、牡馬との対戦が2歳時以来となる点がネックだが、決定的といえる減点要素はなく△筆頭。正直ヴィクトリアマイルのレース運びは何もかもがうまくいった印象もあるので、個人的にはまだ半信半疑。ここの内容次第で次以降の扱いを決めたい。

以下、斤量不安のアドマイヤマーズは押さえ評価まで。あとは、内目の先行馬を中心にキャンベルジュニア、前走でトロワゼトワルを下しているイレイション、距離短縮がプラスに出そうなレイエンダまで△評価とした。

▽富士S予想▽
◎レッドオルガ
○エメラルファイト
▲ロジクライ
△ノームコア
△キャンベルジュニア
△イレイション
△レイエンダ
抑アドマイヤマーズ

《関連記事》
【菊花賞予想】いつの時代も血統が大切 本命は王道路線の最先着馬
【菊花賞予想】ヴェロックスは馬場が合わない 馬場適性から浮上した本命馬は?
【菊花賞予想】確固たる主役不在なら振り回せ 東大HCの本命は長距離戦で本領発揮する大穴馬

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」でも予想を公開中。

おすすめ記事