【秋華賞】ダノンファンタジーのライバルは“ハギビス”?東大HC本命は重馬場巧者

東大ホースメンクラブ

本命に推されたパッシングスルーⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

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前がかりの年は多いが

10月13日(日)に京都競馬場で行われるのは秋華賞(GⅠ・芝2000m)。3歳牝馬三冠競走の最終戦だ。今年は春のクラシック戦線を沸かせたダノンファンタジー、クロノジェネシスといった実績馬たちを、ひと夏を越して成長した新勢力が脅かすのか、検討していく。

まずはレース展開や馬場傾向、コースの特徴といった点を分析していく。

秋華賞過去10年の前後半5Fと1~3着馬の脚質ⒸSPAIA

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過去10年で前半の方が遅かった年はわずか3回。しかも2012年はジェンティルドンナ、2018年はアーモンドアイがそれぞれ徹底マークされた年なので、そういった要素がない限り基本的には前半が流れて差し有利な展開になりやすい。特に1着馬は2011年のアヴェンチュラ以外全て差し追い込み脚質だった。

その一方で、前半が遅かった3回中2回で逃げ馬が2着。12年は向正面で果敢にまくって途中から大逃げの形をとったチェリーメドゥーサも15番人気5着と健闘しており、当然ながらペース次第では前の残り目もある。勝ち馬は決め手のある馬から出そうだが、馬券の中心という観点ならその限りではない。

今年の想定逃げ馬はコントラチェック。フラワーCを勝利した内容は中盤以降でペースを上げたため、ハイペースで逃げ切ったと錯覚するような見た目だった。ただ、実際に数字を見ると前半1000m通過60.5秒で、これは馬場を考えるとやや遅いくらい。今回のメンバー構成的にも他にわざわざ絡んでくるような馬がおらず、今年は緩めのペースになると読んだ。

台風の影響やいかに?

京都芝2000mの枠順別成績を見ると、唯一4枠だけ連対率が20%を超えている。隣の5枠も単複回収率が100%を大きく超えていて、真ん中の枠が好調。

過去3年の京都芝2000m枠番別成績ⒸSPAIA

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とはいえ、内枠も外枠も極端に成績が悪い枠はなく、大別すれば有利不利の小さいコースと見ていい。狙っていた馬が8枠に入ったりしても悲観することはない。

続いて馬場傾向を考えていく。今週はなんといっても台風19号“ハギビス”の影響が気になるところだ。東京は競馬開催すら危ぶまれるような威力のようで、通過する地域の方々はくれぐれも身の安全に注意してほしい、と喚起するのは私の役目ではないだろうが……。

これを書いている時点の予報では、京都は直撃こそ免れるようだが土曜は強い雨風。日曜も快晴とはいかないようなので重め残りの馬場になるのは間違いない。第一に重馬場適性を重視して予想したい。

なお、強風時の予想については特に考えるべきポイントがあるのだが今回は割愛する。気が向いたら当サークルのブログ、またはSPAIAのコラムで書くかもしれない。

消耗戦なら相手強化でも

今年はある意味特殊な状況といえる秋華賞。というのも、桜花賞、オークス、そして前哨戦の紫苑S、ローズSがいずれも高速馬場で行われたために、重い馬場でトップクラスが激突するのが初めてなのだ。上位人気勢に「重馬場はからっきし」という馬が隠れている可能性もあるので、伏兵にもチャンスがあるはずだ。

本命は紫苑Sに続いてパッシングスルー。前走時に中山適性の高さを述べたように、京都に変わるのはあまりうれしくない。それに今回は輸送もある。とはいえ、紫苑S上位馬が近年秋華賞でも好走しているように、京都の内回り芝2000mと中山芝2000mは求められる適性が近い。大きなマイナス要素にはならないだろう。

2走前は福島特有の芝で稍重発表以上にタフな馬場状態、展開で完勝しているように消耗戦には強いタイプ。前走がむしろ不得手な瞬発力勝負でよく勝ち切ったな、という印象。今の充実度と適性の高さなら相手強化でも好勝負できる。

対抗はかなり迷うがエスポワールにする。奇しくも先週の凱旋門賞の結果を受けて父オルフェーヴルの桁外れな能力と重馬場適性が再評価されているところだが、同馬も重馬場の前走で4馬身差の快勝。 ただ、この時は2着馬と5キロの斤量差が有利に働いた感があるし、ぶっつけで一線級との能力比較も不透明。中途半端に人気するようなら、そこまでの魅力はない。

3番手はダノンファンタジー。ここまで印を落とした理由として、同馬含めて実績馬たちに重馬場経験が少なすぎるということがある。あまり一概にこういうことは書きたくないが、スピード決着で良績を残しているディープ産駒をこの条件、しかも人気で買うというのは気が進まない。これはカレンブーケドールに関しても同様だ。

クロノジェネシスは内枠がたたって苦しい競馬だった桜花賞3着の内容が強く、ポテンシャルは世代トップかもしれない。しかし、こちらも速い馬場、東京だったオークスの方が条件としてはよかった印象がある。追い切りの内容もやや物足りず、状態的にピークからはもうひとつ…という感じ。消しに近い△評価。

コントラチェックは評価基準になっているフラワーCの内容が個人的には疑問符。経験則だが、あのように数字以上に勝ちっぷりが強く映る馬は、そのレースより短めの距離に適性がある場合が多い。同馬も良馬場マイルがベスト条件と見ているので、今回は見送る。

以下、フェアリーポルカ、シゲルピンクダイヤまで△評価とした。

▽秋華賞予想▽
◎パッシングスルー
○エスポワール
▲ダノンファンタジー
△カレンブーケドール
△クロノジェネシス
△フェアリーポルカ
△シゲルピンクダイヤ

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《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」でも予想を公開中。

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