【京都大賞典】GⅠとは異質のレース? 京大競馬研が狙うはこの舞台に適したエアウィンザー
京都大学競馬研究会
Ⓒ明石智子
前哨戦に典型的な瞬発力勝負
10月6日(日)、京都競馬場で行われるのがGⅡの京都大賞典(芝2400m)。今年はGⅠ馬の出走はなく、東の毎日王冠と比べるとやや低調なメンバー構成であるが、それでもグローリーヴェイズやエタリオウといった将来を期待されている馬たちも出走を予定している。
京都大学競馬研究会としては、地元競馬場の冠レースだけに何としても当てておきたいところ。さっそく、過去10年のレース傾向を見ていこう。
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こうして見ると、特にここ5年は上がり勝負の傾向が強い。2015年の勝ち馬ラブリーデイに至ってはラスト3F32.3の脚を使って勝利。
もともと京都芝2400mというコースは、3コーナーの下り坂を使って加速しようと意識するため、スローペースになりやすい。それに開幕週ということもあり、時計が速くなる傾向にある。
しかし、だからといって前に行った馬がそのまま粘るケースはそれほど多くはなく、差し脚がある馬はきっちりと追い込んでくる印象がある。
GⅠで強い馬がそのまま上位に来るわけではない
次に、京都大賞典と他の古馬中長距離GⅠとのデータを比較してみよう。
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やはり距離が近いGⅠと比較しても上がり勝負の傾向が強い。京都大賞典はキタサンブラック、ラブリーデイといった実績を残してきている馬が順当に勝利するケースがある一方で、スタミナ色が強く、瞬発力勝負にうまく対応できない馬が人気を背負って飛ぶケースもある。2017年のジャパンCを勝ったシュヴァルグランや宝塚記念連覇などを成し遂げたゴールドシップが好例だろう。予想する際には、注意が必要だ。
本命はエアウィンザー 実績上位の4歳馬2頭の評価は対照的
以上を踏まえたうえで、本命はエアウィンザー。1800m、2000mを中心に使われてきた馬でスタミナに若干不安があるが、ペースが落ち着きそうなここは2400mでも問題ないと判断。勝つ時は強烈な末脚を発揮し、他馬を突き放す。ここ2戦はさすがに相手が強かったが、それでも大崩れしていない。GⅠ馬不在ならここはチャンスだろう。
対抗はグローリーヴェイズ。前走天皇賞春で、今週凱旋門賞に出走するフィエールマンにクビ差まで食い下がった能力はダテではない。この3戦は京都外回りを使われ、どのレースも良績を残しているように、このコースも申し分ない。ただ、おそらく一番人気になることは濃厚で、配当面を考えて対抗まで。
穴っぽいところではメートルダール。近走パッとしないが、前走は上がり最速でゴール前でやや脚を余していたように、年齢を重ねて馬がズブくなってきている。これを見ると距離延長がプラスに働くか。
パリンジェネシスは前走崩れたとはいえ、レースラップで最も遅い1ハロンが12.2と前に行く馬には厳しい展開だった。今回は他に逃げ馬がおらず、自分のペースに持ち込めば2走前のような粘り込みがあるかもしれない。
紅一点のウラヌスチャームはいつも安定して、いい脚を使っており、ここでも上位に食い込む可能性は十分ある。
人気しそうなエタリオウは、実績上位は認めるものの開幕週、スローペースというレース傾向を考えると、スタミナ色の強いこの馬には条件が合わないとみた。ゴール前で他馬より目立つ脚を使った2戦(東京優駿、神戸新聞杯)は、ラスト3ハロンが東京優駿11.2-11.2-12.2、神戸新聞杯11.2-11.3-12.1とラスト1ハロンがガクッと落ちるラップ。他馬がバテたものであり、この馬がギアを上げたというわけではない。ここは見送って、人気が落ちそうな次のGⅠで狙いたい。
ダンビュライトは、だんだん父ルーラーシップの血が出てきて乗り難しくなっている。今年の京都記念も負かした相手がそこまで強かったというわけではないし、時計がかかった方がいいのでこの条件もあまり向かないだろう。 (文・三浦)
▽京都大賞典予想▽
◎エアウィンザー
◯グローリーヴェイズ
△メートルダール
△パリンジェネシス
△ウラヌスチャーム
危険な人気馬
エタリオウ
ダンビュライト
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《ライタープロフィール》
京都大学競馬研究会
今年で25周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。
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