【スプリンターズS】ハイペースの年は○○狙いで万馬券 東大HCの本命は配当妙味があるこの馬

東大ホースメンクラブ

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

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中山芝1200mという舞台ならではの現象

9月29日(日)に中山競馬場で行われるのはスプリンターズS(GⅠ・芝1200m)。秋のGⅠシリーズの開幕を告げるスプリントGⅠだ。人気的には前哨戦を制したダノンスマッシュとタワーオブロンドンの一騎打ちムードとなりそうな一戦だが、我々は今回も馬券の上で狙いたい穴馬はどれかという観点で検討していく。

まずはレース展開や馬場傾向、コースの特徴といった点を分析する。

過去10年の前後半3Fと1~3着馬の脚質ⒸSPAIA

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新潟で行われた2014年は参考外として、中山での過去9回中、5回が前半33.0以下という速いペース。一流スプリンターが集結するレースらしい激流が多い。

今年の想定逃げ馬はモズスーパーフレア。春に同舞台のオーシャンSを前半32.3という超ハイペースで逃げ切った馬(ちなみに、このレースも上位は先行馬と内枠が独占)。多少抑え気味に行ったとしても前半33.0を超えるペースになるとは考えにくい。

なので、表中で前半を赤くした5回(ハイペースの年)について結果をもう少し詳しく見てみよう。

ハイペースだった年に穴を開けた主な馬ⒸSPAIA

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ハイペースの年に人気薄で馬券に絡んだ馬を見ると、先行馬もしくは内枠に偏っていることがよく分かる。中山芝1200mというコースは外回りを使用するため、誇張して言えば最後の直線を迎えるまでは常にコーナーを回っているような形状。

そのためペースが速くなると、外を走っている馬は4角までに少しずつ足を削られていき、結果として能力がよほど抜けていないと差すのは困難になる。つまり一般的に言われるハイペース=差し競馬の定石とは反対に、内枠・先行有利の傾向が現れるのだ。

人気薄が着を拾う内枠、強い馬が力を出す6枠

中山芝1200mの枠番別成績で勝率トップは意外にも6枠。単純に距離ロスを考えれば内枠がかなり有利に見えるが、外の馬がスタート直後から内に向かって殺到するため意外とやりづらいのかもしれない。

過去3年の中山芝1200m枠番別成績ⒸSPAIA

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とはいえ、複回収率を見ると1・2枠がやはり高数値を残している。窮屈なレースになりやすく勝率は低いが、力のやや足りない馬が着を拾うには内枠の方がいいということか。

また、先週の馬場傾向を振り返ると、日曜メインのオールカマーではスティッフェリオが後続を完封して逃げ切り。3着にも内にこだわったグレイルが入ったように、まだまだ内の状態がいい。

今のところ週末にも降雨の予報はなく、馬場状態が大きく変化することはなさそうだ。勝ち馬がどうかはともかく、人気薄で馬券になる馬を探すなら徹底して内枠に目を光らせたい。

好枠を生かして浮上

内枠の人気薄からチョイスして、本命はアレスバローズにした。高松宮記念では道中に不利があっても勝ち馬と0.7秒差。北九州記念は大出遅れで勝負としては終わってしまったが、最後は大外から上がり最速で追い込んで0.4秒差。トップハンデの57.5キロを背負っていたことも考慮すれば能力的な衰えはないと見てよさそうだ。

最内枠はゲート難のある同馬にとっては不安要素でもあるが、内枠が有利なのは述べてきた通り。「虎穴に入らずんば虎子を得ず」の精神で狙ってみたい。

対抗にはダノンスマッシュ。高松宮記念が行われる中京芝1200mは中央競馬でも屈指の内枠有利なコースなのだが、今年はそれに加えて内側の馬場状態が普段以上によく、フルゲートということもあって極端に内有利なレースとなってしまった。そんな中で13番枠から外の4番手を追走し、早めにねじ伏せる作戦をとったダノンスマッシュは4着なら、明らかに一番強い内容だったと言える。

実際、このレースで外を回ったダノンスマッシュ(→キーンランドC1着)、ダイメイプリンセス(→北九州記念1着)、ロジクライ(→京王杯SC3着)などが次走以降で巻き返す一方、内を通って上位入線したミスターメロディ(→セントウルS8着)、セイウンコウセイ(→CBC賞3着、キーンランドC6着)、ショウナンアンセム(→CBC賞12着)らが苦戦しているのは偶然ではない。

鞍上は前走から交替した川田騎手。これに関しては北村友騎手がやや不憫にも思えるが、勝負の世界に情けは無用ということか。川田騎手自身の連覇、ロードカナロアとの父子制覇がかかる一戦だが、堅実に結果を出してきそうだ。

3番手にはモズスーパーフレア。前走は馬場状態も展開も差し馬向きのもので、4着なら健闘と考えたい。前述したようにこの馬のハイペースの逃げと中山芝1200mというコースの形状は相性がよく、これまで4戦して、3勝2着1回。2着の時は前半を34.0という緩めのペースで入ったのがかえって良くなかった。自分のリズムで行き切ってしまった方がいい結果になるだろう。

枠順を見るまでは本命だった人気薄の先行馬イベリス。姉に短距離で活躍したベルカントがいて、この馬自身もスピードに長けたタイプ。重賞を勝ったのはマイルだが、千二で【2-0-1-0】と馬券圏内を外しておらず本質的にはやはりこちらの距離が合う。

夏場に無理使いをせず+14キロという馬体で休み明けを叩いて本番というローテは非常に好感が持てるし、その前走内容も直線入り口は狭いところにいながら、外から締めてくるミスターメロディを跳ね除けて進路を死守し、力強く伸びて3着を確保した味のあるもの。

現状、真っ向勝負で上位人気勢と戦うには分の悪い面もあるが、紛れやすい舞台で器用さとスピードを存分に生かせばアッと言わせるシーンがあってもいい。 と考えていたら、なんと痛恨の8枠15番。かなり戦いにくそうな枠になってしまったので△筆頭という評価に留めた。

以下、先行馬と内枠を中心にセイウンコウセイ、リナーテ、タワーオブロンドン、ディアンドルが△評価。

春の王者・ミスターメロディだが、高松宮記念の勝利が内容的にあまり強調できないことに加え、これまでの4勝が全て左回りで、右回りの中山という点も不安材料。おまけに外枠。上位人気でも買いたい、という魅力は正直感じないため無印にした。


▽スプリンターズS予想▽
◎アレスバローズ
○ダノンスマッシュ
▲モズスーパーフレア
△イベリス
△セイウンコウセイ
△リナーテ
△タワーオブロンドン
△ディアンドル

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」でも予想を公開中。

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