【スプリンターズS】乗り替わりは大きな割引 データ的にはすんなり2頭で決まり

門田光生

本命に推されたダノンスマッシュⒸSPAIA

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夏の王者の本番成績は?

オールカマーは絶妙のペースで逃げたステッフェリオの逃げ切り。せっかく人気薄が頭に来てくれたのに、残る推奨馬2頭が沈没。特にウインブライトは何の見せ場もなかった。中山芝2200mはあのゴールドシップも崩れた条件。内回りの1800m、2000mと違い、芝2200mは外回り。距離もあるだろうが、中山巧者だからといって内回りと外回りを同じに考えてはいけない典型的な例だった。これには反省。

また、23日(祝)に船橋競馬場で行われた日本テレビ盃は、古馬初対戦となったクリソベリルが圧勝。JBCクラシックの最有力候補に躍り出たといっても過言ではない。対する◎のアポロケンタッキーは大幅に馬体を減らしての出走。細くはなかったがどこか覇気がなく、レースでも見せ場なく大敗。休日出勤したら諭吉が出金していった。

さて、本題。今年のサマースプリントはタワーオブロンドンがセントウルSの勝負駆けに成功し、見事逆転優勝を決めたのは記憶に新しいところ。しかも、びっくりするぐらい強く「本当にあのタワーオブロンドンか?」と目を疑ったぐらい。

父がElsive Qualityの産駒だから短距離馬を出す可能性はあるといえ、Dalakhani × Sadler's Wellsの母系だけにスプリンターとして開花するとは思わなかった。しかも、あの切れ味。まさに夏のチャンピオンにふさわしい勝ち方といえる。

しかし、サマーチャンピオン優勝馬のスプリンターズSでの成績はというと、あまり芳しくない。

サマースプリント王者のスプリンターズS成績ⒸSPAIA

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2013年のハクサンムーンが2着に好走した以外は軒並み沈没。ほとんどが人気以上に走れていない。サマーシリーズにピークを持っていき、それを本番まで維持することは難しいのだろう。ましてや、タワーオブロンドンは札幌戦から中1週で阪神へ輸送し、しかもレコード駆け。勢いより反動を心配してしまう。

ここ5年で見ると、サマースプリントシリーズを2走以上して連対したのは昨年の2着馬ラブカンプーだけ。勝ち馬となると2012年のロードカナロアまでさかのぼらなくてはならない。夏に何度も走ると、それだけ消耗度も激しくなるということか。

継続騎乗が圧倒的有利

では、どのようなデータの馬が好走する傾向にあるのか。下記の2つの表を見れば分かるが、前走で3着以内と結果を残した馬、また3番人気に支持された馬の成績がいい。

スプリンターズS出走馬の前走着順・前走人気ⒸSPAIA

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逆に4番人気、または4着以下に敗れた馬は勝率、連対率ともに物足りない数字となっている。前走間隔にかかわらず、前走で人気し、かつ好走している馬は上位に来る確率が高いということになる。なお、今回のデータは新潟開催を除く過去10回のデータを参照している。

スプリンターズS出走馬の前走騎手ⒸSPAIA

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スプリンターズSはステップレースを使わず、ここが秋緒戦という実績馬も多い。上り馬との対決も楽しみの一つといえるのだが、当然ながら鞍上がかぶるケースも出てくる。そこで乗り替わりがどう影響しているか調べてみると、何と継続騎乗の馬が10勝、乗り替わりは0勝という数字が出た。今回乗り替わっている馬は大幅に割り引きたい。

中山芝1200mの種牡馬・母父成績ⒸSPAIA

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上記の表は路盤改修後(2015年~)の中山芝1200mにおける父、および母の父の成績。なお、父は4勝以上、母の父は5勝以上の種牡馬を対象としている。父にディープインパクトが、母の父にサンデーサイレンスがランクインしていないのは意外。

父系で見ると、勝ち星でダントツなのはダイワメジャーだが、勝率トップは何とハービンジャー。中山が得意な種牡馬で有名とはいえ、現役時代はステイヤーだった馬。まさかスプリント部門で好成績を残しているとは思わなかった。母の父はこれまた意外なスペシャルウィークが1位。また、3位に父はダノンシャンティ、母の父はフジキセキと親子でランクインしているのが印象的。

満場一致でダノンスマッシュ

データが揃ったところでまとめてみると、

①前走が3番人気以内
②前走が3着以内
③前走から継続騎乗
④サマースプリントを2走以上した馬は割引

となる。今回、最も強いデータは③。そして、この夏はサマーシリーズを題材にやってきたので④も重要視したい。次いで①、②を加味してみる。

今回はすんなり2頭に絞られた。生き残ったのはイベリスとダノンスマッシュだけ。ともに父はロードカナロア。ロードカナロアはまだ種牡馬となって3世代しか出していないのでサンプルは少ないが、中山芝1200mで勝率10%以上と悪くない数字。この2頭で差があるのは年齢。

3歳馬が過去10年で【0,1,1,9】に対して4歳馬は【3,2,4,14】なので、今回は4歳馬のダノンスマッシュを上に取る。函館スプリントSに出走していればサマーシリーズ2回走りでデータから漏れていたのだが、除外されて出走できずデータ上で残ったのも何かの縁と考えたい。

次集団だが、父系の強さを取ってハービンジャー産駒のハッピーアワー。④のデータもクリアしており、これはぜひ穴候補に取り上げたい。あとミスターメロディ、モズスーパーフレアは2頭とも①、②の片方を満たしている。減点が少なく連候補に加えたい。

結論は
◎ダノンスマッシュ
○イベリス
▲ハッピーアワー
△ミスターメロディ
△モズスーパーフレア

となる。サマーシリーズの悪夢は忘れて、いい形で秋のGI緒戦を飾りたい。

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《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお) 競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想や「最終逆転」コーナーを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。

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