【神戸新聞杯】ズバ抜けた2強に食らいつけるか 東大ホースメンクラブの本命は配当妙味があるこの馬

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本命に推されたシフルマンⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

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より“菊花賞の前哨戦”らしいペースだが

9月22日(日)に阪神競馬場で行われるのは神戸新聞杯(GⅡ・芝2400m)。西の菊花賞トライアルとして位置づけられた3歳限定重賞だ。ダービー1番人気のサートゥルナーリアと同レースで2番人気だったヴェロックスの2強ムードだが、どちらをより評価すべきか、そして配当妙味をもたらす“第3の馬”はどれか、検討していこう。

まずはレース展開や馬場傾向、コースの特徴といった点を分析していく。

前後半5ハロンと1~3着馬の脚質ⒸSPAIA

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セントライト記念と比較して距離が200m長いこと、コース形態的に力勝負になりやすい舞台で行われるために有力馬がそろうことで、より菊花賞の前哨戦らしいレースになるのが神戸新聞杯。どの陣営も当然、次に向けて折り合い面を重視するため、表に示した通りスローペースが頻発している。

ところが、そんなスローペースでも逃げ馬の連対は過去10年でわずか2回。差し追い込み馬の好走も多く、能力重視で脚質は不問と結論付けたい。

今年の想定逃げ馬はヴィント。単騎逃げ濃厚ではあるが、サートゥルナーリアやヴェロックスは好位でも競馬できるタイプなのでそれほど楽をさせてもらえるとは考えづらい。少頭数ということもあり、展開面だけで力の差を埋めるのは難しそうだ。

印象以上に内枠が有利

阪神芝2400mは最初のコーナーまでの距離も長く、一見フェアなコースに見える。ところが、実際に枠順別成績を見ると4枠より内の馬が好成績。

過去3年の阪神芝2400m枠番別成績ⒸSPAIA

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6・7枠の連対率は11%前後と非常に低く、実は内枠有利なコースである。

先週の馬場傾向を振り返ると、日曜のローズSではレコードが出るなど高速決着も見られた。ただし、今のところ週末の阪神競馬場は雨予報で、同様の高速馬場にはならないだろう。

また、当然その都度の馬場に注視する必要はあるが、阪神の芝コースが湿った時にはイン前有利の傾向が出ることが多い。各馬、外枠はなるべく引きたくないところだが、今年は8頭立て。多少外枠でも、うまく内に入れられれば勝機があるかもしれない。

別格の2頭の相手探し

先週はセントライト記念で本命のサトノルークスが8番人気2着と好走し、配当面でも会心の的中となった。今週もこの勢いに乗っていきたいのだが、どうも穴党にとって「1回休み」のレースになりそうな予感がする。そう思わせるほどにサートゥルナーリア、ヴェロックスの牙城を崩すのは難しい。

馬券のキーになる“第3の馬”という観点で本命はシフルマンにする。春シーズンには若葉Sでヴェロックス、ワールドプレミアと対戦して敗れているが、前進気勢が旺盛なタイプということもあって、この時は2番手から早々に抜け出して最後甘くなってしまった。その後は意識的にためを作るような乗り方に切り替えて2連勝。特に前走はハイヒール(のちに小倉日経OPでも3着)とのマッチレースを制し、3着以下を4馬身突き放す好内容だった。

一般論として古馬相手の2勝クラスで強い勝ち方ができれば3歳限定重賞なら十分上位に来るレベルにはあるはず。前述したように気性が前向きな走りをするため、距離延長は多少の不安要素か。6枠に入ったが、今回は8頭立ての小頭数。うまく内に入れて、折り合いよく運びたい。

2強ではヴェロックスを上位に評価する。我々の記事では何度か触れているように、ダービー当日(というより、ダービー週および安田記念週)の東京芝は極端に高速で内が有利な馬場。そんな中で外を回し続けて3、4着したヴェロックスとサートゥルナーリアはこの世代で別格だと思っている。この2頭の力量は対戦成績が示す通りほぼ互角だが、2400mならヴェロックスの方が無難に力を発揮できると見てこちらを上位に取った。

サートゥルナーリアはダービー時、返し馬からテンションが上がってしまいゲートでガタついて出遅れ。間隔を空けてテンションを上げないようなローテで使っていた皐月賞まではよかったものの、ついにシーザリオの仔らしい気性の荒さが出てしまったという印象だ。その点で今回、休み明けはプラス材料になると思うが、危うさも抱えていることは覚悟しておきたい。2400mも本質的にはやや長いだろう。

△はワールドプレミア。距離延長は歓迎のクチに見えるし、春時点から“本格化は先”という評価を受けていた。ひと夏を越してどこまでパフォーマンスが上がっているか楽しみな1頭だ。もし優先出走権を取れれば鞍上含めて菊花賞本番でも楽しみになるので、レースぶり含めて注目してみたい。

▽神戸新聞杯予想▽
◎シフルマン
○ヴェロックス
▲サートゥルナーリア
△ワールドプレミア

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《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」でも予想を公開中。

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