”白毛”は少数精鋭 毛色から見る競走馬の成績

三木俊幸

インフォグラフィックⒸSPAIA

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出走頭数が最も多かったのは鹿毛

これぞサラブレッドという毛色の「鹿毛」、漆黒の馬体を持つ「黒鹿毛」、「青鹿毛」、「青毛」。黄金に輝く馬体が緑の芝に映える「栗毛」、「栃栗毛」。そして、多くのファンを魅了するオグリキャップやゴールドシップのような「芦毛」。芦毛よりも真っ白な「白毛」。このように、サラブレッドには8種類の毛色が存在する。

2016年度に生産され、現3歳にあたる馬の中でJRAデビューしたのはここまで4694頭。そこで、3歳未勝利戦が終了した9月1日までに出走した毛色の内訳と、最も勝ち上がり率が高かった毛色はどれだったのかを集計してみた。

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出走頭数別では「鹿毛」が1987頭と最も多く、次いで「栗毛」が1071頭、「黒鹿毛」が970頭となっており、ファンが多いと言われる「芦毛」は236頭で5番目だった。

毛色別に1勝以上挙げた馬の割合を分析すると、わずか4頭しか出走していなかった「白毛」が75%と最も高く、2位は「芦毛」の35%、3位は9頭の「栃栗毛」で33%だった。

白毛馬として初のJRA重賞制覇

では、1位の白毛馬4頭について詳しくみていこう。

2016年産の白毛馬ⒸSPAIA

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勝ち上がったのはハヤヤッコ、マイヨブラン、ブッチーニの3頭。8月4日に新潟競馬場で行われたレパードS(GⅢ・ダート1800m)で勝利したハヤヤッコは、白毛馬初のJRA重賞制覇で話題になった。

マイヨブランは昨年末の新馬戦で、ブッチーニは今年3月の未勝利戦で、それぞれデビュー勝ちを果たしている。

実はこの3頭、いずれも白毛馬であるシラユキヒメの血統(母系)だ。ブッチーニは直仔、ハヤヤッコとマイヨブランにとっては祖母にあたる。いかに母系の血が濃く出るかがわかる。

驚異の勝ち上がり率100%

白毛馬の勝ち上がり率が高かったのは、現3歳世代がたまたま高かっただけなのだろうか。2014年産現5歳世代と、2015年産現4歳世代のデータについても調べてみた。

2014産の毛色別成績ⒸSPAIA

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2014年産はカスタディーヴァ、シロニイ、ホワイトドラゴンの3頭が出走。3頭全てが勝利したため、勝ち上がり率は100%だった。この年は3頭中2頭が外国産馬でカスタディーヴァはニュージーランド産、ホワイトドラゴンはアメリカ産でシラユキヒメの血統はシロニイのみだった。

2015年産の毛色別成績ⒸSPAIA

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2015年にJRAで出走したのはハウナニ(祖母がシラユキヒメ)のみだったが、2戦目の未勝利戦ではきっちり勝ち上がったため、この年も勝ち上がり率100%を達成。データを見ても分かるように、産駒数は少ないものの近3年で勝ち上がれなかったのは、1頭のみというのは驚異的な数字だ。

「白毛」が発現する理由については、今のところ十分には解明されておらず、謎が深まるばかり。だが、日本、ニュージーランド、アメリカと各国で生産された白毛馬がしっかりと勝ち上がっているというデータを見ると、何か特別な理由があるようにも思える。今後の研究によって、その理由が明かされるのかもしれない。

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