単勝回収率240%  父譲りの競馬センスで新・夏男に名乗りを挙げるのはあの騎手

三木俊幸

2019年夏競馬で活躍する

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

中京で目立った川田騎手の馬場を読み切る力

本格的な夏競馬が始まって1開催が終わった。それとともに福島、中京、函館開催は終了した。そこで6月29日から7月21日までの開催8日間で活躍した騎手を振り返っていこう。

6/29〜7/21 騎手リーディングⒸSPAIA

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期間中に最も多くの勝利を挙げたのは、戸崎圭太騎手と福永祐一騎手で14勝だった。福島を拠点にしていた戸崎騎手は第2回福島競馬の開催リーディングに、福永騎手は第3回中京競馬の開催リーディングを獲得している。なお、6月29日から7月21日の間の勝利数は11勝だったが、第1回と第2回函館競馬全体では、15勝を挙げた藤岡祐介騎手が初の函館リーディングに輝いた。

しかし、勝利数と勝率では福永騎手に及びはしなかったものの、連対率44.8%、複勝率53.4%の川田将雅騎手の騎乗ぶりが印象的だった。開催8日間のうち後半の中京競馬場の芝コースは、先行有利の馬場傾向が顕著で、後ろからでは勝負にならないレースが続いていた。

そうした中で川田騎手は、積極的なレースを展開して確実に馬券圏内に持ってくるという騎乗が多かったイメージが強い。馬場を読み切る力、そして瞬時の判断力が今年の年間リーディング88勝(7月21日終了時点)とトップを快走している要因だと言えるだろう。

信頼できる騎手へと成長

続いて同じく6月29日から7月21日の間で回収率が高かった騎手は誰だったのかということも調べてみた。 期間中に5勝以上挙げている騎手の回収率ランキングは以下の通り。

回収率トップ5(5勝以上)ⒸSPAIA

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函館を拠点に騎乗していた伸び盛りの若手騎手、横山武史騎手が驚異の単勝回収率240%でトップ。2位は7月21日の福島で通算100勝を達成した木幡巧也騎手が212%という結果だった。複勝回収率では田辺裕信騎手が203%でダントツの好成績を残した。

その中から単勝回収率が最も高かった横山武騎手について詳しく見ていこう。

6/29〜7/21 横山武史騎手の成績ⒸSPAIA

横山武騎手が勝利したレースⒸSPAIA

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6勝、勝率9.4%という成績にも関わらず、単勝回収率240%の大きな要因となったのは、6月29日のTVh杯。14番人気のパラダイスガーデンに騎乗すると後方からレースを進め、直線外に持ち出しての豪快な勝利は、ガッツポーズが出るほどの会心の騎乗だった。単勝配当は11,440円で波乱の立役者となった。

また複勝回収率は90%だが、3着が13回と多く、複勝率では34.4%という数字を残していることからも、人気馬に騎乗してもしっかりと馬券圏内に持ってきていることが見てとれる。今の若手騎手の中でも、かなり信頼できる騎手に成長してきているのではないだろうか。

そんな横山武騎手だが、その魅力は父である横山典弘騎手譲りのレースセンスと騎乗フォームだろう。近年、石川裕紀人騎手や今年デビューした菅原明良騎手など、ヨーロピアンスタイルの騎乗フォームを取り入れる騎手が増えているが、横山武騎手もその一人。

ヨーロピアンスタイルとは、両足をぴったりと閉じて、時には鐙を前後に動かすなど、体全体を大きく使う騎乗フォームのこと。短期免許で来日して活躍しているライアン・ムーア騎手やオイシン・マーフィー騎手もヨーロピアンスタイルの騎乗フォームが特徴的だ。

身長161cmながら手足が長く、ムーア騎手をほうふつとさせる豪快な追い方は、すでに多くの競馬ファンを魅了しているが、デビュー時からヨーロピアンスタイルで騎乗していたわけではない。実際にこのフォームで騎乗し始めたのは昨年からで、フォーム変更とともにより成績を上げてきた。

騎乗フォームだけでなく、馬券的にも外せない騎手へと成長を遂げているだけに、残りの夏競馬でどこまで飛躍を見せるのか、引き続き注目していきたい。

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