今年のダービー馬は7800万円 2019年のセレクトセールは2億円超えが16頭

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2019年のセレクトセールでの最高額は4億7000万円
いきなり「3億!」の一声に場内がざわめいた。しかし、その後は声を出す暇もなく、瞬く間に金額は上がっていき、4億1000万円まで到達。少し間が空いたものの、再び競り合いが続き4億7000万円でストップ。タイタンクイーンの2019(父:ディープインパクト)を落札したのは、アドマイヤの冠名でお馴染みの近藤利一氏だった。
7月8、9日に行われたセレクトセールは今年も大盛況に終わった。2日間で2億円を超える馬が16頭も誕生するなど、過去最高額の205億1600万円の収益を上げた。

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先述した近藤利一氏は、2日目に行われた当歳部門に加えて、初日に行われた1歳部門でも最高額の3億6000万円でミュージカルウェイの2018(父:ディープインパクト)を落札し、今年のセレクトセールの主役となった。
1歳部門は100億円を超える売上
近3年のセレクトセールは売上が右肩上がりで、毎年収益はレコードを更新し続けている。

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合計金額は2017年が173億2700万円だったが、2018年は179億1900万円、そして2019年は205億1600万円とついに200億円越えを達成している。その最大の要因は、1歳部門の盛況ぶりがあると言えるだろう。
近3年いずれの年も当歳部門の売上額を上回っており、2019年は107億3200万円を記録した。当歳よりも成長している分、馬体の良し悪しを見分けやすく、また購入して2年後にデビューとなる当歳に比べて、短期間でデビューとなる1歳馬への需要が年々高くなっているのではないだろうか。
2019年はすでに14頭が重賞勝利
加えて、セレクトセール出身馬が重賞戦線で活躍していることも金額が高騰している要因だということができる。

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2019年、重賞競走を16勝している。特に春の東京開催でのGⅠにおいては、NHKマイルカップはアドマイヤマーズ、ヴィクトリアマイルはノームコア、オークスはラヴズオンリーユー、日本ダービーはロジャーバローズが制し、4週連続でセレクトセール出身馬がGⅠ勝利を果たす大活躍を見せた。上半期でこれほどの活躍馬を輩出した年は、過去になかったのではないだろうか。
では、その15頭は全て高額馬だったかというとそうではない。きさらぎ賞を制したダノンチェイサーは2017年の1歳部門で2億5000万円で落札された超高額馬であったが、1億円を超えたのは、オークスを制したラヴズオンリーユー(1億6000万円)との2頭のみ。5000万円以上1億円以下が6頭と最も多く、日本ダービーを制したロジャーバローズは7800万円で購買された馬だった。
しかし、高額馬ばかりが活躍しているかと言われるとそうではない。ヴィクトリアマイルを制したノームコアは2200万円、ラジオNIKKEI賞を勝利したブレイキングドーンは1800万円、佐賀記念を制したヒラボクラターシュは900万円とセレクトセールでは低価格の部類に入る価格帯からも重賞馬を輩出している。
価格帯を問わず、その名の通りセレクトされた馬が活躍しているセレクトセール。購買者側からしてみたら、値段は高くても購入するだけの価値がある魅力的なセールだと言えるのだろう。2019年に購買された馬の中からは、どのような活躍馬が出てくるのか。オーナーでなくとも2020年以降のデビューが待ち遠しい限りだ。
